「ジェットスター・ジャパン」でストが頻発する理由。ライバルのLCC・ピーチとの違いとは【訂正アリ】
◆ジェットスター「記者レク」で語られたこと
会社側の発言要旨は次の通り。3月下旬の組合との団体交渉などの時系列の開催説明に加えて、組合側と合意できた内容は以下の通りと説明した。
1.残業代の未払いはシステムの不具合によるもので、改修され支払うことで合意した。
2.コロナ禍中の通勤費減額分(※4)は、2年以内に支払うことで合意した。
3.組合事務所の要求に関し、成田事務所のレイアウト替え中であり、調整して用意する。
今回の組合側ストライキの最大の懸案事項であった、(組合の執行部でもある)機長1名の懲戒処分については「一連の組合活動とは関連しておらず、複数の社員からの長期間にわたる当該機長による複数の事例について、会社は慎重かつ公正に調査を行った結果、就業規則に反する重大な違反行為であることが認められた」とし、複数の社外専門家を交えたかたちで事案について検討を進めた結果、「パワハラ」を認定し、懲戒処分(※2)としたことを明かした。
また、会社側はストライキの開催における事前告知のタイミングについては、会社の公共性にのっとり、大規模スト(15名以上)で48時間前、小規模(同未満)で前日18時までに通告することを組合側に要請したと報告した。
◆組合側に取材を申し込むが…
筆者は組合側に3度ホームページの問い合わせから取材したい旨を申し入れたが、音沙汰は無かった。また、SNSのメッセージを通じても取材希望を伝えたが、返信は無かった。
このような状態では、組合員の声を代弁しようもその術がない。組合側の記者会見は同日29日に厚生労働省の記者クラブで行われたようだ。会社側の記者レク開催は、直前だったことを説明した。
会社側は、JCAの記者会見の開催と時を同じくするために取材陣を分散する手法を取ったものと推測される(JCA記者会見の時間が不明のため筆者私見)。ジェットスター広報部からは「事実として、報道関係者を分散させる意図は全くございません」と申し入れがあった。
◆血の滲むような労使間闘争の結果
組合はX(旧ツイッター)などSNSやYouTubeチャンネルを使った告知を頻繁に行っているがどこまで活用ができているか未知数だ。
筆者が知る限り、外資系エアラインで勤務する日本人パイロットからの激励の発信が多かった。彼らの中には国交省の日系エアラインに対する抑圧(私見)に耐え切れず、海外に出た優秀なパイロットも多いと感じている。
彼らは一様に、JCAを真摯に応援している。ある機長は、米国のパイロットの過去の労使交渉を引合いに、現在のパイロットの地位向上は、過去の仲間の血の滲むような労使間闘争の結果に得られたものと説明した。
JCAの報告に「そこには弁護士を立てなければ」とのアドバイスもあった。JCAはどこまで理解したのかは、連絡が取れていない以上知るよしもないが、マスコミを避けるのではなく、協力を仰いで味方にしてほしかったと考える。
◆競合「ピーチ アビエーション」の事例
筆者は、この騒動がLCCで起きたことを懸念した。LCCだからコストを削減するために人件費まで削減したのでは、安全性を保つことはできない。そうであって欲しくないというのが偽らざる願いだ。
そこで、同社のライバルになるピーチ アビエーションの実態を知るべく、同社広報部に確認すると、次の回答を得た。「弊社には組合組織はありません。社員の立候補による『社員代表』が存在し、会社側と定期的に待遇改善なども議題にし、改善を図っています」と聞かせてくれた。