組合つぶしに躍起になっていたAmazonの行為は違法であると訴えているアメリカの全国労働関係委員会(NLRB)に対し、Amazonが「NLRBの組織構造そのものが違憲である」と主張しました。これは、イーロン・マスクのSpaceXや食料品店チェーンのトレーダー・ジョーズが、労働者の権利や組織化について争った際の主張とよく似ています。

Amazon Joins Elon Musk’s SpaceX In Mission to Destroy Federal Agency Protecting Workers

https://www.vice.com/en/article/3ake93/amazon-spacex-nlrb-unconstitutional



Amazon Argues National Labor Relations Board Is Unconstitutional - The New York Times

https://www.nytimes.com/2024/02/15/business/economy/amazon-labor-nlrb.html

Amazon, one of the world's largest employers, has called the National Labor Relations Board 'unconstitutional'

https://www.engadget.com/amazon-one-of-the-worlds-largest-employers-has-called-the-national-labor-relations-board-unconstitutional-011519013.html

NLRBはアメリカ初のAmazon従業員による労働組合が結成された際に行われたAmazonの組合つぶしを調査し、行政法判事に訴えています。主な争点はAmazonによる組合員の違法解雇や組合活動に対する報復、経営陣による交渉なしの一方的な労働規約変更などの疑いを晴らすことになると考えられていたのですが、Amazonはこれとは別に「NLRBの行為と組織構造が違憲である」と主張しました。

Amazonによると、NLRBの行政法判事は少なくとも2段階の解任保護システムによって大統領の監視を免れており、合衆国憲法に規定された行政権を妨げ、権力分立に違反しているとのこと。

Amazonによる違憲の指摘について、Amazon労働組合の代理人を務めるセス・ゴールドスタイン弁護士は「Amazonは裁判所がNLRBの権限を剥奪することを期待しているのでしょう。これにより、Amazonが組合との交渉を停止する可能性もあります」と考察し、これらの異議申し立てによってこの問題が最高裁に持ち込まれる可能性が高まったと語りました。



なお、NLRBが憲法違反であると主張しているのはAmazonだけではありません。2024年1月には、従業員を解雇したのは違法だと訴えたNLRBに対してSpaceXが「違憲」と反訴しており、その数週間後には組合つぶしで訴えられたトレーダー・ジョーズが同様の理由でNLRBを非難しています。

Amazonは上記2社と同様の主張に加えて1歩踏み込み、組織構造の問題に加えて「憲法修正第5条に基づくデュー・プロセスの権利や、(司法制度等について定めた)憲法第3条に違反している」とも主張。陪審員による裁判を経ずに、許可されている以上の法的救済を求めることができるとするNLRBの主張は間違っていると訴えています。



法律専門家によると、NLRBのような政府機関に訴えられた企業が機関そのものを「違憲」と訴えることは近年のトレンドとも言える傾向だとのこと。AmazonやSpaceXの他には、未成年者のデータから利益を得ようとした「Meta」を訴えた連邦取引委員会(FTC)が、逆にMetaから「FTCは違憲だ」と訴え返された事例が挙げられるそうです。

ゴールドスタイン弁護士は、「これはアメリカの労働運動に対する大きな攻撃です。各企業の主張が認められれば、組合を守る理事会はいかなる決定も下すことができなくなるからです。これは団体交渉にとって非常に大きなダメージとなるでしょう」と指摘しました。