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年齢を重ね、その先のことを考えたときに実践しておきたいのが、身軽にしておくこと。そこで、持ちすぎず、豊かな暮らしをしている人をぜひ参考にしてみませんか? 団地ですっきり暮らしをする美術エッセイストの小笠原洋子さんの「持たない暮らし」をまとめてご紹介します。

※記事の初出は2022年10月〜2023年2月。内容は執筆時の状況です。

73歳、ひとり暮らしが「持たなくていい」と決めているもの3つ

3LDKの団地に住む小笠原洋子さん。家には余計なものはありませんが、一角にはかつて仕事として関わっていたアート作品や画集がズラリ。窓際には手づくりのモビールが揺れ、センスが感じられます。
「現役時代には、それなりに家具や服も持っていました。でもね、あるとき、大きな洋服ダンスを処分せざるを得なくなって。それで『ものから自由になる解放感』を実感したんです」
実家の片づけや引っ越しから学んだ「いるものといらないものを明確に分ける」という考え方。世の中では「当たり前」でも、自分にとって不要なら持たなくていいいと小笠原さんは言います。

●レースのカーテンをやめて窓にモビールを飾る

「カーテンはホコリがたまりやすく、洗濯も手間なんです」
そこでメモ用紙でつくったモビールを目隠し代わりにおしゃれさもしっかり演出。

●おおきなタンスを処分。一部を残し、棚として活用

存在感がありすぎた大きな洋服ダンスは引き出し部分だけ残して処分。
「むき出しの天板にクロスをかければ、すてきなローチェストに」

●掃除の手間のかかるマット類は廃止

実家のじゅうたんをひとりで処分した苦労から「床にマットは敷かない」と決意。
「なにもなければ汚れてもサッとふくだけでOK」

※記事の初出は2022年10月。内容は執筆時の状況です。

手放してよかったもの5つ

さらに、不要だとわかって手放したものについて教えてもらいました。

●1:固定電話をやめてスマホ1台に

現代では、電話機の出番も減り、メールがあればファックスも不要になりました。
「だれかと連絡をとるなら、スマホひとつあれば十分です」

●2:ダイニングテーブルを処分

ひとりの食事に大きなテーブルは不要です。
「天板を広げられるワゴンがひとつあれば、収納を兼ねて、部屋の好きな場所で食事ができます」

●3:炊飯器は不要。レンジ用土鍋が便利

もともとご飯は鍋で炊いていたという小笠原さん。
「今はリサイクルショップで見つけた1合用の電子レンジ用炊飯土鍋を愛用中! 場所を取らないし、便利なんです」

●4:食器棚は処分。シンク下の棚に入る分まで

かつてはたくさんあった食器も今は自分が使う分だけで十分になりました。
「シンク下の収納に収まるので食器棚は不要。いい器などは、欲しい人に譲りました」

●5:調理道具は最小限。まな板代わりに牛乳パックを

意外と場所を取るまな板もストレスのもとになることに気づきました。小笠原さんは牛乳パックを切って開いて代用しています。
「汚れたら捨てるだけなので、衛生的にもいいんです」

カッティングボードはインテリアとして活用しています。

※記事の初出は2023年2月。内容は執筆時の状況です。

買わなくても楽しめる暮らしのコツ

「使えなくなるまで使う」のが小笠原さん流。見直してみると、身の回りにはまだ使えるものがたくさん。用途にこだわらず、頭をやわらかくしてみると新しい使い道が見えてきます。

●普段着をパターン化。お気に入りの服だけ厳選

「ワードローブは制服のようにパターンを決めています。シンプルにすることで服は少なくてすみます」おかげで服選びにも迷いません。

また、高校で習ったという衣類整理法を実践。「ジャンル別に書き出し、処分したら消し、買ったら書き込みます」

コーディネートを組むときにも、このカードは活躍しているようです。

●パジャマはシンプルなブラウスを着まわす

「寝るための服は買いません。でも、災害時や救急搬送などを考えたら清潔感は必要」

そこで、もう外では着ない服をパジャマとして活用しています。

●着なくなったらリメイクしてよみがえらせる

「スカートは母の着物で、バッグはウールの着物の袖でリメイクです。」

また、はかなくなったスカートも、1枚の布にリメイク。今は、おしゃれなインテリアとして再利用しています。

※記事の初出は2023年1月。内容は執筆時の状況です。

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