段々と寒くなってきて、布団が恋しくなる時季。それは人間にとっても猫にとっても同じです。今回は、保護猫だった小虎くんと暮らし、ボランティアで地域猫の管理者としても活動するライターの高木沙織さんに、猫が寝るときの位置についてつづってもらいました。

冬支度が間に合わない人と猫。だけど心は満たされる

11月上旬、関東地方では夏日が2日続きました。本来であれば、11月はニットカーディガンやジャケット、薄手のコートが必要になってくる時季ですが、例年と比べ薄着で過ごす期間が長かったのですよね。しかし、11月中旬になると、異例の暑さから一転。秋の気配を通りこして、一気に冬の入り口が見え始めてきたように思います。

筆者自身も衣替えが追いついていなかったのですが、それは猫も同じようで、わが家の愛猫・小虎(ことら)も心なしか、冬の準備が整っていない様子。防寒性のあるモフモフな冬毛は、部分的にチラホラと顔をのぞかせる程度です。

●猫が布団に入ってくる季節

現在40歳の筆者、そして6歳の小虎もまた人の年齢では40歳くらいのアラフォー世代。寒さにはめっきり弱くなってきている1人と1匹。

筆者が布団に入ってからしばらくすると、体のまわりに“トストス”と猫の足音と気配を感じます。小虎なりに、寝やすいベストポジションを探しているのだろうけれど、体を落ち着けるのは結局いつもの定位置。

右脇の下にすっぽりとおさまると、強引に腕枕に持ち込み、喉をゴロゴロ鳴らして上機嫌。それはもう至福な時間で、「かわいい」、「暖かい」と幸せホルモンが分泌されまくります。いくら体がツラかろうと、寝返りを打つという選択肢はありません。

そのため、いくら窮屈だったとしても、冬のあいだの寝相は仰向け一択。もぞもぞと布団に入ってきて、一緒に寝てくれる猫の姿を見ると、寒い冬の夜も嫌いにはなれません。

ここで、ふと気になったのが、猫たちが寝る位置。彼らがどこで寝るかで、飼い主さんとの信頼関係がわかるというのです。

●お尻を向けられたら、喜んでOK!その理由は…

猫が寝るときの位置については諸説ありますが、その多くには、飼い主さんの顔から近ければ信頼度が高く、遠ければ低いと書かれています。

たとえば、猫が足もとで寝ているとき。彼らには、ほどよい距離感を保ちながら、人の側にいたい気持ちがあるようです。それが、おなかの上や体の横と顔に近づくほど、猫からの信頼度は高まるそうで、枕元で寝るのは飼い主さんに絶大な信頼を寄せている証だと言われています。

さらにそのとき、猫のお尻がこちらに向いているようであれば、それは信頼に加えて安心している気持ちの現れなのだとか。猫にとって、背後をとられるのはとても危険なこと。後ろから敵に襲われる恐れがあるという野性の本能から、飼い猫であっても警戒している相手に背中を見せることはしないのです。

また、猫には庇護欲があり、背を向け自分が先頭に立つことで、飼い主さんを守っているなんていう涙ぐましい説もあります。

ちなみにわが家の場合、夏は筆者の顔にお尻を向けるどころか、グイグイ押しつけ、冬は脇の下で寝ています。

季節によって信頼度が変わるのか、はたまたただの室温によるところなのかは猫にしかわかりませんが、いずれにせよ、近くに存在を感じられるだけで、飼い主にとってはこの上ない幸せなのではないでしょうか。