この記事をまとめると

■メルセデスAMG GLC 63 S E PERFORMANCEにクーペモデルが発表された

■476馬力の2リッターターボエンジンとプラグインハイブリッドシステムでシステム最高出力680馬力

■4輪操舵や電動駆動可能なターボチャージャーなど、走りを高めるハイテク装備が充実

メルセデスAMGのGLC 63 Sにクーペモデルが登場!

 Cクラスをベースに開発されているミドルサイズSUV、GLC。昨年発表されたメルセデスAMG GLC 63 S E PERFORMANCEのあとを追い、そのクーペモデルが発表された。

 気になるそのパフォーマンスの前に、まずは今回のメイントピックであるクーペボディと、AMGが用意したスペシャルパーツをご紹介する。

 新しくなったGLCクーペでは、クーペとしてのスタイリッシュさとSUVの堂々とした佇まいを両立するため、さまざまな工夫が凝らされている。フロントはグリルと連続したスリムなヘッドライトと開口部の大きいフロントバンパーがワイド感を強調。一方、サイドではエッジやラインを大幅に削減し、曲線的に陰影を演出。そしてリヤは張り出したフェンダーラインと水平基調のリヤバンパーによってワイドでシャープなデザインとなっている。

 そんな素性のいいGLCクーペのスタイルにAMG専用パーツを多数装着し、GLC 63 Sはさらにアグレッシブに。フロントにはハイグロスクロームの縦ルーバーを備えたAMG専用フロントグリルとフロントスポイラーリップを採用。フェンダーには「TURBO E PERFORMANCE」サイドエンブレムが光り、ホイールは21インチのAMG専用品。

 また、ホイールアーチもボディ同色となり、標準モデルよりも都会的な印象に。リヤセクションではAMGスポイラーリップ、マットブラックのリヤエプロン、ふたつの台形のデュアルテールパイプが確かなパフォーマンスを予感させる。さらに、パフォーマンスハイブリッドであることを示すために、リヤの「GLC 63 S」のエンブレムは赤くふち取られている。

 ダッシュボードは、上下を2パートに分ける意匠を採用している。

 上部は航空機をモチーフとしており、翼をイメージしたというせり出しが左右にわたっている。そこに角の取れた横長のエアコンルーバーが配置される。さらに、それを人工皮革で覆うことで上質でスポーティな空間を演出する。

 ダッシュボード下部にはセンターコンソールからダッシュボードへと連続するハイグロスブラックセンタートリムと、そこに縦型の11.9インチメディアディスプレイを装備。ハンドル奥にあるコクピットディスプレイとメディアディスプレイは、5つものデザインから好みのデザインを選ぶことができる。

 シートとステアリングは、普段使いはもちろんのことスポーツ走行も視野に入れたAMG専用品だ。室内を彩るアンビエントライトも64色から選択でき、単色の発光に加えて色の連続変化も可能となっている。

 これだけにとどまらず、Burmester3Dサラウンドサウンドシステムや、「Hi, メルセデス」の合言葉でナビの設定からエアコンの設定までさまざまな操作が可能な「MBUX」に加え、ARナビゲーションなどのエンターテイメントシステムも充実している。

AMGにふさわしい圧倒的なパフォーマンス

 今回のモデルも、すでに販売されているGLC 63 S E PERFORMANCEや、C 63 S E PERFORMANCEと同様のパワートレイン構成をもつ。

 パワートレインを構成する直列4気筒ターボエンジン「M139」は、わずか2リッターの排気量から最高出力476馬力、最大トルク545Nmを発生する。このユニットのターボチャージャーは「エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャー」と呼ばれており、F1で用いられている技術が採用されている。

 このターボチャージャーの軸は、400V電気システムを電源とするモーターに接続されており、最大17万5000rpmもの回転数を誇る。これにより、ターボチャージャーが排気によって回転するまでの間、モーターの力でターボ過給を行うことができるため、エンジンの全回転域においてブースト圧が途切れることはなく、従来のターボシステムよりダイレクトな加速を実現する。

 こうして発生した動力は、トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを搭載する9速オートマチックトランスミッション「AMG スピードシフト MCT」を介して効率よく各車輪へと伝達される。

 ガソリンユニットと組み合わされるバッテリー&モーターは後輪の車軸周辺に備わる。ピーク出力で204馬力を発生するこのシステムは、2速の変速機と電子制御式リミテッドスリップデフを介してリヤの車軸を直接駆動する。こうして重量のあるエンジンをフロントに、モーター&バッテリーをリヤに置くことで前後重量配分を適正にすることが狙いだ。

 また、このユニットに使われるバッテリーにもF1の技術がふんだんに使われている。このバッテリーは、加速時には高出力を瞬時に発生し、減速時には大幅な回生を行うために、急速に充放電ができることを目指しているのが特徴だ。だが、容量にも妥協はない。あくまでマイルドハイブリッド的にエンジンの補助をする目的で設計されているにも関わらず、電力のみで16km程度を走行できるほどの容量を備えている。そんなバッテリーのパフォーマンスを支えているのは独自の冷却技術だ。非伝導性の液体ベースの冷却剤をバッテリー内に循環させ、個別のセルを適温に保つことで、いつでもベストな性能を発揮できるようになっている。

 こうしてふたつの動力源から生み出された動力は、パフォーマンス志向の電子制御式4輪駆動「4MATIC+」が瞬時に状況を判断して、適切に4輪へと分配される。

 また、AMGモデルに採用される「AMG ダイナミックセレクト」では8つのモードごとに、パワートレイン以外にも駆動システムとトランスミッションのレスポンス、ステアリング特性、サスペンションの減衰特性、サウンドを変更することも可能だ。

 このなかには「AMGダイナミクス」と呼ばれる高度な車両制御システムが含まれており、速度や横方向加速度、ステアリングの舵角、ヨーレートなどの情報をセンサーから取得し、それによってドライバーの望む挙動をモードごとに自在に作り出すことができる。具体的には、「Comfort」と「Electric」「Battery」モードではアンダーステアで安全な挙動を作りだす。そこから「Sport」「Sport+」となるに従ってオーバーステア抑制が緩和され、「Race」モードではわずかにオーバーステアな挙動にまでに変化するといった具合だ。

 このほかにも、実際の排気音を車内のスピーカーから再生する「AMG リアルパフォーマンスサウンド」など、気分を高めてくれるような装備を多数備えている。

 多くのテクノロジーがたっぷり詰まったGLC 63 S E PERFORMANCE クーペ。その価格は1811万円となっている。

 ハイセンスなクーペSUVとハイテクノロジーが融合を果たしたこのモデル。こうしてまたひとつ選択肢を増やしたメルセデスAMGの63系モデルの、今後のさらなる展開が楽しみだ。