フランスのスーパーマーケットのワイン売り場(2022年10月12日撮影、資料写真)。(c)Charly TRIBALLEAU / AFP

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【AFP=時事】ワイン消費量の急激な減少に直面するフランスのワイナリーは、ポップカルチャーとのコラボレーションなど米国式マーケティングによる巻き返しを図っている。

 フランスではかつて、ワインは生活に欠かすことのできないものだったが、過去60年で1人当たりの消費量は7割減った。専門家らは減少傾向は今後も続くと予想している。

 ワインが食事に不可欠だとと考えるフランス人は減っている。若い世代はワインは複雑で近寄り難いと感じており、分かりやすいビールや蒸留酒を好む傾向がある。

 ボルドー(Bordeaux)のサンテミリオン(Saint-Emilion)近郊で代々ワインを作って来たティボー・バルデ(Thibault Bardet)氏は、ファンタジードラマが大好きなことを生かし、ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」をテーマにしたワインを作り、8万本を売り上げた。

 この成功を受け、さらに英ドラマシリーズ「ピーキー・ブラインダーズ (Peaky Blinders)」と英小説「指輪物語(Lord of the Rings)」シリーズをテーマにしたワインも発売した。

 バルデ氏は、こうした商品は自社の「認知度を上げるための手段の一つ」だとしており、通常の卸売りではなく、直販がメインになっている。

■「アングロサクソン式」

 コンサルタント会社ソワイン(Sowine)のシルバン・ダデ(Sylvain Dade)氏は、こうした方法はフランス人が「アングロサクソン式」と呼ぶ、英語圏で広く行われているマーケティング手法に倣ったもので、ワイン業界全体で起きている変革の一部だと話した。

 ダデ氏はAFPに対し「フランス、イタリア、スペインのワイナリーは、地元の土を生かして、心と魂を注いでワインを作り、その後は売れることを期待する」だけだが、「アングロサクソンの国では、まず消費者に何が欲しいか聞く」と持論を展開した。

 だがフランスのワイナリーも、シャンパン業界の成功を受け、「マーケティングに金をかける必要性」に気付き始めたという。

 一部の生産者は飲み口を軽くするためにアルコール度数を下げたり、スパークリングにしたりするなどワイン自体の改良を始めている。

 ダデ氏は、最終的にはワイン愛好家が拒絶反応を示す缶入りワインの販売に乗り出す可能性もあると話した。

【翻訳編集】AFPBB News

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