ローリングストーン誌が選ぶ史上最高のギタリスト250人をカウントダウン形式で一挙紹介。あらゆるジャンルの名手をピックアップした壮観極まりないランキングをお届けする。

「ギターは単なる楽器ではない。私の身体の一部であり、私自身のアイデンティティを特徴づける存在」と、ジョーン・ジェットはかつて語っている。楽器の中でもギターは最も普遍的な存在であり、音楽の中心にあって豊かな表現を可能にしてくれる。手軽に手にできる楽器である一方で、一生かけてもギターの持つ可能性を追求することは難しい。だからこそ、偉大なギタリストと呼ぶ理由を探る作業は、とても興味深い。

ローリングストーン誌では、2011年に『歴史上最高のギタリスト100人』のランキングを公開している。当時のランキングは、主にベテラン・ロッカーを中心とするミュージシャンが選んだギタリストで構成されていた。今回は、ローリングストーン誌のエディターとライターが、250人のギタリストを選出している。

ギタープレイヤーは、バンドの中のリードシンガーと同等のアイコン的な扱いをされることが多い。ただし、ジミー・ペイジ、ブライアン・メイ、エディ・ヴァン・ヘイレンのような伝説的ギターゴッドは、ごく稀な存在だ。今回のランキングは、日々進化するギターの歴史を網羅する目的もある。例えばリスト中で最も古い存在は、著名なフォーク・ミュージシャンのエリザベス・コットンで、1893年に生まれている。逆に最も若いのは、インディー・ロックの天才リンジー・ジョーダンで、1999年生まれだ。最新ランキングは、ロック、ジャズ、レゲエ、カントリー、フォーク、ブルーズ、パンク、ヘヴィメタル、ディスコ、ファンク、ボサノヴァ、バチャータ、コンゴルンバ、フラメンコなど、実に幅広いジャンルを網羅している。リストには、パット・メセニー、イヴェット・ヤング、スティーヴ・ヴァイら天才ギタリストから、ジョニー・ラモーンやポイズン・アイヴィ(ザ・クランプス)といった伝統のスタイルを重んじるギタリストが並ぶ。また、プリンス、ジョニ・ミッチェル、ニール・ヤングといった大スターもいれば、メンフィス・ソウルのティーニー・ホッジズやスムーズ・ロックの名手ラリー・カールトンら各ジャンルを支える大御所もいる。

さらに、デュオとして才能を発揮したギタリストもいる。ブリーダーズのキム・ディールとケリー・ディール、アイアン・メイデンのエイドリアン・スミスとデイヴ・マーレイらが、それぞれリストに入っている。ランクインの候補者として選択される唯一の条件は、ギタリストであることだ(バラライカの演奏家は、今後ランクインする可能性があるかもしれない)。

ランキングを作成するにあたり、テイストよりもヘヴィさ、上品さよりもフィーリング、模倣より創造性、テクニックよりも冒険心やオリジナリティを重視した。また天賦の才能を、素晴らしいギタープレイで表現しただけでなく、名曲や革新的なアルバムという形で残したアーティストを中心にセレクトした。

モダン・ブルーズ界の期待の星ゲイリー・クラーク・ジュニアが言うように「少しなら道を外れてもいいが、森の中に迷い込みたくはない。とはいえ少しはフラフラと冒険してみるのが好き」というギタリストたちが揃った。

250位 アンディ・サマーズ(ポリス)

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249位 ブリタニー・ハワード(アラバマ・シェイクス)

SACHA LECCA FOR ROLLING STONE

248位 ロビー・クリーガー(ドアーズ)

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247位 リッキー・ウィルソン(B-52's)

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246位 ポール・サイモン(サイモン&ガーファンクル)

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245位 レスリー・ウェスト(マウンテン)

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244位 エディリオ・パレデス(Edilio Paredes)


243位 アーロン・デスナー&ブライス・デスナー(ザ・ナショナル)

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242位 リンジー・ジョーダン(スネイル・メイル)

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241位 キース・アーバン

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240位 エリン・スミス(ブラットモービル)

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239位 デュアン・エディ

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238位 ダグ・ギラード(ガイデッド・バイ・ヴォイセス)

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237位 ジェニファー・バトゥン

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236位 グレッグ・セイジ(ワイパーズ)

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235位 ローラ・マーリング

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234位 ジョン・マッギオーク(スージー・アンド・ザ・バンシーズ、マガジン)

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233位 H.E.R.

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232位 デヴィッド・ウィリアムズ

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231位 エタ・ベイカー

TIMOTHY DUFFY

230位 グスタボ・セラティ(ソーダ・ステレオ)

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229位 バーバラ・リン

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228位 スティーヴ・ジョーンズ(セックス・ピストルズ)

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227位 グレン・ブランカ

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226位 エル・ケンプナー(ペールハウンド)

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225位 フレッド "ソニック" スミス&ウェイン・クレイマー(MC5)

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224位 マーヴ・タープリン(スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ)

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223位 ジョセフ・スペンス

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222位 モリー・タトル

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221位 ジェームス・ブラッド・ウルマー

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220位 コートニー・バーネット

GRIFFIN LOTZ FOR ROLLING STONE

219位 グレン・ティプトン&K・K・ダウニング(ジューダス・プリースト)

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218位 リジー・ヘイル(ヘイルストーム)

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217位 トーマス・マクラリー(コモドアーズ)

(with Lionel Ritchie) ALAMY

216位 スティーヴ・ハケット(ジェネシス)

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215位 カート・ヴァイル

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214位 灰野敬二

ALAMY

日本人ミュージシャン灰野敬二のフリーフォームなソロ・パフォーマンスは、ギターを弾いているのか、それとも実は悪魔祓いをしているのかはっきりしない、キーキーとノイジーなカタルシスにおけるエクササイズだ。1990年代後半に結成したバンド哀秘謡では、セルフタイトルのデビュー作で、美しくかつ荒々しく、深い情感に満ちたアンサンブルを聴かせている。ソフトなキラキラとしたギターコードで癒しを与えたかと思えば、次の瞬間にはファズのスコールでリスナーの鼓膜をズタズタにする。「(楽器演奏を)しこたま学習するのは他人に評価されることを望んでいるから、僕上手いでしょって」と彼は、VICE Japanのインタビューで語っている。「そういう人がやってるのがインプロビゼーションだなんて、僕からしたらとんでもないよ」。

213位 ルーシー・ダッカス(ボーイジーニアス)

GRIFFIN LOTZ FOR ROLLING STONE

212位 ホセ・フェリシアーノ

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211位 ニック・ジナー(ヤー・ヤー・ヤーズ)

SACHA LECCA FOR ROLLING STONE

210位 カーキ・キング

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209位 ゲイリー・クラーク・ジュニア

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208位 アマドゥ・バガヨコ(アマドゥ&マリアム)

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207位 ジャスティン・ブロードリック(ゴッドフレッシュ、イェスー、ナパーム・デス)

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206位 ヒュー・マクラッケン

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205位 エリック・ジョンソン

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204位 リン・テイト

FEDERAL RECORDS

203位 グラント・グリーン

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202位 ヴィンス・ギル

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201位 ゲイリー・シャイダー(パーラメント=ファンカデリック)

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200位 クリストーン・”キングフィッシュ”・イングラム

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199位 ボンビーノ

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198位 ジェリー・リード

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197位 ヌーノ・ベッテンコート(エクストリーム)

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196位 ジェームス・テイラー

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195位 グレッグ・ギン(ブラック・フラッグ)

(With Henry Rollins of Black Flag)FRANK MULLEN/WIREIMAGE/GETTY IMAGES

194位 ブライアン・ロバートソン&スコット・ゴーハム(シン・リジィ)

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193位 デヴィッド・リンドレー

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192位 リタ・フォード

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191位 チャーマーズ・エドワード・”スパンキー”・アルフォード

YOUTUBE SCREENGRAB

190位 ライトニン・ホプキンス

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189位 ジェリー・カントレル(アリス・イン・チェインズ)

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188位 マーニー・スターン

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187位 マーク・リーボウ

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186位 スティーヴ・ルカサー(TOTO)

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185位 ペギー・ジョーンズ

ALAMY

184位 エルドン・シャンブリン(ボブ・ウィルス&ヒズ・テキサス・プレイボーイズ)

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183位 ロイ・ブキャナン

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182位 アール・"チナ"・スミス

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181位 ラリッサ・ストリックランド(Laughing Hyenas)

DOUG COOMBE

180位 マイク・キャンベル(トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ)

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179位 アーネスト・ラングリン

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178位 スキップ・ジェイムス

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177位 ロドリーゴ・サンチェス&ガブリエーラ・クインテーロ(ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ)

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176位 セイディー・デュピュイ(スピーディー・オーティズ)

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175位 ロリー・ギャラガー

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174位 マーティ・スチュアート

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173位 ポール・マッカートニー(ザ・ビートルズ)

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172位 クリッシー・ハインド(プリテンダーズ)

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171位 D・ブーン(ミニッツメン)

(as The Minutemen)GARY LEONARD/CORBIS/GETTY IMAGES

170位 フィル・マンザネラ(ロキシー・ミュージック)

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169位 ジェシー・メイ・ヘンフィル

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168位 ジョン・シポリナ(クイックシルヴァー・メッセンジャー・サービス)

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167位 ジェームズ・ウィリアムソン(ザ・ストゥージズ)

(With Iggy Pop) RICHARD CREAMER/MICHAEL OCHS ARCHIVES/GETTY IMAGES

166位 ジョニー・ウィンター

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165位 ロキア・トラオレ

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164位 デイヴ・デイヴィス(ザ・キンクス)

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163位 ワー・ワー・ワトソン

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162位 ホジーニャ・ヂ・ヴァレンサ

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161位 ティム・ヘンソン(ポリフィア)

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160位 キム&ケリー・ディール(ザ・ブリーダーズ)

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159位 ジョン・レノン(ザ・ビートルズ)

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158位 ジョニー・サンダース(ニューヨーク・ドールズ、ハートブレイカーズ)

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157位 パット・メセニー

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156位 カール・パーキンス

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155位 イヴェット・ヤング(コヴェット)

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154位 ビル・フリゼール

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153位 オーティス・ラッシュ

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152位 アーニー・ディフランコ

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151位 ピート・コージー

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150位 マリッサ・パターノスター(スクリーミング・フィメールズ)

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149位 ロン・アシュトン(ザ・ストゥージズ)

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148位 アイク・ターナー

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147位 メンフィス・ミニー

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146位 マイク・ブルームフィールド

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145位 ディッキー・ベッツ(オールマン・ブラザーズ・バンド)

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144位 オデッタ

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143位 アイラ・カプラン(ヨ・ラ・テンゴ)

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142位 ジョアン・ジルベルト

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141位 フレドリック・トーデンダル(メシュガー)

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140位 スティーヴン・スティルス(バッファロー・スプリングフィールド、クロスビー・スティルス&ナッシュ)

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139位 スーザン・テデスキ(テデスキ・トラックス・バンド)

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138位 ティーニー・ホッジス

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137位 リズ・フェア

STEVE EICHNER/GETTY IMAGES

136位 ジョー・ペリー(エアロスミス)

