人の都合を気にせず自由に予定を立てられる、大人「ひとり旅」人気が高まっています。身軽に動けるのも魅力のひとつ。人気スタイリストの地曳いく子さんは、仕事やプライベートでも数多くの旅を経験した旅の達人。

旅の達人・地曳いく子さんに聞いた、50代「ひとり旅」のコツ

ここでは、新刊『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社刊)を出版した地曳さんに、大人ひとり旅のコツを伺いました。

●一期一会だからこそ、チャンスは逃してはダメ!

――これまで海外渡航経験200回以上と、旅の達人である地曳さんが感じる「ひとり旅のよさ」とはどんなものでしょうか?

地曳さん(以下、地曳):家族や気の合った友人と出かける旅も楽しいですが、人生を半分過ぎてみると、友人と予定が合わなくて諦めた名古屋南座の玉三郎丈の特別公演や、長岡の花火大会など、後々「ああ、やっぱりひとりでも行っておけばよかった」と後悔することが度々出てくるようになりました。

若い頃は、また次があると思えたのですが、もう人生を折り返してしまったからか、旅だけに限らず、「すべてのことは一期一会」と考えるようになりました。チャンスを逃してはいけない、と。

だれに気兼ねすることもないのが、ひとり旅のよさです。疲れたら予定を変更するのも自由です。だれにも合わせないで気ままに旅をする、予定は未定だから旅は楽しいと感じますね。

●とにかく「無理をしない」ことが大切

――大人がひとり旅をするとき、とくに気をつけるべきポイントはなんでしょうか。

地曳:とにかく無理をしないことです。疲れたら予定を飛ばしてもOK。なにしろ旅の主役はあなたですから。

修学旅行や町内会の旅行のように、旅のしおりのスケジュールに従って全部こなさなくていいのです。疲れない、無理しないがいちばん。すばらしい日本庭園も、二度と来ることがないかもしれない海外の美術館も、疲れた体で見ては感動も半減します。

疲れてきたら旅の目的を思い出し、「自分はいちばんなにを見たいか、どこに行きたいか」と優先度をはっきりさせます。そのいちばんの目的のためには、前日や当日でも、プライオリティが低い予定をスキップする勇気をもつことをおすすめします。

また、移動や荷物にかかる費用をケチらないこと。タクシー、コインロッカー、宅配便などを賢く利用しましょう。国内外問わず、疲れたらタクシーです。日本はまだ治安がいいですが、海外では疲れた顔でスマホをにらみフラフラしているあなたを狙っている人がいます。

彼らは、普通の観光客の格好をして人気観光名所にいます。そして疲れて見える旅行者をずっとつけていて、隙を狙い、あっという間に荷物やスマホをひったくるのです。彼らは「泥棒という職業」で生きているのですから、疲れた旅行者を見つけるのはお手のもの。以前と違って海外でもUberなどスマホアプリで簡単にタクシーを呼べますし、行き先も登録できます。

●旅先にもっていく靴の数は?

――旅のファッションについてお聞きします。とくにかさばるのが「靴」だと思いますが、地曳さんはどのように選んでいますか?

地曳:旅の靴は、履いていく靴プラス1足の合計2足で十分だと思います。たとえば、NIKEのスニーカーとフラットシューズという組み合わせなどです。近頃はもう、毎日別の靴に履き替えることはしませんよね? 時代は変わりました。

旅の目的が特別な靴を必要とするようなものでしたら、さらにもう1足プラス。登山目的ならトレッキングシューズ、ドレスアップしてバレエを見に行くならおしゃれなヒール靴、といった具合ですね。

クルーズなどでしたら華やかなディナーとかパーティー用にヒール4〜7cmくらいの浮かれた感じのサンダルが1足あると、航海が楽しくなるでしょう。ヒールの高さは体力、脚力によって選んでください。色はヌードカラーかシルバー、ゴールドにすると、どんな色のドレスにも合います。

●体温調整に便利なアイテムは…

――最近は気候の変化が激しく、急に暑くなったり寒くなったりして、体温調節にひと苦労という声をよく聞きます。おすすめのアイテムはありますか?

地曳:私は薄手カシミアやシルクコットンなど、かさばらないストールを2種類もっていきます。1枚は、グレー、ベージュ、黒など無地のものを、もう1枚はきれいな色か柄物を。

無地のものは小さく畳んで機内持ち込みして防寒対策に。きれいな色や柄物はシンプルなワンピースやトップスやコートの上に1枚たすだけで、ガラッとイメージチェンジできますし、気分も変わります。

ユニクロのメンズのクルーネックヒートテックTシャツも便利です。1枚でも着られますし、寝間着としても使えます。オーバーサイズを選ぶのがポイント。色は黒、グレー、ネイビーなどが使いやすいです。