男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:「やってしまった…」初デートでうっかり酔っ払ってしまった女。その時男が思ったことは…?




久しぶりの、連絡だった。

12月の第一週の金曜の夜に、突然入っていたLINEに僕は一瞬戸惑った。

― Riko:陸くん、久しぶり!元気?

莉子に出会ったのは、今年の頭くらい。あの時は二度ほどデートをしたが、結局何もなく終わってしまった記憶がある。

振り返っても、どうして終わったのか、そもそも何だったのかすらわからないくらいの浅い感じだった。でも決して喧嘩をしたとか、お互い嫌いだったとかではないことだけはわかる。

― 突然どうしたんだろう?

そう思いながらも、「元気だよ。莉子ちゃんは?」「私も元気」など当たり障りのない会話をした後、久しぶりに食事へ行くことになった。


Q1:女が突然連絡をしてきた理由は?


僕は、気取らない雰囲気の美味しい焼き鳥店を予約することにした。

焼き鳥は基本的にカウンター席で隣り合って座れるし、仮に会話につまずいたとしても串が次々と出てくるので困ることはない。

恵比寿の『鳥つた』は、莉子との再会の場にぴったりだと思った。




再会の日、カウンター席で待っていると莉子がやってきた。

「陸くん、久しぶり!」
「お〜莉子ちゃん。久しぶりだね」

大人の1年というのは、どうしてこんなにも過ぎるのが早いのだろうか。冬に出会った僕たちだけれど、気がつけば季節はもう一周している。

そして実際に莉子に会うと、前回会ったのがつい先日だったような気持ちになった。

「最後に会ったのいつだっけ?今年の1月くらいだよね?」
「そうそう。正確には、2月の頭くらいかな」
「やば、もうそんなに経つんだ。時間過ぎるの、早すぎて焦るわ〜」
「わかる。私も、もう年末なことに驚いてる」

相変わらず莉子は可愛くて、ふわふわとした白いニットがよく似合っている。

「陸くんは?元気だった?」
「うん、おかげさまで。莉子ちゃんは?仕事、忙しいの?」
「そうだね〜。特に年末年始は忙しいかも」

たしか莉子は、大手メーカーの広報をしており、今年で30歳くらいだったはず。

― なんで数回だけのデートで、終わったんだっけ…?

タイミングだったのかもしれないけれど、男女の関係にならずに自然に終わってしまうことはよくあること。

莉子とも数回デートをしてみたけれど、先に進まなかったことは特に理由がない気もしてきた。

― あの時、僕に他に気に入っている子がいたからかな…?

そんなことを考えながら焼き鳥を食べていると、急に莉子が僕の顔をじっと見つめてきた。




「最近、陸くんはどうなの?」
「どうって、何が?」
「彼女できたとか…結婚したとか?」
「結婚の気配はまったく(笑)。彼女も今はいないよ」
「そうなの?なんで?」

「なんで?」と聞かれても僕が理由を知っているはずがない。今年で42歳になるけれど、外資系のコンサル会社勤務で年収も悪くない。

ただ一度離婚していることもあり、特に結婚に焦っているわけではなかった。

「じゃあ今は完全にフリーってこと?」
「そうだよ。莉子ちゃんは?」
「私も今は、完全にフリー。実はちょっといいなと思ってしばらくデートを続けていた人がいたんだけど、先月くらいに終わっちゃって…」
「莉子ちゃんなら、すぐに新しい人とか見つかりそうだけど」
「どうかなぁ。でも陸くんに彼女とかができていなくて、よかった♡」

莉子の「よかった♡」の意味はなんだろうか。特別な意味はないことはわかっているけれど、ちょっと嬉しい。

「陸くん、今月はもう忙しい?」
「忘年会が詰まっているけど、来週木曜とかなら空いてるよ」
「本当?またご飯行かない?」
「うん、いいよ」

こうしていつの間にか莉子との次のデートの日程まで決まっていた。莉子の積極的な感じが嫌いではなかった。

僕が奥手なので、こうやってグイグイ来てくれないと進展しない。

― 莉子ちゃん、いい子だな。

この日のデート終わり。家へ帰ると、どこかほっこりとした気分になっている自分がいた。


Q2:結局、何も進まなかった理由は?


そしてすぐに莉子との次のデートはやってきた。

「忙しいなか、時間作ってくれてありがとう♡」

テーブル席で正面に座る莉子の笑顔に、僕は思わず照れてしまう。




「こちらこそ。でもさ、どうして僕たち連絡を取らなくなったんだっけ?別に何かがあったわけでもないのに」
「だって、陸くんが私に興味なさそうだったから」
「そうだっけ?」

いや、違う。お互いなんとなく連絡を取らなくなり、二度のデートでフェードアウトだったと記憶している。

でも僕は、久しぶりに連絡が来た時からずっと疑問だったことがある。

ワインが少し進んできたあたりで、思い切って莉子に聞いてみることにした。

「そういえば、なんで突然連絡くれたの?」
「なんでって…陸くんに、会いたくなったからだよ」
「そうなんだ。それは嬉しいな」

人は、時が経つと考えや気持ちは変わるのだろうか。前回は何となく流れた僕たちの関係だけれど、今回は進展するのだろうか…。

そんな淡い期待を抱いているうちに、クリスマスの話になった。

「陸くん、クリスマスは何をしているの?」
「特に何も予定はなかったはずだけど…莉子ちゃんは?パーティーとかしてそうだね」

莉子は華やかなことが好きそうな雰囲気がある。最初に会った時、周りにいた女友達も華やかだった。きっと連日、パーティーをしているのだろう。

でも莉子は、意外なことを言ってきた。

「まったくだよ。みんな結婚したり彼氏がいたりで。でも、もし陸くんが予定ないなら、デートしない?イルミネーションとか見に行きたいし…♡」




もうそんな季節になったのかと思いながらスケジュールをもう一度見てみる。すると、すっかり忘れていたけれど、会社の先輩からホムパに誘われていたことを思い出した。

「莉子ちゃんごめん!忘れてたけど、24日は先輩の家でホムパだった…。しかも25日の月曜は、普通に飲みの約束が入ってた…。ごめん」
「そっか、それは残念!陸くん人気者だね」
「普段はそんな忙しくないんだけど…。また別日だね。他の日は?」
「逆に他の日は、私のほうが忘年会とかが入っていてスケジュールが結構いっぱいで…」
「じゃあ来月かな(笑)」
「そうだね!」

こうして、また年明けにゆっくり食事へ行く約束をして解散した。

でもこのデート以降、前回とまた同じような感じになっている。

莉子から「ごちそうさま」と連絡が来て、僕が「また年明けに」と連絡をしたっきり、お互いに他愛のないLINEを送り合うこともなく、それっきりになっている。

― 結局、莉子は何がしたいんだろう?

僕自身もどうしたいのかわからず、フェードアウト状態になっている。

▶前回:「やってしまった…」初デートでうっかり酔っ払ってしまった女。その時男が思ったことは…?

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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女が突然連絡をしてきた、本当の理由は?