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135位 ロジャー・マッギン(バーズ)

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134位 ボブ・モールド(ハスカー・ドゥ)

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133位 ロバート・クレイ

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132位 ニルス・ロフグレン(E・ストリート・バンド)

FIN COSTELLO/REDFERNS/GETTY IMAGES

131位 ダイムバッグ・ダレル(パンテラ)

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130位 ジョー・ウォルシュ(ジェイムス・ギャング、イーグルス)

RICHARD E. AARON/REDFERNS/GETTY IMAGES

129位 ニタ・ストラウス(アリス・クーパー)

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128位 ボブ・スティンソン(リプレイスメンツ)

(Bob Stinson[R]of the Replacements) MICHAEL OCHS ARCHIVES/GETTY IMAGES

127位 スティーヴ・ヴァイ

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126位 キム・セイル(サウンドガーデン)

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125位 ヴィヴ・アルバーティン(ザ・スリッツ)

([L to R]Viv Albertine, Bruce Smith, Ari Up) DAVID CORIO/REDFERNS/GETTY IMAGES

124位 マイク・マクレディ&ストーン・ゴッサード(パール・ジャム)

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123位 スティーヴ・ハウ(イエス)

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122位 キング・サニー・アデ

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121位 ディック・デイル

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120位 ウォーレン・ヘインズ(オールマン・ブラザーズ・バンド、ガヴァメント・ミュール)

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119位 ドニータ・スパークス(L7)

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118位 エイドリアン・ブリュー

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117位 アルバート・コリンズ

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116位 アナ・ダ・シルヴァ(レインコーツ)

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115位 ネルス・クライン(ウィルコ)

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114位 ロバート・クワイン

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113位 アレン・コリンズ&ゲイリー・ロッシントン(レーナード・スキナード)

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112位 ローランド・S・ハワード(ザ・バースデイ・パーティ)

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111位 ケリー・ジョンソン(ガールスクール)

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110位 リンジー・バッキンガム(フリートウッド・マック)

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109位 ミック・ロンソン(デヴィッド・ボウイ)

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108位 マール・トラヴィス

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107位 クラレンス・ホワイト(ケンタッキー・カーネルズ、バーズ)

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106位 ピーター・バック(R.E.M.)

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105位 スラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ)

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104位 アリ・ファルカ・トゥーレ

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103位 ナンシー・ウィルソン(ハート)

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102位 ビリー・ギボンズ(ZZトップ)

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101位 ジョン・フォガティ(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)

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100位 ケリー・キング(スレイヤー)

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99位 トーシン・アバシ(アニマルズ・アズ・リーダーズ)

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98位 リンク・レイ

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97位 スティーヴン・マルクマス(ペイヴメント)

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96位 マーク・ノップラー(ダイアー・ストレイツ)

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95位 メアリー・ティモニー(ヘリウム、ワイルド・フラッグ)

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94位 ジョー・サトリアーニ

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93位 レオ・ノセンテリ(ミーターズ)

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92位 Wata(Boris)

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Wataの奏でる楽器は、ギターというよりもアンプだと言える。アバンギャルドなメタル・トリオとして長い歴史を持つ彼女のバンド、Borisはアルバムに『Amplifier Worship』、『Feedbacker』、『Noise』といったタイトルを付けている。彼女がアンプを通して作り出す轟音や倍音によるファジーなコードのひとつひとつが消え去るまで響く様子を、文字通りに表現しているのだ。しかしWataの生み出すサウンドは、ノイズの域を超えている。MerzbowやSunn O)))のようなノイズミュージック・バンドとのコラボレーションを含むBoris名義の30枚近いアルバムで、彼女とバンドメンバーは、サイケデリック・ロック、ドゥーム・メタル、シューゲイザーなどを幅広く経験してきた。中でも印象的なのは『PINK』でのギタープレイで、彼女はEBow(エレクトリック・ギター用の電子バイオリン弓)を使い、音の波の上をサーフィンするようなサウンドを作り出している。

91位 キャット・クーア (サード・ワールド)

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90位 エムドゥ・モクター

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89位 ルー・リード

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88位 カート・コバーン (ニルヴァーナ)

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87位 ポイズン・アイヴィ (ザ・クランプス)

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86位 ソニー・シャーロック

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85位 ラリー・カールトン

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84位 マディ・ウォーターズ

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83位 エイドリアン・スミス&デイヴ・マーレイ(アイアン・メイデン)

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82位 ウェス・モンゴメリー

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81位 バート・ヤンシュ

DAVID REDFERN/REDFERNS/GETTY IMAGES

80位 デレク・トラックス(テデスキ・トラックス・バンド)

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79位 アーニー・アイズレー(アイズレー・ブラザーズ)

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78位 チャーリー・クリスチャン

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77位 ウィリー・ネルソン

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76位 ジョーン・ジェット(ランナウェイズ、ザ・ブラックハーツ)

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75位 リッチー・ブラックモア(ディープ・パープル、レインボー、ブラックモアズ・ナイト)

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74位 J・マスキス(ダイナソーJr)

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73位 ヒューバート・サムリン

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72位 ジョン・マクラフリン

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71位 フランコ・ルアンボ(フランコ&OKジャズ)

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70位 ジャンゴ・ラインハルト

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69位 ロビー・ロバートソン(ザ・バンド)

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68位 レス・ポール

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67位 ケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)

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66位 ライ・クーダー

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65位 T-ボーン・ウォーカー

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64位 キャリー・ブラウンスタイン(スリーター・キニー)

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63位 リチャード・トンプソン(フェアポート・コンヴェンション)

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62位 ピーター・グリーン(フリートウッド・マック)

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61位 ジョン・メイヤー

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60位 スコッティ・ムーア

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59位 ロバート・フリップ(キング・クリムゾン)

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58位 アレックス・ライフソン(ラッシュ)

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57位 サーストン・ムーア&リー・ラナルド(ソニック・ユース)

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56位 ジョニー・マー(ザ・スミス)

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55位 ミック・テイラー(ザ・ローリング・ストーンズ)

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54位 ボニー・レイット

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53位 トレイ・アナスタシオ(フィッシュ)

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52位 ジョン・リー・フッカー

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51位 トム・ヴァーレイン(テレヴィジョン)

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50位 エルモア・ジェイムス / Elmore James

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ミシシッピー出身のシンガー&ギタリスト。エルモア・ジェイムスといえば、ロバート・ジョンソンの「I Believe Ill Dust My Broom」のカバー曲(1951年)で聴けるスタッカートのリズムと、スライドギターを組み合わせたギターリフが有名だ。「最高のリックだった」と、同じくスライドギターの名手であるデレク・トラックスは言う。「アコースティック・ギターにエレクトリックのピックアップを付けて弾く彼のギターには、何か爆発的なものを感じる。彼の歌声も、ピックアップを通じて聴こえてくる気がする」という。「Shake Your Moneymaker」や「Stranger Blues」にフィーチャーされたジェイムズ特有のギターリックのバリエーションは、1963年に彼がこの世を去った後に訪れたブルーズ・ブームのスタンダードになった。ジェイムズのギターは、何世代にも渡り多くのギタリストたちに影響を与え続けている。「エルモア・ジェイムズのようなサウンドに近づきたいと思って、1日12時間、毎日指先から血がにじむまで練習した」とロビー・ロバートソンは証言する。「そんな俺を見かねた誰かに言われたよ。ジェイムズは実はスライドバーを使って弾いているんだぜってね」。

49位 PJハーヴェイ / PJ Harvey

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「16歳か17歳で初めてギターに触れた頃を、よく思い返すの」と、ポーリー・ジーン・ハーヴェイはザ・ニューヨーカー誌のインタビュー(2023年7月)で語っている。「それ以前は、たくさんの言葉を書き連ねていた。私の書いた言葉と音楽を融合できるんだと知った時は、まるで目の前の扉が開くような喜びを感じたのを覚えている」と彼女は言う。創造することのスリル感は、PJハーヴェイが時代を変えた初期のアルバム『Dry』や『Rid of Me』に顕著に現れている。当時の彼女のギターはジャギーで荒削りだったが、30年が経ち、より洗練されてきた。とはいえ、感情をむき出しにした挑戦的なギターサウンドは健在だ。「以前やったことの繰り返しには興味がない」と彼女は言う。「一度も耳にしたことのないサウンドを発見することにワクワクするの」

48位 カーティス・メイフィールド / Curtis Mayfield

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今は亡きカーティス・メイフィールドは、アメリカン・ソウル界で最高のシンガーソングライター兼プロデューサーだった。またギタリストとしても、メイフィールドのなめらかで優雅なメロディーとギターフィルは、隠れたファンも多い。例えばジミ・ヘンドリックスのサイケデリックなバラードには、ジ・インプレッションズの「Gypsy Woman」からの大きな影響を感じる。「60年代のギタリストは誰もが、カーティスのようなギタースタイルに憧れた」とジョージ・クリントンは断言する。70年代に入ってソロ活動を始めたメイフィールドは、ギタースタイルも進化を続けた。映画『スーパーフライ』のサウンドトラックやヒット曲「Move on Up」は、ファンクのリズムに乗せてリードパートにワウワウも駆使したノリの良い音楽だ。彼の流れるようなコード進行は、他のミュージシャンには真似できない。理由のひとつは、メイフィールドがF#のオープンチューニングを多用したことにある。「自己流だし、スタイルを変えることはできない」とメイフィールドは語った。「俺の自慢になるが、どんなに上手なギタリストに俺のギターを持たせても、誰もまともに弾けないのさ」。

47位 ジ・エッジ / The Edge

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70年代にティーンエイジャーだったジ・エッジは、パンク、ニューウェイヴ、ファンク、ブルーズ、R&Bなど、あらゆるジャンルの音楽からギターを学んだ。U2の初期の作品には、彼が影響を受けてきたあらゆる要素が融合されている。彼はディレイ、エコー、リヴァーブなどのエフェクターを駆使して、ユニークなサウンドを生み出した。ジ・エッジは「理論に基づいてプレイしたり作ったりする人間ではない」と、かつてローリングストーン誌のインタビュー(2016年)で語っている。「自分で音を出して試行錯誤しながら作っていくタイプだ。偶然に魅力的なサウンドが生まれる瞬間が好きなのさ。俺は音から多くのインスピレーションを得ている。サウンドが良ければ、ギタープレイヤーとしてもより良くなれると思う」と彼は言う。『The Joshua Tree』までに独自のサウンドを確立したジ・エッジだが、90年代に入ると、ヘヴィなクラウトロックやクラブ音楽の要素も採り入れるようになった。「コードを弾いただけで誰だかわかるギタリストは、珍しい」とジョー・ボナマッサは言う。「彼の場合は、コードをひとつ鳴らしただけで、ジ・エッジだと分かる」。

