(株)ジャパンマルチメディア放送(TDB企業コード:895011656、資本金1000万円、東京都千代田区麹町1-7、代表清算人土屋正巳氏)は、1月12日に東京地裁より特別清算開始命令を受けた。

 当社は、2014年(平成26年)1月に設立。エフエム東京をはじめ、電機や放送、通信など多くの企業から出資を得て、その後、エフエム東京の関連企業となっていた。アナログ放送終了後のVHF−Low(以下V−Low)帯の電波を用いて映像、音声、データ放送などの多様なサービスを地域ごとに配信、提供するV−Lowマルチメディア放送の推進および放送設備の設置や放送を行う子会社の統括を手がけていた。

 V−Lowマルチメディア放送は、2016年3月に「i−dio(アイディオ)」のサービス名で東京、大阪、福岡の3つのエリアでプレ放送を開始。その後、子会社各社(7地域で6つの放送局)が多数のコンテンツプロバイダー(以下CP)を得意先として、CPから音声や画像、データなどのデジタル放送を受注し、放送設備を設置する子会社の放送設備を利用し、スマートフォンやタブレット端末、カーナビ、専用端末等を通して、視聴者に届けていた。具体的な放送コンテンツとしては、ニュースや音楽、渋滞情報、災害情報、緊急警報、コミュニティ情報などで、エンドユーザーの大半は地方自治体となっていた。当社はグループ全体の統括会社として、子会社からの経営指導料を収入として、2019年3月期には年収入高約4億9200万円を計上していた。

 しかし、主要株主であるエフエム東京がリスナーの減少が続くラジオ業界の事業領域拡大を目指し、ラジオの一斉同報性とインターネットの双方向性を融合させようとした戦略事業であったが、子会社の放送局各社が思うような業績を上げられず、厳しい運営を強いられていた。こうしたなか、エフエム東京が、i−dio事業の継続について検討した結果、今後も収益改善が見込めないと判断し、2020年3月末をもって、i−dio放送を終了していた。

 その後、会社運営体制を整理・縮小したうえで事業清算手続きを進めていたが、メドが立ったことから、2023年9月14日に株主総会の決議により解散していた。

 負債は約47億5392万円。