LGのスマート洗濯機が、1日に3.6GBもの膨大なデータを通信をしていると報告するX(旧Twitter)の投稿が大きな話題となりました。

Homeowner Baffled After Washing Machine Uses 3.6GB of Internet Data a Day

https://www.newsweek.com/homeowner-baffled-washing-machine-uses-3-6gb-internet-1862675

Your washing machine could be sending 3.7 GB of data a day - LG washing machine owner disconnected his device from Wi-Fi after noticing excessive outgoing daily data traffic | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/networking/your-washing-machine-could-be-sending-37-gb-of-data-a-day

Xユーザーのジョニー・リー氏は2024年1月9日に、「なんてこった!どうして私のLG洗濯機は1日に3.6GBもデータを使っているんでしょうか?」と投稿しました。このポストは、記事作成時点で1750万回も閲覧されています。



この洗濯機は、Wi-Fiネットワークを通じてアプリから監視や操作が可能なスマート洗濯機で、ユーザーはスマートフォンを使ってリモートで洗濯を開始したり、インターネットから追加の洗濯プログラムをダウンロードしたりできます。リー氏はこの機能を、ユーモアたっぷりに「DLC(Downloadable Laundry Cycles:ダウンロード可能な洗濯サイクル)」と呼びました。

リー氏が異変に気づいたのは1月の初めに自宅のインターネットが重くなった時のことです。リー氏が、自宅のルーターのログをチェックしてどの機器がネットワークの帯域幅を消費しているのかを調べたところ、LGの洗濯機がその週で4番目にデータ使用量が多いデバイスだということがわかりました。

調査の過程では、洗濯機の通信の中になぜかAppleのiMessageのトラフィックがあったことも判明しています。これについてリー氏は、ASUS製ルーターのトラフィック監視ツールの誤認識だろうと推測した上で、「洗濯機が私の洗い物の写真を送信しているのでないのであれば、ですが」と付け加えました。



リー氏がルーターでスマート洗濯機の通信をブロックしたところ、無事にデータ使用量が減少しました。問題が一段落したリー氏は、「私の洗濯機でビットコインをマイニングしていた人には申し訳ないことをしました。もしよければ、喜んで私の洗濯機のLPU(洗濯プロセッシングユニット)を時間貸ししますよ」との感想を漏らしています。



リー氏のiMessageやマイニングへの言及はもちろん冗談でしたが、IT系ニュースサイトのTom's Hardwareによると、あながちありえない話でもないとのこと。消費電力が少ないデバイスでも大量に動員すれば強力な演算力を発揮し、実際にハッカーがLGのスマート家電を乗っ取った事件が発生したこともあるため、マイニングやネットワークの悪用のためにLGの洗濯機でボットネットが構築されるというケースも十分に想定できるそうです。

LGの洗濯機が3GB以上もの通信をしたと訴えたのはリー氏だけですが、LGは本格的な調査に乗り出しました。LGの広報担当者は、アメリカのニュースメディアのNewsweekに対し、「当社は高トラフィックデータに関する懸念に関して顧客と連絡を取り、この異常な事態の原因を解明するために積極的に調査を行っています。本件は個別のインシデントですが、LGは引き続き根本的な原因の調査に取り組んでいます」と述べています。

その後、リー氏とLGは連絡を取り合いながら不正なトラフィックの調査や、ネットワーク分析ソフトのデータの解析を進めましたが、結局原因は不明だったとのこと。

リー氏は、最初の投稿から約1カ月半後の投稿で、洗濯機のデータ使用量は正常に戻っていると報告し、LGのエンジニアらが積極的に原因究明に取り組んでくれたことへの謝辞を述べた上で、「私たちの身の回りにある多くのモノや電化製品がインターネットに接続されるようになるにつれて、これらの家電のデータ使用量を監視し、安全にデバイスを導入することが一層重要になっています。ユーモラスなコメントや返信をくれた人にはお礼を申し上げます。願わくば、今後は私の汚れ物の話をあまり共有せずに済むといいのですが」と述べました。