46位 フランク・ザッパ / Frank Zappa

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「ギターを弾き始めた頃にのめり込んだアルバムだ」と、フィッシュのトレイ・アナスタシオが2005年に挙げたのが、フランク・ザッパの難解でヘヴィなアルバム『Shut Up n Play Yer Guitar』だった。「ギターの持つあらゆる限界を、他の誰もが思い付かないやり方で試したのが、フランク・ザッパだ」とアナスタシオは言う。ドゥーワップ、アーバン・ブルーズ、ビッグバンド・ジャズ、モダニズムなどを融合したザッパは、絶対的なボスとしてマザーズ・オブ・インヴェンションなど、そうそうたるメンバーが在籍した伝説のバンドを率いた。ギタリストとしてのザッパは、あらゆるジャンルの要素を採り入れながらのインプロヴィゼーションを、時には激しく、時には心から楽しんで演奏した。『Hot Rats』(1969年)収録の「Willie the Pimp」で聴かせたギターソロは、グリージーなディストーション・サウンドにワウワウを細かく使いこなした、熱情的なブルーズのスラロームだった。正に終わりのないスタジオ・パーティーだ。

45位 スティーヴ・クロッパー / Steve Cropper

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スティーヴ・クロッパーについて、ピーター・バック(元R.E.M.)は「自分史上最高のギタリストだ。彼のホットなギターソロを挙げろと言われても難しいが、それでも彼のギタープレイはパーフェクトだ」と評した。クロッパーは、ロック/ソウル名曲の「隠し味」的な存在だと言える。ティーンエイジャーの頃に在籍したザ・マーキーズの「Last Night」が、彼のキャリアで最初のヒット曲になった。その後、60年代の大半をブッカー・T&ザ・MG'sのメンバーとして過ごした。同バンドはスタックス・レコーズの専属で、カーラ・トーマス、オーティス・レディング、ウィルソン・ピケットらのヒット曲に貢献した。以来、彼の無駄がなくソウルフルなギタープレイは、ブルース・ブラザーズ・バンドをはじめとする多くのロックやR&Bの作品で聴かれるようになる。サム&デイヴ「Soul Man」のギターイントロ、ブッカー・T「Green Onions」でのチョーキング、レディング「(Sittin on) The Dock of the Bay」における繊細なギターフィルなどは、どれもクロッパー特有のサウンドで、正にソウル・ギターの真髄だ。「ステージで目立とうなんて全く考えていない」とクロッパーは言う。「これまでも、そしてこれからも、私はバンドのいちメンバーなんだ」。

44位 ジョニー・ラモーン / Johnny Ramone

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パンクロック・ギターの父として、ギターリフを中心とした現代のヘヴィメタルに幅広い影響を与えたジョニー・ラモーンは、ギターの偉大なるアンチヒーローと言える。ジョニー・ラモーンことジョン・カミングズは、安価なモズライト・ギターをトレードマークとし、バレーコードを力強くダウンストロークするシンプルでクールなスタイルは「バズソー(電動のこぎり)」と呼ばれた。ギターソロはほとんど弾かなかったものの、ラモーンズのピュアなリズム・エンジンとして、迫り来る地下鉄のような勢いのあるギターを聴かせていた。「ヘヴィ」という言葉が「スロー」の同義語として語られていた時代もあった。しかし「Blitzkrieg Bop」や「Judy Is a Punk」、跳ねるようなグリッサンドが印象的な「Rockaway Beach」で披露した、荒削りだがメトロノームのように正確な彼のギターリフは、パワーを1ミリも損なうこと無くスピードアップできることを証明した(意外にもラモーンは、自身のギターヒーローとしてジミー・ペイジの名前を挙げている)。「ジョニーほど熱狂的なギタープレイは見たことが無い」とヘンリー・ロリンズは証言する。「”何てクールなんだ”と衝撃を受けた」。

43位 ジョニー・グリーンウッド&エド・オブライエン / Jonny Greenwood and Ed OBrien

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レディオヘッドの楽曲「Creep」のコーラス直前に入るジャカ、ジャカという歪んだギターや、「Just」の高音のギターソロに見られるように、当初からジョニー・グリーンウッドは、ギターを使って他人がやらないようなことに挑戦していた。特に初期は、手首に医療用リストバンドを巻かねばならないほどアグレッシブに弾いていたが、やがてそんなギタースタイルにも飽きてしまった。「僕にとってギターはそう重要なものではない」と、1997年のギターマガジン誌のインタビューで語っている(同年にバンドは「Paranoid Android」をレコーディングしている。同じ人間が語った言葉とは思えない)。ネオクラシカルなコンポーザーへと成長したグリーンウッドだが、各アルバムには必ず1か所は爆発的なギターパートが挿入されている。レディオヘッドでグリーンウッドの横にいるエド・オブライエンは、ロックの世界でもっと高く評価されるべきギタリストだろう。彼がレディオヘッドのステージで奏でるギターは各楽曲に繊細なテクスチャーを加え、快活で前向きな性格でバンドを下支えしている。印象的なオブライエンのギターソロを挙げてみろと言われても、難しいかもしれない。しかし、彼のいないレディオヘッドなど想像できない。

42位 ヴァーノン・リード / Vernon Reid

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リヴィング・カラーは、1980年代に黒人ミュージシャンによるハードロックの代表格として君臨し、MTVでもスターになった。バンドと同じく注目すべきは、速弾きギタリストのヴァーノン・リードだ。彼はジャズ、フュージョン、ファンク出身のギタリストが、強烈なハードロックにも自身のバックグラウンドをフルに活かせることを証明してみせた。リードが頭角を現したのは、80年代初頭にアヴァンギャルドのドラマー、ロナルド・シャノン・ジャクソンのバンドに参加した時だった。そしてリヴィング・カラーの「Cult of Personality」における印象的なギターリフは、「Times Up」の幻想的なスピードメタルや「Funny Vibe」の狂気の速弾きなど、リードの弾くギターの多彩さの一部に過ぎない。ミック・ジャガーやジョン・ゾーンらから引く手あまただったのも納得がいく。リヴィング・カラーが直近にリリースしたアルバム『Shade』(2017年)でも、リードは多種多様なエフェクトやサウンドの引き出しを披露している。

41位 ボ・ディドリー / Bo Diddley

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「彼はギターリフの宝庫だ」とジョニー・マーは表現した。シカゴ生まれのディドリー、本名エラス・オタ・ベイツは「ボ・ディドリー・ビート」の生みの親でもある。「Mona」や「Bo Diddley」ではトレモロ・エフェクターを効果的に使い、奴隷によって伝えられた西アフリカのグルーヴをさらにパワーアップしている。ディドリーの生み出したギターリフは、バディ・ホリーやザ・ローリング・ストーンズ(1964年に「Mona」をカバー)らに受け継がれ、さらに荒削りのシンプルさが、ガレージロッカーやパンクロッカーらを魅了した。「ギターを持てば誰でも弾ける。ビートを刻み続けられれば、ボ・ディドリーになれる」と、ダン・オーバックは言う。「彼のスタイルは大きなインパクトがある」とキース・リチャーズは言う。「俺たちの愛したジャンルの音楽は、必ずしもミシシッピーで生まれたものだけではなかった。どこか別のところからも聴こえてきたのさ」。

40位 ジョン・フェイヒィ / John Fahey

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2001年に61歳でこの世を去ったジョン・フェイヒィは、見事なフィンガーピッキングで有名なアメリカン・フォークギターの異才だった。彼はトラディショナルなブルーズにモダン・クラシックの高度なハーモニーを融合させ、ブルーズの持つ美しさを巧みに掘り起こした。「彼の音楽には、果てしない自由を感じる」と元キャプテン・ビーフハートのギタリスト、ゲイリー・ルーカスは言う。フェイヒィは『The Transfiguration of Blind Joe Death』(1965年)や『The Voice of the Turtle』(1968年)などの名作アルバムを、自身のレーベルであるタコマ・レコーズからリリースしている。また、優れた音楽学者でもあった。90年代になるとフェイヒィはエレキギターに持ち替えて、スパイキーなミニマリズムへと転向した。「ジョン・フェイヒィのお墨付きを得られたことは、俺たちのやっている音楽のジャンルにとって、本当に特別なことだった」と、ソニック・ユースのサーストン・ムーアは言う。

39位 チェット・アトキンス / Chet Atkins

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レコード会社の重役兼プロデューサーとしても活躍したチェット・アトキンスは、ポップな「ナッシュビル・サウンド」の生みの親として、商業的に低迷していた1960年代のカントリー・ミュージック界を救った。カントリー、ジャズ、クラシックをマスターした彼は、ギタリストとしてもさらに創造性豊かで、親指とその他の3本の指を使ってコードとメロディを同時に弾く独特の演奏スタイルを生み出した。「試行錯誤の繰り返しさ」と、1976年にローリングストーン誌のインタビューで語っている。「1日16時間ギターを離さず、あらゆることを試した」。ハンク・ウィリアムズの「Your Cheatin Heart」やエルヴィス・プレスリーの「Heartbreak Hotel」、エヴァリー・ブラザーズの初期のヒット作で聴けるアトキンスの演奏は、リラックスして控えめだ。しかし一方で、インストゥルメンタル中心のソロアルバムには、さまざまなギタートリックや絡み合うハーモニー、アルペジオ、ピュアで透明感のあるクリアなトーンがぎっしり詰まっている。「すべてのギタリストに影響を与えたんじゃないか」とデュアン・エディは言う。

38位 アンガス・ヤング&マルコム・ヤング / Angus Young and Malcolm Young

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AC/DCの1990年のシングル曲「Thunderstruck」はまるで、モーツァルトとジョン・リー・フッカーを足して2で割ったようなサウンドだった。アンガス・ヤングが電光石火のオスティナートを奏で続け、兄のマルコム・ヤングは大地を揺るがすブルーズリフを繰り出す。2人のギタリストが、AC/DCの比類なき爆発力を支えている。アンガスの荒々しいプレイとマルコムの堅実なギターは、歴代シンガーのボン・スコットとブライアン・ジョンソンの発する危うい歌詞と共に、バンドのトレードマークとなった。「Highway to Hell」や「Back in Black」でマルコムが弾くノリの良いギターリフに乗せて、ランドセルを背負った身長158cmの問題児アンガスが、強烈なギターソロでオーディエンスを挑発しながら、一躍ギターヒーローになった。「Whole Lotta Rosie」や「If You Want Blood (Youve Got It)」、「For Those About to Rock」に代表されるように、2人のパワーの相乗効果がAC/DC独自のうねりを生み出す。

37位 ピート・タウンゼント / Pete Townshend

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ギターには、ルート音と5度上の2音だけに絞って鳴らすパワーコードというのがある。ピート・タウンゼントがパワーコードの生みの親という訳ではないが、彼がパワーコードを使ったビッグなサウンドを誇示してくれたお陰で、現代のギタリストはヒーロー扱いされるようになった。例えばザ・フーの楽曲「Wont Get Fooled Again」の冒頭で鳴る、ジャーンというA音とE音のコードが、分かりやすい例だ。タウンゼントは、アンプのフィードバック音を音楽の一部として利用した最初のプレーヤーの一人だった。さらに、ギターソロよりもリフとソングライティングを重視した(タウンゼントのリードギターは過小評価されていると思う)スタイルにより、ウッドストック世代のパンクロッカーたちに愛されるギタリストとなった。一方で「Substitute」や「Pinball Wizard」ではドローンノートやコード転回を駆使するなど、単にパワーだけでなく洗練されたギタープレイもできることを証明している。ザ・フーのライヴは、スタジオ盤よりもヘヴィなことで知られた。『Live at Leeds』時代のコンサートでは、レッド・ツェッペリン、ヘヴィメタル、パンクへの指向が強く見られると同時に、ギターが将来向かうべき方向性も示していた。

