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 ボルシア・メンヒェングラードバッハと板倉滉。両者ともに1年前に大きいなターニングポイントを迎え、そして両者ともにそこからなかなか抜け出せずにいる。かたや2022年にグラードバッハは長年チームを支えてきたマックス・エベールSDが電撃退団、ヴィルクスSDへと引き継がれたものの現在はリーグ戦13位と、欧州リーグ常連組としては余りに物足りない結果が続いている。そして一方の板倉滉もまた、昨季にブンデス2部降格を喫したFCシャルケ04から加入、古豪の中で開幕から守備の要として活躍を披露していたものの、9月半ばより負傷離脱。なんとかワールドカップには間に合わせたが、復帰以降のこの1年はそれ以前にみせた輝きをいまだ、取り戻すことはできていない。

数字で見る、板倉滉とグラードバッハのこの1年の不振

 それは両者ともに数字の面からみても明らかである。昨季前半戦は欧州リーグ出場権争いを展開していたグラードバッハは8位で年を越したものの(得失28:24)、最終的には5勝6分8敗で10位でフィニッシュ(24:31)。今季もここまで21試合が経過して5勝7分9敗、13位(36:41)と変わらぬ低迷期が続いているところだ。その一方で板倉滉についても、昨シーズンの加入から先発出場していた5試合でのkicker採点平均は2.9と好成績をマークしていたものの、復帰後の18試合ではkicker採点平均3.9。今シーズンも負傷とアジア杯での影響もあってここまでリーグ戦8試合のみ出場、kicker採点平均は3.5に留まっている。

主力の大量移籍と負傷の波

 特にグラードバッハで更に追い討ちをかけたのは攻撃と中盤の要であったマーカス・テュラムとヨナス・ホフマンをはじめ、主将ラース・シュティンドルやDFラミー・ベンセバイニ、またその前の冬には守護神として長年君臨していたヤン・ゾマーのバイエルン移籍など主力の大量流出に加えて、今季はクラマーやコネ、そして前述の板倉をはじめとして、今季より就任したジェラルド・セオアネ監督は怪我人の対応にも苦心しているところ。再起をかけた後半戦のこれまでのにおけるリーグ戦5試合では1勝1分2敗。とりわけアウグスブルク戦での敗戦や、先日の最下位ダルムシュタット戦での敗戦に目を向けると、チームには暗雲が立ち込めているようにも見える。

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板倉滉も、1年前の負傷から本調子に戻らず

 同様のことは板倉滉自身にもいえることであり、負傷をなんとか克服して日本代表入りを果たし、タイトル奪還をかけたアジア杯に臨んだものの、その過程で軽傷を負い、また準々決勝では痛恨のPK献上。これが土壇場でのイランへの決勝点となり、日本代表はまさかの敗退を喫してしまう。「負けたのは自分のせいです」そう肩を落とし、失意の中で再びドイツに帰還した板倉。さっそく翌日から黙々と練習に励む姿に、セオアネ監督は「「彼は負傷もあったし、それに今回は土壇場での敗戦など、この1週間でいろんなことがあった。だからある程度の時間は必要だろう」とコメント。

恵の雨、そしてダルムシュタット戦で見せた希望

 幸いにも直後に開催予定であったドイツ杯準々決勝ザールブリュッケン戦は悪天候のため中止となり、板倉は週末のダルムシュタット戦より先発として参加。結果としては最下位を相手に勝ち点1という痛み分けに終わってしまうものの、それでもこの試合では3バックの中央で安定した活躍を披露。無失点に貢献するなど、kicker採点2.5と奮起を期待させる動きをみせた。

既に上位3クラブとの後半戦を終えているグラードバッハ

 一方のグラードバッハもまたこの苦しい結果の中で好転への兆しを感じさせており、実は前述の年明け5試合で既に上位3クラブとの対決を消化。3位シュツットガルトには勝利、無敗の首位レバークーゼンにはスコアレスドローで貴重なアウェイ戦での勝ち点1を確保することに成功。さらに絶対王者バイエルンとは同じくアウェイ戦で1−3と敗れこそしたものの、明らかな善戦をみせており、ダルムシュタット戦ではドローの中でパス成功率は今季最高値、シュート総数は今季2番目を記録。あとはゴール、そして結果がついてくることを願うばかりだ。