◆芦原温泉駅

 芦原温泉駅まで向かうハピラインふくいの車内は、朝晩ラッシュ時の山手線かと思うほどの大混雑。やはり開業初日のせいか筆者同様に延伸区間の駅巡りをしている人が多いようだ。

 福井駅から列車で15分ほどの同駅は、日本三大絶勝のひとつに数えられる景勝地・東尋坊の玄関口。ここでもほかの各駅同様に開業イベントが行われており、駅前の歩行者天国には出店やキッチンカーが並んでいる。

 しかも、筆者が訪れたタイミングで約400年の歴史を持つ県内有数のお祭り『金津祭』で流れる祭囃子が地元の保存会によって演奏。以前から機会があれば見たいと思っていた祭りだったからお囃子だけとはいえ、ちょっと得した気分になることができた。

◆加賀温泉駅

 芦原温泉駅からはこの日3度目となる新幹線で隣の加賀温泉駅へ。片山津温泉に山代温泉、山中温泉と北陸を代表する温泉の最寄り駅となり、高架の新幹線ホームからは高さ73mの加賀大観音が見える。

 イベントの特設会場では、グッチ雄三や間寛平、ダンディ坂野のステージがあったことを到着後に知るがいずれもすでに終了。それでも加賀市に古くから伝わる獅子舞の演舞を見ることができたので満足。

 そして、嬉しいことに会場では地元の日本酒や名物の加賀棒茶が振る舞われたほか、地元米や加賀三湯の温泉の素の入ったお土産も配布されていた。もちろん、すべて頂いたのは言うまでもない。

◆小松駅

 最後に訪れたのが小松駅。駅前には地元発の企業で今や世界を代表する建設機器メーカーとなった小松製作所の重機が展示されている。

 ここでも例によって延伸開業当日はイベントが開かれ、グルメ屋台がズラリ。それもよく見ると金沢カレーなどの地元グルメだけでなく、お隣の富山県名物の白エビコロッケやもつ煮込みうどん、長野名物の五平餅など北陸新幹線の沿線の名物料理のブースも多い。

 それだけでなく色鮮やかな上絵が特徴の地元名産の磁器・九谷焼の絵付け体験ができるブースなどもあった。ステージでも動物の着ぐるみ姿のバンドが演奏しており、会場の子供たちが大はしゃぎだった。

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 終わってみると駅巡りというは各地のイベント巡りになってしまったが、1か所滞在時間が短い中で効率よくその土地の文化や食などに触れられるのはよかった。次はぜひ時間をかけてじっくり観て回りたいものだ。

<TEXT/高島昌俊>

―[シリーズ・駅]―

【高島昌俊】
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。