36位 エリザベス・コットン / Elizabeth Cotten

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エリザベス・コットンはすべて独学で、ユニークなギタースタイルとサウンドを確立した。ノースカロライナ州出身の彼女は一時期、音楽一家であるシーガー家で働いていた。彼女は左利きだが、通常の右利き用に弦を張ったギターをそのままひっくり返して弾いていた。そのため、彼女の名作「Freight Train」で見られるように、親指でメロディを奏で、その他の指でベース音を弾くリズミカルな奏法が生まれた。「自分で全パートを担当するこのやり方がしっくり来るのよ。こんなやり方は誰もしていなかったわね」と彼女は、1981年にサンディエゴ・リーダー紙に語っている。「普通のやり方も試してみたけれど、ストロークで弾くことすらできなかった」という。彼女は長いこと音楽活動を休止していたが、60年代のフォークソング・リバイバルで再び脚光を浴びる。そして亡くなってから暫く経った2022年、ロックの殿堂でアーリー・インフルエンス賞を受賞した。

35位 エリック・クラプトン / Eric Clapton

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60年代のブリティッシュ・ブルーズ・シーンに登場したエリック・クラプトンには、楽曲のみならずギターソロに関しても、キャッチーなメロディを作り出す独創的な才能があった。彼は、ロバート・ジョンソン、マディ・ウォーターズからアルバート・キング、オーティス・ラッシュまで、さまざまなブルーズにのめり込んだ。また、ウィントン・マルサリスとの共演で、ほぼ前エレクトリック時代の楽曲で構成されたアルバムを出したこともある。しかしクラプトンと言えば、妻(パティ・ボイド)が親友(ジョージ・ハリスン)に走った経験に基づく「Layla」や、まだ幼かった息子がアパートメントの窓から落ちて亡くなった悲しみを歌った「Tears in Heaven」など、実生活における悲劇にインスパイアされた作品が有名だ。今では誰も、彼のことを「ゴッド」と呼ぶことはなくなった(新型コロナウイルスのワクチンに関する発言のせいで、彼が全能の神ではないことが証明されてしまった)。しかしそれでも、彼のギタープレイを崇拝するギタリストは後を絶たない。

34位 ジェリー・ガルシア / Jerry Garcia

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15歳でギターを弾き始めたジェリー・ガルシアは、フォークとブルーグラスに夢中になる。それから生涯を通じてチャック・ベリーのファンでもあった。そういったルーツから、グレイトフル・デッドにおける、この世のものとは思えない実験的音楽につながる。カルロス・サンタナは「彼の弾くブルーズには、ブルーグラスとラヴィ・シャンカールがミックスされている。そこへさらにカントリーとスパニッシュが加わってくる」と表現した。グレイトフル・デッドのコンサートでガルシアは二度と同じフレーズを弾くことはなかった。だから、彼らのサイケデリックなライブにおけるエンドレスのジャムセッションも、飽きることなく聴き続けられたのだ。「それぞれの音には、遠近感があると思う」と、彼はかつてローリングストーン誌に語っている。「フロントとバック、そしてアタックとリリースというようにね。僕にはそれぞれの音がビジュアル的に見えるんだ。もし時間が許せば、自分のギターソロをすべて描いて見せたい」と語った。1972年8月27日は、ギター史に残る特別な日になった。その日ガルシアは、オレゴン州ベネタの野外ステージに集まった、日焼けしたヒッピーたちの目の前で空中浮遊して見せた。1995年にこの世を去った後もガルシアは、北へ向かう列車のヘッドライトとして輝きを放っている。

33位 ブライアン・メイ / Brian May

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天体物理学の博士号を持ったプロのギタリストなど、クイーンのリードギタリスト(兼ソングライター)の他にはいないだろう。彼は聡明で、常に新しいサウンドエフェクトを追求している。彼が最初に目指したのは、「正式な3パートのギターハーモニーを、初めて1枚のレコードに収めること」だった。「Killer Queen」のオーケストレーションされた泣きのギターソロなどで、目標を実現している。ブライアン・メイは、多くのギターパートをそれぞれ独立したトラックに録音し、豪華な宮殿の壁のようなサウンドを築いた。同時に、自分が弾く楽器も彼のイマジネーションから生まれたものだった。メインギターの「レッド・スペシャル(またの名を”オールド・レディ”)」は、60年代の初め頃に父親と一緒に自作したもので、材料となった木材の一部は、マントルピースに使われていたものを流用している(メイが、ピックの代わりに6ペンスコインを使って弾いていたのも有名な話だ)。「Bohemian Rhapsody」の目まぐるしく展開するトレブリーなギターソロから「Stone Cold Crazy」のプロトメタル的なリフまで、さまざまなギタープレイとサウンドが、このギターから生まれている。「どんなギタリストのサウンドでも真似できるつもりでいたが、ブライアン・メイだけは無理だった」とスティーヴ・ヴァイは言う。「彼は常に皆の上を行っている」。

32位 ジャック・ホワイト / Jack White

Griffin Lotz

ザ・ホワイト・ストライプスが、『De Stijl』(2000年)辺りから有名になり始めた時期は、異常なまでに音を作り込んだニューメタルや気だるくヘヴィな第2世代のグランジが、ギターロック界を席巻していた。ところがホワイト・ストライプスが、ノリが良く荒削りなガレージ・ブルーズ曲「Fell in Love With a Girl」をヒットさせると、状況はガラリと変わった。「Seven Nation Army」でジャック・ホワイトが繰り出す低音を効かせた重々しいイントロは、21世紀で最も耳に残るギターリフだろう。しかし彼自身は、過去の栄光にすがる気など全くないようだった。ソロアルバム『Blunderbuss』(2012年)のストーナー・ファンクやヒッピー・フォークから、ほとんどコミカルなまでに限界を超えてファズトーンを効かせた『Fear of the Dawn』(2022年)のサウンドまで、愛らしく時には気難しい音の探求者となった。ホワイトにしてみれば、ギターを持つたびに新たなチャレンジなのだ。「ギターソロをプレイするのは、僕にとって攻撃を仕掛けるのと同じだ。戦いであり、取っ組み合いの格闘なんだ」と2014年にローリングストーン誌のインタビューで語っている。「巨匠のように上手く弾こうなんて考えていない。ギターソロの途中で説明を求められても、”ここがF#で、ここがCだ”などと解説できる訳がない」。

31位 ジョージ・ハリソン / George Harrison

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ジョージ・ハリスンはザ・ビートルズのメンバーとして、レコードを出すたびに新境地を開拓し、ギターの革新的な可能性を広げていった。彼は、ロックバンドにおけるリードギタリストの役割を確立しただけでなく、ギターという楽器をポップミュージックの中心へ据えた功労者でもある。リヴァプール(イングランド)時代の若きハリスンは、誰よりも熱心にひたすらギターの練習を重ね、いわばはったりのような形でビートルズへ加入した。少年時代のハリスンはロカビリーに夢中で、カール・パーキンスが彼のヒーローだった。そしてビートルズとしてキャヴァーン・クラブで演奏した「I Saw Her Standing There」では、熱狂的なギターソロを聴かせるまでに成長する。さらに彼の挑戦は留まることなく、インド音楽にインスパイアされたアルバム『Rubber Soul』から、サイケデリックな『Revolver』やエレガントな『Abbey Road』まで、一音も無駄にすることが無かった。「他の奴らがプレイしない隙間を埋めるのが、僕の役割さ」と語ったハリスンが、より深みのあるプレイで本領を発揮したのは、ビートルズの解散後だった。ソロアルバム『All Things Must Pass』や『Living in the Material World』では、見事なスライドギターを聴かせている。友人のトム・ペティは「(ハリスンのスライドギターは)まるで人の歌声のように聴こえる。すぐにハリスンだと分かる、彼自身の特徴ある歌声と同じなんだ」と語った。

30位 ニール・ヤング / Neil Young

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ソロとして成功する以前のニール・ヤングは、ザ・スクワイヤーズやザ・マイナー・バーズ、さらにはバッファロー・スプリングフィールド、そしてクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングで、ギタースキルを磨いた。ソロアルバム『Harvest』がリリースされる頃までに、ヤングは、アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターの両方を巧みに操れるようになっていた。だから同じステージで、穏和なフォークソング「The Needle and the Damage Done」とワイルドなプロト・グランジの「Down by the River」といった、両方のタイプの楽曲を披露できた。「若いギタリストが参加するギターの上級者向けクラスで教えるとしたら、”Down by the River”のギターソロから冒頭の1分間を切り取って、最初の教材にする」と、トレイ・アナスタシオは言う。ヤングの有名なギターソロの中には、文字通り1つの音を繰り返すものもあるため、「原始的」と評価するギター純粋主義者もいた。しかしそういった評価は、ヤングの作品の本質を完全に見失っている。「ギタースケールの弾き方を知っていようがいまいが、関係ない」とヤングは1992年に語っている。「どんなに優れたテクニックを持っていても、人々の心は掴めない。問題は、音楽を通じて表現するフィーリングがあるかどうかが肝心なんだ。」

29位 エディ・ヘイゼル / Eddie Hazel

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今は亡きエディ・ヘイゼルを一躍ギターレジェンドにした「Maggot Brain」にフィーチャーされた10分間のギターソロは、ドラッグによるトリップ中に生まれたという伝説がある。レコーディング中に、ファンカデリックのバンドリーダーだったジョージ・クリントンがヘイゼルに向かって「母親の訃報を受けた瞬間を想像して、弾いてみろ」と指示し、さらに後半は「その後、実は母親は無事だった、という知らせを受けたと思って弾け」と言われて、ヘイゼルはギターソロを構成したという。「ヘイゼルは即座に、俺の言わんとしているところを理解したようだった」とクリントンは回顧録に書いている。「彼のギターから出るひとつひとつの音が、銀色に光る蜘蛛の糸のように広がっていくのが分かった。彼のギターソロを聴き返してみると、彼が音楽的才能溢れるギターの名手だったというだけでなく、ポップミュージック史上最もエモーショナルな瞬間に立ち会えたことを実感する」とクリントンは言う。Pファンクでのプレイやヘイゼル自身のソロワークには、グルーヴのパワーとサイケデリックな盛り上がりがスリリングにミックスされている。しかし、ネルス・クライン、J・マスキス、ウォーレン・ヘインズ、マイク・マクレディらヘイゼルのフォロワーが最もインスパイアされたのは、何と言っても「Maggot Brain」だ。彼らはそれぞれのライブで同曲をカバーし、才能豊かなエディ・ヘイゼルのスピリットを伝えている。

