シニアともなると人づきあいの仕方にも変化が。「自分ファーストで、無理なく人とのつながりを楽しんでいる」と語るのは、自身も60歳の著述家・中道あんさん。新しい友達のつくり方、誘いをスマートに断る言葉などについて、自身の体験からアドバイスしてくれました。

60代から始める、新しい人つき合い

60代は、定年退職、子ども独立でライフスタイルも変わる人が多いのではないでしょうか。わが家も子どもたちが家を出て行くのもそう遠くはなさそうな気配で、夫は同居していないので、愛犬との暮らしになりそうです。これでやっと自分のペースで生活できるようになる。仕事もあるし、趣味や習い事もあって寂しくはないけれど、やっぱり人づきあいも大事にしたいもの。

私は、ひとりを気楽に楽しむ時間がなによりも好きですが、人づき合いが煩わしいわけではありません。ひとりでも、そうでなくても楽しめる人でありたいと思うのです。

以前は「親友」とか「心の友」というような、心の中を洗いざらいさらけ出すような濃厚な人間関係に憧れていたし、そういう相手がいることが幸せだと思っていたのですが、いざ60代になると、人間関係は“ほどよい距離のゆるやかな関係”がいいと思っています。そんな私が思う、60代からの新しい人づき合いの心得を紹介します。

60歳でも新しい友達をつくってもいい

定年退職やライフスタイルに変化によって、これまでのしがらみを整理して、友人関係を見直すのが60代ではないでしょうか。たとえば、仕事の上で業務を円滑にするために友達のような関係を築いていた人や、子どもがいたからこそ仲よくなったママ友のような人たちと、シニアになってからも無理してつき合う必要はないでしょう。

いったん、友だち関係をスッキリ見直して、いまの自分の価値観にあった人間関係を新たに開拓して構築するのも幸せなことではないでしょうか。

60歳からは、アクティブに人と出会う

歳を重ねると出不精になっていく人も多いと聞くので、私も気をつけていかないといけないなと思っています。シニアこそアクティブに、です。ではどこで出会うのか? 自分の趣味や関心のある活動やグループに参加することで、気の合う人と出会いやすくなるのではないでしょうか。

新しい人との出会いに対して心の垣根を低くして、エイッと飛び込む勇気をもてれば、積極的にコミュニケーションをとれるようにもなれます。出会いを求めてSNSで繋がっていくのも悪くはありません。私がいま、仲よくしている人たちは、ほとんどブログで出会った方々です。

60歳からは「自分ファースト」で無理なつき合いはしない

60代になれば、時間はたっぷりあるように思われがちですが、私の周りでは「時間をもて余して退屈でしかたがない」なんていう人はひとりもいません。なので、私は友人との約束は、うんと先の予定で、しかも「都合が合えば…」というゆるゆるなものにしています。

無理して相手の都合に合わせてばかりいれば、仕事や家のことも調整しなければならず、楽しみよりもおっくうさが勝ってしまうものです。60代からは、自分の都合を優先していきたいと思います。

60歳は、お誘いを断るときは感謝を忘れずないこと

私は、気が乗らないお誘いには、無理せず断るようにしています。人からの頼みごとや誘いを断るのが苦手という人は多いかもしれませんね。また、断るのが面倒だから、人づき合いそのものが苦手になっている人もいるでしょう。断ることで、相手の気分を損ねて不快にさせるのではと気にしたり、相手が困るんじゃないかと心配したり、余計なことを考えてしまいがち。そうなったら、人づき合いこそストレスの元になります。

断るときには「ごめんなさい」と謝りの言葉を伝える人は多いですが、感謝の言葉を忘れがちになります。スマートに断るのは「感謝の気持ち+理由」で伝えるようにします。私の場合は、「誘ってくれて、ありがとう」と伝えてから、自分の状況を伝えてやんわり丁寧に断るようにしています。

60歳は、「よかれと思って…」は厳禁

歳を重ねたら、相手の領域に踏み込みすぎないことを意識しています。どんなに親しい相手でも、敬意をもって距離感を保つことが大事だと思っているからです。おせっかいな「あなたのためを思って…」というのは、結局は自分の自己満足だったりします。大阪人の私はお節介気質なところがあります。ついつい、聞かれもしないアドバイスをしそうになります。口は災いの元で、余計な一言が自分以外の相手の関係性にヒビが入ることだってあります。もう、みんな成熟した大人なんだから、自分のことは自分で考えて決めるよね。と一歩下がって聞き役に徹するのが丁度いいと思っています。

 

私自身、60代に入ってからも、いろんな出会いがありました。いい人間関係は人生を豊かにしてくれると思います。私には、「飲み友」「グルメ友」「ピラティス友」「ブロ友」などなど、いろんな形の人づき合いを楽しんでいます。ほどよい距離の緩やかな関係は心地良いものです。60代こそ新しい人との出会いを楽しんでいきたいものです。