年齢や体型の変化によって、服選びに悩む人は多いそう。そこで、おしゃれに着こなすために注意したいことについて紹介します。教えてくれたのは、対象40〜60代女性を中心に、パーソナルスタイリスト活動をしている上林恵子さんです。手もち服を手放すときの基準も教えてもらいました。

多くの服をもつより大事なのは「靴」

ESSE読者からもよく聞く、服はたくさんあるのに、着られる服がないというお悩み。

【写真】上林さんのシューズクローク

「クローゼットいっぱいの服をおもちでも、一度も袖を通したことがないとおっしゃるお客様が多いのですが、好きな服をそろえていけば“着る服がない”と悩むことはなくなると思います。私自身、手もちの洋服の枚数自体は比較的少ないほうだと思います。ただ、靴は100足くらい持っています」(上林恵子さん・以下同)

「靴は小さな巨人なんです。靴以外のコーデを先に決めたりと、つい後まわしにしてしまいがちな部分ですが、じつは、“靴はコーディネートでとても重要な部分”。服に比べると面積こそ小さいですが、コーディネートのウエイト比重はかなり高いといえます」
と、靴を多くもつ理由を話してくれました。

そのほか、靴やバッグ、アクセサリーなど服に合わせる小物次第で服の着こなしの幅は広がるそう。

「同じコーディネートでも、ストールやスカーフ、アクセサリーなどをアクセントにすることで、全体的な印象はだいぶ変わります」

サイズ、素材、テイストに注目。手持ち服を整理するときの基準

服自体の枚数はそこまで多くなくても問題がないというのなら、この機会にクローゼットの中身をスッキリと片づけたい! クローゼットを見直すときに上林さんが意識していることについても教えてもらいました。

クローゼットにある服を処分するときの目安は、大きく分けて3つあります。

(1)サイズが小さいものは処分

「サイズが小さくて今の自分では着られないものは潔く処分してしまってOK。痩せたら着るかもしれないと思うかもしれませんが、ダイエットに成功したらおそらく新しい服を買うと思うので、けっきょく着る機会はほとんどないと思います」

ただ、年齢的にデザインや色柄が似合わなくなった服に関しては、ある年齢を過ぎるとまた似合うようになったりするので、もし気に入っていてスペースが許すのであれば取っておくのがよさそうです。

(2)素材のよさが失われたものは処分

「毛玉になってしまっていたり、生地が薄くなってしまっていたり、その素材がもつよさが失われてしまったものは処分の対象として考えてみてください」

素材のダメージ具合を見るのは室内ではなく屋外で(自然光の下で)見るのがいちばんわかりやすいそうです。

(3)自分の好きなテイストではなくなったものは処分

「以前、クローゼットがいっぱいになるくらいの量のコートをおもちのお客様がいらっしゃったのですが、そのうちの8割はタグがついたまま、一度も袖を通していないものでした。店員さんから『お似合いです』とすすめられたものを購入していたので、自身でスタイリングする際にテイストがばらけてしまい、上手に着られなかったのですね。意見を人任せにしないことが大切です」

「なにが」「どこが」「どんなふうに」など好きな服を詳細に可視化してみるといいそうです。

たとえば同じトップスでも、靴やバッグ、アクセサリーを変えるだけでまったく違う着こなしをすることができます。

気に入らない服は、もっていても着る機会がないので、潔く処分してしまってもいいそうです。

着こなし方を見つけるために試着は必須

新しく服を購入するときは、試着をすると失敗が少なくてすむと上林さん。

「試着をして『なにか違う?』と違和感を感じたら、その服は買わないほうが賢明です。ただ、『好きなブランドの服だからどうしても諦めきれない』という場合は、感じた違和感を何かでカバーすることができるかを考えてみてください。自分にとって似合わない理由を具体化することができれば、そこを補い、カッコよく着こなすことができるでしょう。

また、同じブランドでも大抵の場合は複数のパターン(型紙)を用意しているので、気に入ったブランドがあればいくつか試着をしてみると似合う服と出合えると思います」

モード系、トラッドスタイル、コンサバ、カジュアルなど、好きなテイストは年齢とともに変化しますが、手もちのアイテムを今の自分の心がときめくものだけに絞れば、どのようなコーディネートを組み立てても、常に心が踊るファッションをつくり上げることができます。ぜひ、参考にしてみてください。