28位 デヴィッド・ギルモア / David Gilmour

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プロデューサー兼ソングライターとして活躍するピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアは、宙に漂う幻想的なテクスチャーを好む。ところが愛機である黒のストラトキャスターから繰り出されるギターソロは、感性が全く異なる。「リードギターのトーンは、ブライトかつパワフルで攻撃的な方がいい」とギルモアは言う。ブルーズをレパートリーとしないバンドの中で、彼のギターソロは熱情的なブルーズを感じさせる。彼の弾く、広がりのあるエレガントかつどこまでもメロディアスなギターソロは、『The Dark Side of the Moon』の中で突然鳴り出す目覚まし時計のように、心の準備が必要だ。同時にギルモアは、ピンク・フロイドの映像作品『Live at Pompeii』の頃には、アバンギャルドなインプロビゼーションを披露した。さらに「Have a Cigar」の高度なギターリフや、シックを彷彿させる「Another Brick in the Wall, Part 2」のように、突然ファンキーなリズムギタリストに変身したりすることもある。ギルモアは、ピンク・フロイドのオリジナルメンバーだったシド・バレットの影響で、エコーをはじめとするエフェクトにも精通するようになった。「Run Like Hell」にフィーチャーされた絶妙なディレイの使い方は、決してU2のジ・エッジの専売特許では無いのだ。

27位 バディ・ガイ / ​​Buddy Guy

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バディ・ガイを取り巻く人々は、彼のギターをただのノイズだと評価していた。彼はルイジアナの田舎にある実家で大騒ぎしたために、家族から追い出された。また、マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、リトル・ウォルターらとのセッションでは、チェス・レコードを立ち上げたレナードとフィルのチェス兄弟に(ガイ曰く)「自分の思い通りにプレイさせてもらえなかった」という。しかしやがて新世代のロッカーが、ブルーズを再認識し始めた。するとガイのギタースタイルは、ジミ・ヘンドリックスやジミー・ペイジらロックギターの巨匠と呼ばれるギタリストたちに大きな影響を与えた。「Stone Crazy」や「First Time I Met the Blues」をはじめ、ハープ奏者の故ジュニア・ウェルズとのコラボ作品で特徴的な、音程を大きく上げるベンディング、大胆なディストーション、熱狂的なリックなど、ガイの華々しいプレイスタイルは、ギタリストたちの常識を変えた。ギターソロの途中で客席に降りて弾き続けるようなショーマンシップは、87歳になった現在も健在だ。2005年にガイは、ロックの殿堂入りしている。「僕にとってバディ・ガイは、エルヴィス・プレスリーのような存在だった」と、授賞式でエリック・クラプトンが述べた。「彼は、僕の目指すべき針路へと導いてくれる水先案内人だった」。

26位 セイント・ヴィンセント / St. Vincent

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セイント・ヴィンセントことアニー・クラークの作り出す複雑かつアトモスフェリックな音楽は、決してギター中心では無い。しかしギターに対する彼女のイノベーティブなアプローチは、深く印象に残る。バークリー音楽院で学んだ彼女は、ロバート・フリップ、エイドリアン・ブリュー、マーク・リーボウといったギターの名手から大きな影響を受けている。グラミー受賞歴のあるセイント・ヴィンセントは、自らに備わるギターの才能を楽曲の中で決してひけらかすことなく、ギターのトーンやカラー、ボイシング、ハーモニー、エフェクトの魅力を上手に引き出して重ね合わせている。「”私は誰よりも速く弾けるのよ”などという感じで、ギターでエゴを出したくない」と彼女は、プレミア・ギター誌のインタビュー(2011年)で語っている。「アスリートのような競争には興味が持てない。そこがアスリートとアーティストの違いかもしれない。音楽的に成立させつつ、人々を感動させられるのが理想的な妥協点ね」。

25位 ジョン・フルシアンテ / John Frusciante

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かつてのレッド・ホット・チリ・ペッパーズに音楽的な特徴が無いように思えてしまうのは、ジュリアード音楽院で学んだピアニストの息子であるジョン・フルシアンテの存在が大きい。オリジナル・メンバーの故ヒレル・スロヴァクは、バンドにとって余人をもって代え難いギタリストだった。しかし2度の脱退を経てまた復帰したフルシアンテが、チリ・ペッパーズをホワイト・ファンクのゲットーから引きずり出し、独自の世界を築く上で重要な役割を果たした。常に楽曲に対して忠実にプレイするフルシアンテだが、スティーヴィー・ワンダーのカバー曲「Higher Ground」にフィーチャーしたハードロックのギターリフ、センシティブに響く「Under the Bridge」や「Scar Tissue」のギター、「Breaking the Girl」のムーディーな雰囲気、「Dani California」のジミ・ヘンドリックス張りに激しいギターソロなど、チリ・ペッパーズにかつてない音楽の幅をもたらした。幅広くさまざまな要素を取り入れたアルバム『Californication』や『Blood Sugar Sex Magik』などは特に、バラエティに富んでいる。またフルシアンテを、オルタナティヴ・ロック時代の最も影響力と勢いのあるギタリストにした作品でもある。

24位 ジェームズ・バートン / James Burton

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ジェームズ・バートンのトレードマークで、クリアで明るく歯切れの良いサウンドを弾き出す「チキン・ピッキング」は、カントリー・ミュージックに欠かせないユニークなテクニックであると同時に、ロックギターにも大きな影響をもたらした。14歳でキャリアをスタートさせたバートンは、1957年にデール・ホーキンスへ「Susie Q」を提供し、その後リッキー・ネルソンのバンドへ加入すると、ティーンエイジのスターとして一気に有名になった。ネルソン時代にバートンは、ギターピックとフィンガーピッキングを併用するユニークなテクニックを編み出した。さらに、当時使用していたフェンダー・テレキャスターの高い方から4本の弦をバンジョー用の弦に張り替えて、切れの良い弾けるユニークなギターサウンドを実現した。「俺の買ったレコードは、リッキー・ネルソンのレコードではない。ジェームズ・バートンのレコードだ」とキース・リチャーズは言う。60年代後半から70年代にかけてバートンは、エルヴィス・プレスリーのTCBバンドに所属する傍らで、ジョニ・ミッチェルやグラム・パーソンズといったカントリー寄りのレコーディングにも参加した。「 ”俺のお気に入りのレコードすべてにクレジットされているこの人は、いったい何者だ?”という感じで、とてもミステリアスな存在だった」と、ジョー・ウォルシュは振り返る。「彼のギターテクニックは、何よりも重要だった」。

23位 ジェイムズ・ヘットフィールド&カーク・ハメット / James Hetfield and Kirk Hammett

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スピード狂として衝撃のデビューを果たしたメタリカ。シンガー兼リズムギターのジェイムズ・ヘットフィールドが繰り出す高速ヘッドバンギングのリフは、まるでブラック・サバスのレコードを78回転で高速再生しているようだ。さらにリードギターのカーク・ハメットが、ありとあらゆる方向へ音を撒き散らす。ヘットフィールドは、ハメットの前任者であるデイヴ・ムステイン(現在はメガデスのギターヒーロー)と共に最速のギタープレイを目指して、指の動きを最低限に抑える速弾き法を研究した。結果として「Phantom Lord」や「Jump in the Fire」などの楽曲で、ヘヴィメタルに新たな風を吹き込むこととなる。さらにジョー・サトリアーニに師事した経験のあるハメットが、2ndアルバム収録の「Fade to Black」や「The Call of Ktulu」のようにソウルフルなメロディを持ち込んだことで、バンドに新たなカラーが加わった。激しい怒りを叩きつけるようなヘットフィールドのギターと、ワウワウを駆使したハメットのエモーショナルでセンシティブなメロディの二面性が、バンドを大きな成功に導いたと言える。「Enter Sandman」「One」「Master of Puppets」などには、メタリカの特徴である静と動が明確に表現されている。

22位 アルバート・キング / Albert King

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1968年にローリングストーン誌は、アルバート・キングがどんなギタリストに影響を受けたか尋ねている。彼は「誰からも学んでいない。俺のやっていることは全部間違いだ」と答えた。エレクトリック・ブルーズのパイオニアの一人である左利きのキングは、右利き用のギブソン・フライングV(1959年製)を、低音弦が下に来る形でひっくり返してプレイした。チューニングも変則的で、左手の親指を使って弦を弾いていた。身長193cm、体重136kgと体格のよかったキングは、誰よりも大きくパワフルに弦をベンドできた。エリック・クラプトンは「Strange Brew」(クリームの楽曲)でキング調のギターソロを披露し、デュアン・オールマンは、キングの「As the Years Go Passing By」のメロディを「Layla」(デレク・アンド・ザ・ドミノス)のメインリフとして取り込んだ。ジミ・ヘンドリックスは、1967年にザ・フィルモアで行ったコンサートのオープニングを、自身のギターヒーローだったキングが務めた時のことを、決して忘れなかった。「俺が(ヘンドリックスに)ブルーズを教えてやったのさ」とキングは語った。「俺は奴の曲を簡単に弾けたが、奴は俺の曲を弾けなかったからな」。

21位 ランディ・ローズ / Randy Rhoads

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ランディ・ローズのギタリストとしてのキャリアは、あまりにも短すぎた。1982年、彼は飛行機事故でこの世を去った。25歳だった。オジー・オズボーンの「Crazy Train」や「Mr. Crowley」のギターソロに代表される、緻密に構成された正確な速弾きは、その後のヘヴィメタル/ハードロックにおけるギターソロのお手本となった。「彼のように弾きたくて、1日8時間も練習した」と語るトム・モレロは、ランディ・ローズを「史上最高のハードロック/ヘヴィメタルのギタープレイヤーだ」と称賛する。ティーンエイジャーの時にクワイエット・ライオットを結成したローズは、バンド活動とギター講師を数年間続けていたが、その後1979年にオジー・オズボーンのブリザード・オブ・オズ・バンドに加入する。ローズは、オジー・オズボーン・バンドのツアーで訪れたそれぞれの都市で、ギターレッスンを受けていたとも伝えられている。最後のアルバムとなったオズボーンの『Diary of a Madman』でローズは、さらにクラシック音楽へ傾倒すると同時に、ジャズへも幅を広げていった。「彼は、ギタープレイヤーとしての自分を極めようとしていた」とニッキー・シックス(モトリー・クルー)は言う。「あと少しのところだった」。

