齊藤京子1st写真集『とっておきの恋人』(主婦と生活社)

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1月11日、日向坂46の齊藤京子が卒業を発表した。4月5日の卒業コンサートまであと3か月足らずという突然の知らせだったが、昨今ますますグループ外でも存在感を増していた彼女の活躍、特に歌でのパフォーマンスで残した軌跡を振り返ってみたい。

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齊藤の卒業はファンにとって、青天の霹靂というほかなかった。21年春に始まったヒコロヒーとの番組『キョコロヒー』は年度が明ければ4年目、2024年の元日には2人のデュエット曲『After you!』のデジタル配信が始まったばかりで、今年も多方面で活躍してくれるとの期待感もあった。ライブにバラエティにと、今一番波に乗っているとすら思われただけに、これまでの活躍への感謝と惜しむ思いが交錯する。
 
16年にけやき坂46の1期生としてデビューしてから、齊藤の歌はずっとグループの表現力に欠かせない存在だ。小動物を思わせる愛らしいビジュアルと低音のギャップ、それ自体が彼女のトレードマークで、ライブや歌番組になると自然に観る者の視線をひきつける。
 
ソロ曲としてはけやき坂46時代に『居心地悪く、大人になった』、日向坂46になってからの『月と星が踊るMidnight』で表題曲センターを務めた時のTYPE-A収録曲『孤独な瞬間』をリリースしている。前者は爽やかなJポップとして成立していて、齊藤の音域の広さもボーカルから実感できる。後者は中森明菜の『少女A』や『DESIRE−情熱−』のオマージュのようなクールなサウンドで、得意の低音を活かせるナンバーに仕上がった。
 
学校の同級生のような親しみやすさがグループカラーの日向坂46。イメージ通りのフレッシュな青春ソングやあざとい楽曲がありつつ、齊藤がリードボーカルを担うと力強さが加わってきてリスナーをふるい立たせる。YouTubeのTHE FIRST TAKEで披露した『僕なんか』を歌う姿からも彼女の芯の強い歌唱力が実感できる。

齊藤は音楽番組やライブでの活躍も多く、単独でパフォーマンスを披露してきた。21年10月に『MTV LIVE MATCH』で緑黄色社会のステージにゲストボーカルとして出演し、同年の『MTV VMAJ 2021 -THE LIVE-』でボカロP・柊キライの『ラブカ?』をカバーし、ボカロ曲らしいアップテンポで疾走感のある曲を歌い上げた。

翌年にも『MTV LIVE SESSIONS: Kyoko Saito from Hinatazaka46』を配信ライブの形で開催し、『風に吹かれて』(JUDY AND MARY)、『禁区』(中森明菜)、『アンコール』(YOASOBI)、『くちばしにチェリー』(EGO-WRAPPIN’)など10曲をカバー。23年5月には『MTV Unplugged Presents: Kyoko Saito from Hinatazaka46』を神奈川・ぴあアリーナMMで開催した。

日向坂46のイベントでもしばしば使う会場でのソロライブ、それもアコースティックライブで上演という快挙で、グループの楽曲とカバー曲あわせて15曲を披露。カバー曲の顔ぶれも『初恋』(村下孝蔵)、『歩いて帰ろう』(斉藤和義)、『本能』(椎名林檎)、『花火』(aiko)、『First Love』(宇多田ヒカル)などJポップのヒットチャートに挑戦し、ボーカリストとして十二分に表現力があることを証明した。

この年の齊藤は『キョコロヒー』でも2度目のイベントでヒコロヒーと共に自由奔放に東京国際フォーラムの観客を沸かせ、テレビ朝日系列の『泥濘の食卓』で連ドラ初主演。もっとも『泥濘の食卓』で彼女が演じた捻木深愛ははいわゆる毒親に育てられ、アルバイト先のスーパーの店長と不倫関係に陥るという難役。深愛の愛情が事件を巻き起こす、“ファム・ファタール”(男を破滅させる運命の女)ぶりを演じきり、アイドルらしさと魔性の色気も両立させていた。