ストレスを感じずに、どうやってうまく息抜きを取り入れる?(写真: zon / PIXTA)

→安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

はじめまして、20代中頃の会社員の者です。仕事や勉強の合間の上手な息抜きの方法について教えてください。私は現在会社員として働くと同時に、将来のキャリアアップを見据えて資格取得のための勉強をしています。週1で学校に通い、ほかはオンラインなどで勉強をしています。

一人暮らしでそんな状態なので、つねにやることがあり、上手に息抜きができず、過度なストレスを感じてしまっています。そのため、数日何も手につかない状態が続くことがたまにあります。ずっとではないので、だましだまし今の生活を続けていますが、もっと上手に息抜きをしたりすれば、うつっぽい状態にならずに済むのではないかと考えてしまいます。そういった環境下における息抜きの手法や、考え方についてご教示いただきたく、よろしくお願いいたします

IJ 会社員

息抜きを生活のルーチンに組み込む


この連載の記事一覧はこちら

もし本当に息抜きが下手であると自覚されているならば、息抜きそのものを生活のルーチンに組み込んでしまうのがいちばんです。

キャリアも人生も長時間、長距離で考えざるをえないものですから、継続性がどうしても大切です。

いわばゴールのない、終わりのない旅に対峙しているようなものです。そのため、継続して自らをアップデートする、サステイナブルな形での人生の歩み方を覚える、というのは非常に大切ですし、それができるか否かで人生のクオリティーも大いに変わってきます。

本来であれば適度に息抜きをして、長距離を走る、というのが理想なのでしょうが、それがどうしてもできない、という気持ちもわかります。

これは何も息抜きだけではなく、キャリアアップのための勉強などにも言えることです。

頂戴した相談を拝見するに、IJさんはキャリアアップのための勉強や、アクティビティーに関しては非常に積極的であり、なおかつ優先順位を高めて、主体的に行動している様子がうかがえます。

多くのヒトにとっては、休暇や息抜きばかりで、キャリアアップのための活動にかける時間が取れない、またはモチベーションが上がらない、という悩みのほうが多いでしょう。

いずれにしても自分が苦手だと感じること、それが息抜きであれ、キャリアアップのための活動であれ、継続性をもって行いたい、という場合のいちばんの方法は、自分の生活のルーチンにその活動そのものを組み込んでしまうことです。

例えば金曜日の夜だけは息抜きの時間にあてるとか、1日3時間はキャリアアップのための勉強やセミナー参加に費やすとかですね。

最初のうちはこうした強制力をいかに自分で持てるかが勝負ですが、そのうち自分の生活のリズムの中に、そういった活動が自然と溶け込むようになります。

言い換えると、最初の頃は強制力をもって立ち向かう、慣れてきた後は条件反射的に自然と立ち向かう、ということです。やらざるをえない状況を、いかに自ら創り上げられるかがポイントです。

徐々にハードルを高めていく

もちろん自分で課したルールなのでどうしても破ってしまう、というヒトもいるでしょう。

その場合は徐々にハードルを高めていけばよいのです。

例えば1日1時間勉強にあてるから開始して、その時間を徐々に2時間とか3時間にしていけばよいのです。

もちろんそうは言っても、短期的には、というよりも、最初のうちはなんとなくやるべきことを犠牲にして、ほかの活動をしている感や、焦る気持ちもでてくるとは思います。

勉強するべきときに遊んでいてよいのだろうかとか、本当はリラックスしたかったとかですね。

大きな目的を達成するため、つまりIJさんの場合は長期的なキャリアアップですが、そのためには短期的にはある程度の犠牲を覚悟せざるをえないケースが、人生においても、キャリアにおいてもあります。この大きな目的や最終的なゴールに対して真摯であればあるほど、そういった短期的な犠牲も許容できるというものです。

そのため、まずはその大きな目標やゴールを見失わず、さらに言うとつねに再確認やアップデートするとともに、苦手項目のルーチン化を粛々と進めたほうがよいでしょう。

学生時代を思い出してほしいのですが、誰でも好きな科目と苦手な科目はあったと思います。

それでもカリキュラムに組み込まれているから、仕方ないという気持ちや、留年を避けるという大義名分を掲げて四苦八苦しながら対峙したり、またはGPA(成績平均値)を上げるために少なくとも平均点以上は目指す、などいろいろとあったハズです。

これも同様で、ルーチンに入っているからやる、大きな目的(上記の例でいうとGPAアップ)の達成のために、短期的には苦手科目の勉強などを我慢して行う、といった行為です。

いずれにせよ、ある程度の強制力や大きな目的があるからこそやってこられたことだと思います。

社会人になってからも本質はあまり変わりません。

もちろん学生とは異なり、人生のゴールや日々のカリキュラムなどは自分で設定しなければならない、という点であったり、誰かが偏差値などを通じて社会における自分の立ち位置を教えてくれるわけではない、などいろいろと異なる点はあります。

しかしながら、目的達成や前に進むための方法論としてはさほど変わりません。

息抜きが下手だとか、仕事以外のキャリアアップのための勉強などにはモチベーションが上がらない、など自分自身の弱点が見えているのであれば、後はそれを克服するための方法論で対峙するだけです。

弱みを自覚しているのは素晴らしいこと

自分自身が弱い人間である、弱点がある、と理解していること自体は、非常に素晴らしいことなのです。

なぜならば自分自身の弱みや弱点を理解すると、ヒトとしてどう生きるか、どうやってキャリアアップを図るか、といったことについて、一般論としてではなく、自分にあったやり方や方法が見えてくるからです。

かくいう私自身も『「学歴なんて関係ない」はやっぱり正しい』などの拙著でも紹介していますが、例えば学生の頃は英語だけで1日3時間、などといったルールを自分自身に課したうえでどんどんスキルアップを図っていったものです。

3時間を何かに費やすとすると、1日の残りは24時間マイナス3時間で21時間です。

そうであれば1日21時間という前提で「残った時間をどう活用するか」、というように逆算でどんどん考えることができます。

もちろんその背景には、大きな人生観やキャリア観を自分なりに有したうえで、その中で●●歳までには●●をする(例えば20代のうちにトップランククラスへMBA留学する、など)、など長期的そして中期的なゴールがあったのは言うまでもありません。

そのために「今自分は何をするべきか」を考え、同時に「今自分は何をしないべきか」を考える。短期的な犠牲を、大きな目的達成のために受け入れた、ということです。

大きな目標を持つことが大切

前述のとおり、大きな目的を持っていることが大切なのです。

少なくともそうやって、自分自身の生活のパターンやリズムを構築していけば、大きな流れの中でやるべきことが自然とできるようになります。

IJさんがそのような考え方で、うまく息抜きをして長期的な人生のゴールに向かってさらに力強く歩んでいかれるであろうことを応援しております。

(安井 元康 : 『非学歴エリート』著者)