20位 スティーヴィー・レイ・ヴォーン / Stevie Ray Vaughan

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1980年前半はMTVが開局して音楽が盛り上がりを見せていたものの、ブルーズギターは主流から遠く離れた場所にあった。そのような状況の中でも、テキサス出身のスティーヴィー・レイ・ヴォーンは、注目を集める存在だった。彼は、歴史に残る偉大なるブルーズギタリストたちのスタイルを全く踏襲せず、ジミ・ヘンドリックスやジャズやロカビリーの要素を積極的に取り入れた。さらに、彼の出す強力なトーンとさりげなく繰り出す高度なテクニック、そして非の打ちどころの無いスイングのセンスで「Pride and Joy」のようなブルーズ・シャッフルを、ヘヴィメタルの楽曲と同じレベルのヒット作に仕上げた。ヴォーンは、B.B.キングやエリック・クラプトンといったブルーズギタリストからも、一目置かれる存在だった。1990年にヘリコプターの墜落事故によってこの世を去った後も、マイク・マクレディ(パール・ジャム)からジョン・メイヤーやゲイリー・クラーク・ジュニアまで、何世代にも渡るギタリストに影響を与え続けている。「スティーヴィー・レイ・ヴォーンに憧れて、ストラトキャスターが欲しかった。でも彼の出すトーンはとても大きくて厚みがあり、同時にブライトだった。とても真似できない」とクラークは言う。「彼のレコードや動画を視聴してみれば、彼が常に全力でプレイしているのが分かる。彼のパッションには圧倒される」。

19位 フレディ・キング / Freddy King

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1985年のインタビューでエリック・クラプトンは、フレディ・キングのB面曲「I Love the Woman」(1961年)を聴いて「ベンディングを多用する彼のエレクトリック・リードギターが、自分の方向性を決定づけた」と語っている。クラプトンだけでなく、ピーター・グリーン、ジェフ・ベック、ミック・テイラーといったイギリスのギターヒーローたちもまた「The Stumble」「Im Tore Down」「Someday, After Awhile」といったフレディ・キングの代表曲にフィーチャーされたシャープなトレブル・トーンやシンプルながらメロディックなフックから、大きな影響を受けた。立派な体格と挑発的なライヴでのプレイスタイルから「テキサスのキャノンボール」と呼ばれたキングのギターアタックは、特徴的だった。「金属と金属が当たって生まれるサウンドは、印象深い」とデレク・トラックスは言う。キングは、バンジョー用の金属製ピックを使ってギターを弾いていた。「でも、彼と同じやり方をしたところで、彼のようなギターサウンドにはならない」とトラックスは指摘する。さらに「エリック(・クラプトン)と一緒にプレイした時に、彼のギターソロからフレディ・キングを感じたことが何度もある」と、フレディ・キングがクラプトンに与えた影響力の大きさも証言している。

18位 トム・モレロ / Tom Morello

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ジミ・ヘンドリックスのようなレアケースを除き、過去4〜50年のロックギターのサウンドは、どれも似通っていた。そこへ現れたのがレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンと、そのバンドでギターを弾くイノベーターだった。ボーカルのザック・デ・ラ・ロッチャが政治問題を込めた歌詞を激しくぶつければ、トム・モレロは斬新なギターサウンドと独特なギタープレイで応戦する。「Bulls on Parade」(『Evil Empire』)のレコード・スクラッチ音、デビューアルバム(1992年)に収録された「Killing in the Name」でエイリアンがプレイするビデオゲームのサウンド、同じくデビューアルバムの「Fistful of Steel」で聴こえる急降下爆撃機のようなサウンドなどはすべて、ギターとエフェクトペダルのみで作り出したモレロのイマジネーションの産物だ。「Sleep Now in the Fire」などエフェクターを駆使したモレロのギタープレイは、ザ・ストゥージズのロン・アシュトンを彷彿させるが、モレロの場合は、よりエネルギッシュにパワーアップしている。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがスタジオ・バンドとしての活動を休止して以降のモレロは、ザ・ナイトウォッチマンやストリート・スウィーパー・ソーシャル・クラブといったプロジェクトを続けているものの、活動は比較的控えめだった。しかし、ギターへの一般的な固定観念に対して彼が抱く激しい怒りの痕跡は、永遠に残り続ける。

17位 マザー・メイベル・カーター / Mother Maybelle Carter

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「カーター・スクラッチ」として知られるギター奏法は、メイベル・カーターが自ら全くゼロの状態から発明した訳ではない。元々はレスリー・リドルが、自分の生み出した独特のフィンガーピッキング・スタイルをカーターに教えたところから始まった。その後、ザ・カーター・ファミリー名義で出した「Will the Circle Be Unbroken」「Wildwood Flower」「Bury Me Under the Weeping Willow」を通じて、カーターの奏法が世界的に知られるようになった。13歳でギターを弾き始めたカーターは、ギターを、単にかき鳴らしてリズムを刻む道具から、メロディ、リズム、ベースを同時にプレイできる楽器へと進化させた。彼女は「史上最も模倣されたギタープレイヤー」だと、シンガーソングライター(で、数多くの弟子の一人でもある)コートニー・マリー・アンドリューズが2019年に語っている。「私がギターを弾き始めた時は、周囲に一緒にやってくれる人間が一人もいなかった」と、カーターはかつて語っている。「だから私は、自分でスタイルを開発するほかなかった」。

16位 ロバート・ジョンソン / Robert Johnson

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ロバート・ジョンソンの名前が世に知られるようになったのは、1938年にこの世を去ってから、何十年も経った後だった。1936年〜1937年の間にジョンソンがレコーディングした「Cross Road Blues」「Love in Vain」「Traveling Riverside Blues」を含む29の名曲は、エリック・クラプトンやボブ・ディランら後世のロックギタリストのバイブルとなった。クラプトンもディランも、一台のギターでアンサンブル全体を表現するジョンソンのプレイに圧倒された。ピッキング、スライド、リズムの各パート同士がワイワイガヤガヤと会話しているところに、霧の中からリフが現れては消えてゆく。クリーム、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ホワイト・ストライプスをはじめ、ブルーズの影響を受けたほとんどのアーティストが、ジョンソンの作品をカバーしている。ボブ・ディランは自叙伝『Chronicles』の中で、リリースされて間もないジョンソンのアルバム『King of the Delta Blues Singers』を聴いた時の衝撃を振り返っている。「スピーカーから出た最初の音を聴いた瞬間に、全身を電気が走った。ギターの突き刺すようなサウンドで、窓が割れてしまうかと思った」。

15位 キース・リチャーズ / Keith Richards

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キース・リチャーズを見ているといつも、ギターは簡単に弾けるものだと思ってしまう。「(I Cant Get No) Satisfaction」「Start Me Up」「Brown Sugar」など誰もが知るギターリフの裏には、飾り気無しのシンプルなテクニックと、音同士の美しい調和、言葉で説明できない巧みなスイングのセンスがある。60年代は、ブライアン・ジョーンズの次々とほとばしるインスピレーションを、リチャーズの揺るぎないギタープレイが支えた。「Time Is on My Side」「Paint It, Black」「Under My Thumb」のように、ジョーンズがスライド・ギターを弾こうが、或いはマリンバをプレイしようが、リチャーズが独特のスイングで曲の土台を作った。70年代は、リードギタリストとして加入したミック・テイラーのバックで「Tumbling Dice」「Cant You Hear Me Knocking」「Wild Horses」など、グルーヴ豊かなリズムを刻んだ。またブルーズ曲「Love in Vain」からバラード曲「Angie」まで、アコースティック・ギターでも幅広いジャンルをこなした。そしてロン・ウッドが加わってからは、2人のギタリストが陰と陽になり、リフもソロも2人で分担するようになった。それぞれのパートを上手く編み合わせながら、曲が構成されている。「(いいギターリフは)指先からギターを通じて自然と出てくるものだ」とリチャーズは、2020年のローリングストーン誌とのインタビューで語っている。「何も考えず、何も作り込まず、ルールに縛られず、何も無い状態から、理想的なギターリフが生まれる。今は何も存在していないのに、次の瞬間にはパッとできあがっているのさ」。

14位 プリンス / Prince

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「Purple Rain」のギターソロは、おそらく史上最も素晴らしいパワーバラードだろう。プリンスは、ジミー・ノーランやナイル・ロジャースのようなファンクもこなせば、エディ・ヴァン・ヘイレンのような泣きのギターも得意とする。またボ・ディドリーのように、ギターの形状自体も新たに作り上げた。80年代半ばから使用した黄色い「クラウド・ギター」に始まり、数年間だが自分の名前に冠していたラヴ・シンボルをイメージした「シンボル・ギター」など、いくつかのカスタム・ギターがある。ジミ・ヘンドリックスと比較されることも多かったプリンスだが、本人は違う角度から見ていた。「彼も黒人だったという理由だけで、比較されるのだろう。ジミ・ヘンドリックスと僕との唯一の共通点だからね」とプリンスは、ローリングストーン誌に語った。「僕の作品をちゃんと聴いてみれば、ジミ・ヘンドリックスではなくサンタナの影響を受けていることが分かるはずさ。ヘンドリックスはブルーズ寄りだが、サンタナはもっと洗練されている」と彼は主張する。また彼は、ギターの神様と崇められることの、ごく小さなメリットを明かしてくれた。「エレクトリック・ギターを弾き続けると、いいこともある」と彼は言う。「全身を電気が流れて、ヘアスタイルをキープしてくれるんだ」。

13位 トニー・アイオミ / Tony Iommi

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ブラック・サバスの初期メンバーでヘヴィメタル・ギターの重鎮であるトニー・アイオミは、勤務していた工場での事故で、右手の中指と薬指の先端を切断してしまった。左利きであるアイオミは右手でギターのフレットを押さえるが、結果的に、アイオミ独自のドゥーミーなギタースタイルが生まれた。指先にプラスチックで加工した自家製サックをはめなければギターを弾けなかったため、弦はより細いライトゲージを使用し、コードやソロを弾く時も通常より強めに押さえつけるスタイルが出来上がった。出力の大きなレイニー製アンプと特注のダラス・レンジマスター(トレブル・ブースター)の組み合わせが、アイオミ自身の怪我の功名で生まれたプレイスタイルと相まって、ダークでおどろおどろしいサウンドが生み出された。さらに彼のギターは、ベンディングを容易にするためにチューニングを数音下げている。地に轟くアイオミのギタースタイルは、後に続く多くのヘヴィメタル・ギタリストのお手本となった。「当時は、自分で独自のサウンドを作らなければならなかった」とアイオミは、2020年にギター・マガジン誌に語っている。「自分が思い描いた通りの音を出してくれる機材など存在しなかった。だから自分で苦労を重ねながら、独自のトーンを作る必要があった。ゼロから自分自身で作った音には信頼が置けるから、俺にとっては理想的な状況だった」。

12位 ジミー・ノーレン / Jimmy Nolen

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ジミー・ノーランは、ジェームズ・ブラウンのバンドへ加入する以前に、下手なドラマーへの対処方法を編み出していた。「できる限り、ドラマーのようにリズムをキープすることに専念していた。ドラマーのために正確なリズムを刻んでやっていたようなものだ」と彼は言う。1965年初頭にブラウンのグループへ加入すると、彼のブライトなサウンドとノリの良さが、ブラウンの激高するリズムと見事にマッチした。まるで映画の中の恋人同士のようだった。ただ、実生活はそうロマンチックなものではなかった。1983年にこの世を去ったノーランだが、未亡人には、自分の後継者をこき使わないようブラウンへ要請するよう伝えていた。その後どうなったかは、誰もが知る通りだ。ノーラン特有の歯切れの良いコードが特徴的な1965年のヒット作「Papas Got a Brand New Bag」に始まり、同じくギターの切れ味鋭い「Let Yourself Go」や、「Cold Sweat」「Funky Drummer」といった名曲を通じて、ノーランはファンク(とR&B)のギタースタイルを確立した。オンオフの激しいリズムと、正確で鋭いリードが、時には脇役として、また時には主役として活躍する。

11位 カルロス・サンタナ / Carlos Santana

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ブルーズ、ジャズ、ラテン音楽を融合させたパイオニアであるカルロス・サンタナが世界的に注目されるようになったのは、ウッドストックでのパフォーマンスで喝采を浴びたのがきっかけだった。30年が経ってもパワーは衰えることなく、『Supernatural』は1500万枚を売り上げて、グラミー賞の9部門を受賞した。その間もずっとサンタナはクールにマイペースを貫き、ラテン世界と遠い世界をミックスした美しいメロディーを奏で続けた。「サンタナは、世にあるさまざまな要素を撚り合わせて、新たな音楽を作り出した。彼は自分のカルチャーを音楽に取り入れた」と、ロス・ロンリー・ボーイズのヘンリー・ガルサは言う。一音聴いただけで誰だか分かるミュージシャンは、マイルス・デイヴィスとB.B.キングぐらいしかいない。サンタナもその一人だ。サンタナ自身は、ウェス・モンゴメリーやグラント・グリーンらジャズメンをお手本にしようとした、と語っている。しかし「どんなに彼らを真似ようとしても無理だった。どうしても自分の音になってしまうんだ」という。その代わり、サンタナの洗練された透明感のあるギタートーンは、誰も真似ができない。それでも、彼の影響力は世界中に広がった。例えばプリンスは、ジミ・ヘンドリックスよりもサンタナから大きな影響を受けた、とかつて語っている。「サンタナの方が洗練されている」。

10位 デュアン・オールマン / Duane Allman

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デュアン・オールマンは、1971年にバイクの事故でこの世を去る。24歳の若さだった。彼のギター人生は短かったが、一生の何回分にも当たるほど凝縮され、しかも将来を先取りしていた。オールマン・ブラザーズ・バンドを結成した彼は、モーダルジャズ、ブルーズ、カントリー、サイケデリックなジュークジョイント・サザンロックなど、アメリカ音楽のさまざまなロードを通過してきた。10代をフロリダで過ごしたオールマンは、ロバート・ジョンソンやチャック・ベリーのレコードに合わせてギブソン・レスポールを弾きながら、腕を磨いた。彼が最初に注目されたのは、マッスル・ショールズのスタジオ・ミュージシャンとして参加した、ウィルソン・ピケットやアレサ・フランクリンとのソウル・セッションだった。そして1969年、弟グレッグと共にオールマン・ブラザーズ・バンドをスタートさせる。デュアン・オールマンは、初めてのリハーサルでメンバーに宣言した。「俺のバンドにいたくないと思っても、簡単には出ていけないから覚悟しろ」。

彼のギタープレイのハイライトは何と言っても、『At Fillmore East』に収められた「Statesboro Blues」の情熱的なボトルネック奏法や19分間に及ぶジャムセッション「You Dont Love Me」など、ジョン・コルトレーンやマイルス・デイヴィスを彷彿させるインプロビゼーションだろう。同時にデュアン・オールマンは、マイアミでデレク・アンド・ザ・ドミノスのアルバム『Layla』のセッションに参加し、エリック・クラプトンと共演した。衝撃的な歴史を作った瞬間だった。特に、タイトルソング「Layla」でのハイピッチのスライドギターは秀逸だった。彼が最期に残したのは、2分間のサザン・カントリーのララバイ「Little Martha」だった。彼の墓石には、同曲の楽譜が刻まれている。ロード上で早すぎる一生を終えたデュアン・オールマンだが、彼の音楽の中でロードは永遠に続く。

9位 ジョニ・ミッチェル / Joni Mitchell

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ジョニ・ミッチェルは50年以上に渡り、ロック界最高のアコースティック・ギタリストとして君臨し続けてきた。彼女は独自のギターチューニングを使って、独特の表現方法を編み出した。「ギターでオーケストラを表現しようと思った」と彼女は、1999年にローリングストーン誌に語っている。「ユニークなプレイスタイルを身に付けたけれど、誰にも気づいてもらえなかった。デューク・エリントンのように弾いているのに、何でもかんでも”フォークギター”だと、ひとくくりにされるのは嫌だった」という。幼少期に患ったポリオの影響で左手の力が弱かった彼女は、50種類以上のチューニングパターンを使って克服した。「高音の3本の弦をホーン・セクションにして、低音側の3本にリズム・セクションを割り当ててプレイしている」。

彼女のギタープレイに畏敬の念を抱くミュージシャンも多い。「私はギターの神様なの?」とローリングストーン誌のインタビューで、彼女の方から尋ねた。「私はただのエセ神様よ。私にはギターの神様なんていなかった」と彼女は語った。彼女の最高傑作のひとつとして挙げられるのが、ジャコ・パストリアスがベースで参加した1976年のアルバム『Hejira』だろう。彼女の書くコードがどんどん複雑化していくため、バンドのメンバーも付いていくのに苦労した。結局『Hejira』のエレクトリック・リードギターの約半分を、彼女自身が弾き、その後のアルバム『Don Juans Reckless Daughter』と『Mingus』では、彼女がほとんどのギターパートを担当した。マーティン・スコセッシ監督の映画ドキュメンタリー映画『Rolling Thunder Revue』の中で彼女は、ロジャー・マッギンやボブ・ディランと「Coyote」を共演した。マッギンは彼女の弾くコードに耳を疑い、わざわざ彼女の手元を覗き込んで確認している。「彼女の使用する豊富なモーダル・チューニングは、僕にとって大きな衝撃だった」と、ソニック・ユースのリー・ラナルドは言う。「ジョニのやることは、とてもミステリアスだった」。

8位 B.B.キング / B.B. King

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B.B.キングは「ブルーズの特命全権大使」としてアメリカン・ミュージック界でとても愛される存在だった。一方で、彼の革命的なギターワークがどんなに素晴らしかったかは、忘れられがちだ。「B.B.が現れる前は、誰もがアコースティック・ギターの延長でエレクトリック・ギターを弾いていた」とバディ・ガイは証言する。キングは愛器のギブソン「ルシール」を、本物の女性のように泣かせた。1951年のブレイクスルーヒット「Three OClock Blues」の最初の音から、B.B.キングの革新的で優雅なスタイルが聴こえてくる。彼自身のアイドルだったT-ボーン・ウォーカーのベンディングやビブラートを、新たなテクニックへと進化させたキングのプレイスタイルは、当時の誰もが真似するようになった。「どのエレクトリック・ギタリストにも必ず、どこかにB.B.の影響が見られる」とガイは言う。「最初にエレクトリック・ギターの弦を強くスクイーズして弾いたのは、彼だ」。

ミシシッピ・デルタの綿花栽培のプランテーションで育ったキングは、いとこのブッカ・ホワイトからカントリー・ブルーズを学んだ。1948年にメンフィスへ移り住むと、ラジオ曲のDJをしながら、情熱的なゴスペルとジャズのテクニックを融合したエレクトリック・ブルーズの独自スタイルを確立していった。1965年のアルバム『Live at the Regal』では、史上最高級のギタープレイが聴ける。その後もキングは勢いを止めることなく、1980年後半も愛器ルシールと共に精力的にツアーを続けた。「ルシールが、ブルーズしかやりたがらないんだ」とキングはかつて語った。「ルシールは実在する。俺が弦を弾くと、彼女の言葉が聴こえてくる。もちろん、彼女の泣き声もね」。

7位 ナイル・ロジャース / Nile Rodgers

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「影響力のある」「大きな影響力を持つ」、その上に「ナイル・ロジャース」が来る。ポップミュージックの50年の歴史は、ロジャースのギターの上に成り立っていると言っても過言ではない。70年代にロジャースは、シックと共にノリの良い高音スタッカートのファンクを確立し「Le Freak」や「Good Times」といったディスコ・ヒットを生んだ。以来、彼らの音楽は世界的なポップミュージックの基準となる。1980年のダイアナ・ロスの名曲「Im Coming Out」にフィーチャーされたロジャースのワープスピードのギターが、ビギー(ノトーリアス・B.I.G.)の「Mo Money Mo Problems」へ再録サンプリングされるなど、彼のギターは約20年が経っても錆びることなく、ラジオでヘビーローテーションされた。そして今もなお、パワーは衰えていない。

ロンドンでロキシー・ミュージックのライヴを観てインスパイアされたナイル・ロジャースは、ベーシストのバーナード・エドワーズと共にシックを結成した。「当初は超ヘヴィなロックンロールばかりプレイしていた。ジミ・ヘンドリックスやジミー・ペイジを目指していた」とロジャースは、1979年にローリングストーン誌のインタビューで語っている。ストラトキャスターから繰り出すロジャースの留まることを知らないダイナミックなサウンドは、ダイアナ・ロスの「Upside Down」、シスター・スレッジの「We Are Family」、デヴィッド・ボウイの「Lets Dance」、デュラン・デュランの「Notorious」、ダフト・パンクの「Get Lucky」といったヒット曲に命を吹き込んだ。さらに彼のギターリフは、ヒップホップ・ブームの火付け役ともなった。シックの楽曲「Good Times」のギターリフがフィーチャーされたラップ曲「Rappers Delight」は、シュガーヒル・ギャングにとって初めてのヒット曲となった。彼のジャジーなコードもパワフルなリズムも、あらゆる方面にインパクトを与えている。特にザ・スミスへの影響力は大きく、ジョニー・マーは事あるごとにロジャースを自分のヒーローとして挙げている。さらにマーは、自分の息子に「ナイル」と名付けた。ナイル・ロジャースは決してスピードを緩めることのない真のイノベーターであり、彼のギターは新たな歴史を刻み続けている。

6位 シスター・ロゼッタ・サープ / Sister Rosetta Tharpe

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性的に流動的だったとされる黒人女性のシスター・ロゼッタ・サープは、多くのタブーを破った上に、ゴスペル・ミュージックをメインストリームに押し上げた。ロックンロールが誕生する以前に「ギターヒーロー」というコンセプトを実質的に作り上げたのは、彼女だった。ボブ・ディランはサープについて「生来パワフルなギタリスト&シンガーの伝道者」と表現している。アーカンソー州生まれの彼女は、後に家族と共にシカゴへと移り住んだ。彼女の母親が弾くマンドリンの影響を受けたサープは、幼稚園に通う頃にはギターを持って弾いていたという。そして1930年代に初めてレコーディングを始める頃には、既にかなりの腕前だった。例えば1945年にリリースした楽曲「Strange Things Happening Every Day」では、彼女のピッキングとアルペジオが、軽快な曲調のブギウギと陽気な歌声にマッチしていた。またゴスペルの快活なトラディショナル曲「Up Above My Head」では、勢いのあるギターソロを披露している。1964年、フォーク、ブルーズ、ゴスペルを特集したテレビ番組の収録のため、サープはマンチェスター(イングランド)の鉄道駅で演奏した。サープの演奏を、エリック・クラプトン、キース・リチャーズ、ジェフ・ベックらがわざわざ見に出かけたという。霊歌「Didnt It Rain」を軽快なバージョンで披露した彼女は、ゴスペルをルーツとする声量とギターに歌わせるような巧みな奏法が注目を浴びた。サープは2013年にこの世を去った後も高い評価を受け続け、ロックの殿堂のアーリー・インフルエンス部門を受賞した。授賞式には、彼女から影響を受けた新たな世代の代表として、ブリタニー・ハワードが登壇した。

5位 ジェフ・ベック / Jeff Beck

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ジェフ・ベックは、決してギターヒーローになりたいとは考えていなかった。彼はヤードバーズを辞め、ジェフ・ベック・グループを解散させた(バンドはウッドストック・フェスティバルへの出演をキャンセル)。さらに関わった他のバンドも、成功を目前に立ち消えさせている。しかし名誉は捨てても、ギターをプレイする意欲だけは持ち続けた。ジェフ・ベックは、ヤードバーズ時代から既に絶対的なブルーズ・マスターとしてテクニシャンぶりを発揮していた。さらにインストゥルメンタル曲「Becks Bolero」では、愛用のストラトキャスターにワウワウを駆使した泣きのギターを聴かせた。コンスタントにサウンドを追求し続ける彼は、70年代半ばには、ジャズ・フュージョンをベースにしたインストゥルメンタルに注力した。ギターにフォーカスしたアルバム『Blow by Blow』に収録のカバー曲「Cause Weve Ended As Lovers」では、ワミーバーやベンディングを交えて多彩な音色を奏でることで、原曲を歌ったR&Bシンガーであるシリータの歌声をギターで見事に再現している。

ソロの絶頂とも言える「People Get Ready」「Nadia」で聴かせた震える泣きのフレーズ、そして「Over the Rainbow」や「Nessun Dorma」での消え入りそうな音域で聴かせる絶妙な表現など、彼にしかできない奏法で、人の歌声をギターで表現するテクニックに長けていた。「これまで大成功した時期というのは無かったが、恐らくそれが幸いしていると思う」と2018年にベックは語っている。「周りを見渡すと上り詰めた人もいるが、考えてみれば本当にくだらない場所だ。自分がそんな立場にいなくて、たぶん良かったんだろうと思う」。

4位 エディ・ヴァン・ヘイレン / Eddie Van Halen

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仮にエディ・ヴァン・ヘイレンのリリースした楽曲が「Eruption」だけだったとすれば、彼はギターの殿堂の中で、ある程度の地位をずっと維持していたことだろう。ヴァン・ヘイレンはピアノのようにフレットをタッピングして繰り出す奏法や、急降下爆撃を思わせる音響効果やトランペット風のサウンドなど、ギターソロを通じて、誰も思い付かなかったようなギターの潜在能力を引き出した。しかしヴァン・ヘイレンの真価はそれに留まらない。彼は拍手喝采を受けるギタートリックを、オーディエンスと合唱できる楽曲へと巧みに組み込んだ。「Aint Talkin Bout Love」「Dance the Night Away」「Everybody Wants Some!!」「Jump」などは、ヴァン・ヘイレンの恐るべきテクニックと、デヴィッド・リー・ロスの型破りな歌で絶妙なハーモニーを聴かせている。

皆で歌えるパーティーアンセムのほかに注目すべき曲もある。「Spanish Fly」「Cathedral」「Little Guitars」などはギターソロというよりも、オーケストラ作品に近い。さらに彼は、ギターでの挑戦を止めなかった。「Poundcake」で彼は、電動ドリルをピック代わりにしてギターに悲鳴を上げさせた。「エディ・ヴァン・ヘイレンのプレイには、誰もが釘付けになった。現代のモーツァルトが目の前にいるんだからね」と、ヴァン・ヘイレンの死後にトム・モレロは語った。弾く以外にも、彼は自身の才能をギターという楽器に注ぎ込んだ。ヴァン・ヘイレンは、自作の愛器「フランケンストラト」にフローティング方式のワミーバーを装備したほか、いくつかのパーツは特許を取得している。ヴァン・ヘイレンは、従来のギターの固定観念を完全に破った。驚くことに、すべては彼が独学で身に付けた知識だった。

3位 ジミー・ペイジ / Jimmy Page

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レッド・ツェッペリン結成のかなり前からジミー・ペイジは、ヤードバーズやロンドンでのセッションギタリストとしての実績により、ロックの世界では既に名の通った存在だった。ペイジは20代前半にして、ザ・フー、ザ・キンクス、ドノヴァン、マリアンヌ・フェイスフルなど多くのアーティストから引っ張りだこのギタリストだった。しかし1968年にロバート・プラント、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナムと共にバンドを結成した瞬間に、彼は史上最高のギタリストの一員としての地位を確立することとなった。

レッド・ツェッペリンでのペイジは、刺繍飾りのドラゴン・スーツからオカルトへの傾倒まで、一挙手一投足が即座に伝説化していった。しかし何よりも注目すべきは、印象的なギターリフだ。「Communication Breakdown」や「In the Evening」を聴いた後は、72時間は頭の中でギターリフが回り続ける。「ギターリフというのは、同じパターンを何度も何度も繰り返すから、催眠状態にかかりやすい」とペイジは、2012年にローリングストーン誌のインタビューで語っている。同時に彼は「Going to California」や「Stairway to Heaven」のイントロなど、フィンガーピッキングによるアコースティックのプレイも素晴らしい。「ギターに対する固定観念から脱却するビジョンを持っていた」とエアロスミスのジョー・ペリーは言う。「”The Song Remains the Same”のギターを最初から最後まで追ってみると分かるが、ラウドに始まり、静かにソフトになったかと思うと、またラウドにと、起伏と変化に富んでいる。彼自身が曲を書くと同時に、自分でプレイして、自分でプロデュースしているんだ。そんなことのできるギタリストは、レス・ポールとジミー・ペイジ以外に思い当たらない」。

2位 チャック・ベリー / Chuck Berry

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チャック・ベリーは、ロックンロール・ギターの先駆者というだけではない。彼がロックンロール・ギターを完成させたのだ。1956年の名曲「Johnny B. Goode」のイントロに、そのすべてが凝縮されている。18秒間のイントロから、ギターヒーローの絶対的なアンセムが始まる。彼は自分が慣れ親しんだブルーズとカントリー・ミュージックをミックスさせた上にブギウギとヒルビリー的なギターフレーズを融合し、エレクトリック・ギターでハイスピードのオリジナル・スタイルを生み出した。つまり、ロックンロールだ。すべてのアメリカ音楽を辿っていくと、どこかでチャック・ベリーのギターに行き着く。「チャックは、俺たち全員の祖先なんだ」と、彼の弟子であるキース・リチャーズは言う。

1955年にチェス・レコードからリリースした画期的なデビュー作「Maybellene」がヒットした時、彼はセントルイスで美容師をしていた。同曲は、ボブ・ウィルズによるカントリーの名作「Ida Red」にインスパイアされて書いた、とチャック・ベリー本人は常々語っていた。しかし彼は確かに新しいものを作り出し、世界中を熱狂させたのだ。チャック・ベリーは「Roll Over Beethoven」「You Cant Catch Me」「Little Queenie」「Brown Eyed Handsome Man」といった天才的なヒット曲の連発で、ロックンロールの定義を確立した。チャック・ベリーのギターリフが無ければ、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェッペリン、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、クラッシュは存在しなかったと言っても過言ではないだろう。ベリーは60年代初期に有罪判決を受けている。彼は、服役経験を辛辣に皮肉った曲「Promised Land」を書いた。しかしウッドストック時代を迎え、1970年という時代にマッチした「Tulane」をリリースすると、新たにヒッピーカルチャーのファンを得ることになる。

「何も珍しいことをしている訳じゃない」とチャック・ベリーは、自身のギタープレイについて映画『ヘイル・ヘイル・ロックンロール』(1987年)の中で語っている。「時の流れの中で洗濯しているだけだ」。チャック・ベリーの素晴らしい業績を総括するのに、これ以上的確な詩的表現は無いだろう。

1位 ジミ・ヘンドリックス / Jimi Hendrix

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ジミ・ヘンドリックスが、モンタレー・ポップ・フェスティバルでフェンダー・ストラトキャスターに火を付けたシーンは、最も象徴的なイメージとしてロックの歴史に残っている。彼は、ギターを歯で弾いたり背中側に回して弾いたりするショーマンだった。しかし、彼の芝居がかった振る舞いの裏には、ギターを知り尽くした真のギターマスターとしての顔がある。ヘンドリックスのギタリストとしてのキャリアはわずか8年だったかもしれないが、ミュージシャンたちは一生かけても、彼の幻惑的なテクニックや天才的なインプロビゼーションを習得できないでいる。彼は自分でも歌うが、ギターの方にリードボーカルを任せた。彼はフィードバック奏法を世に広め、ブルーズとサイケデリック・カルチャーを独自の方法で融合させることで、その後のロック、メタル、ファンクや多くのジャンルの発展に貢献した。彼はギターを弾いて聴かせるだけでなく、ギターについて語らせても雄弁だった。「ワウワウ・ペダルには、音階が存在しないから素晴らしい」と、1968年のローリングストーン誌のインタビューで語っている。「ただ踏んでビブラートを効かせる。それからドラムが入ってくる。憂鬱というよりは、孤独感やフラストレーションや、何かを求める欲望といった感じだ。何かが手を差し伸べているような感覚だ」。

音楽業界にまだ人種差別が色濃く残る時代に、白人オーディエンスを唖然とさせた黒人アーティストの登場は、カルチャー間のバリアを取り除く重大な出来事だった。この世を去ってから何十年経とうが、ヘンドリックス・ファンは増え続けている。「ジミ・ヘンドリックスが、ロック・ミュージックの可能性を爆発的に広げてくれた」とトム・モレロは言う。「彼はとても気まぐれな性格だったらしいが、もしも今彼が生きていたら、どうしているだろう。ロック界の長老として君臨していたのだろうか。或いは”Sir”の称号を与えられているかもしれない。それともラスベガス・ストリップの常連だろうか。とにかく史上最高のギタリストとして、ジミ・ヘンドリックスのレガシーが確実に受け継がれているのは喜ばしいことだ」。

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From Rolling Stone US

Illustration by Michelle Thompson
CONTRIBUTORS: Jonathan Bernstein, Tom Beaujour, David Browne, Brenna Ehrlich, Jon Dolan, J.D. Considine, Dan Epstein, Jon Freeman, David Fricke, Elisabeth Garber-Paul, Maya Georgi, Michael Goldwasser, Sarah Grant, Andy Greene, Joe Gross, Kory Grow, Will Hermes, Brian Hiatt, Joseph Hudak, Maura Johnston, Ernesto Lechner, Alan Light, Leah Lu, Charisma Madarang, Angie Martoccio, Michaelangelo Matos, Brittney McKenna, Craig Seymour, Rob Sheffield, Rob Tannenbaum, Simon Vozick-Levinson, Douglas Wolk, Zhenzhen Yu