ESSEonlineで2023年10月に公開されたなかから、ランキングTOP10の記事を紹介します。

人生100年時代、第二の人生をガラリと変える人もいます。結婚、子育て、離婚、病気の発症を経て、昨年53歳でスペインへの単身留学を楽しんでいるRitaさん。今回は、美食大国スペインの食事情について教えてくれました。

記事の初出は2023年10月。内容は取材時の状況です。

住んでみてわかった、美食国スペインの食事事情

「スペイン人は1日に5食を食べる」と言われています。たとえば1日はこのようなサイクルです。
8:00  朝食1回目 パン類+コーヒー類(サラダや卵などはなし)
11:00 朝食2回目 ボカディージョ、ドーナツ、果物

14:30 昼食 しっかりした食事、コース料理も多く一日のメイン
18:00 夕食1回目 生ハム、チーズ、果物
21:30 夕食2回目 オムレツ、コロッケ、肉・魚料理

日本人のスケジュールを伝えると必ず「12時にお昼を食べて19時頃までなにも食べないの?」と驚かれます。数時間ごとにおいしいものを求めて過ごすのがスペイン流なんですね。

なおレストランは16時過ぎに一旦閉まり、20時頃再オープンする店舗が多く、不慣れな頃は18時過ぎに訪ねて、お休みと勘違いしたことがよくありました。

●スペインの朝食は甘味たっぷり

朝食で人気なのは「チョコラテ・コン・チュロス」。チュロスといえばテーマパークで食べる“おやつ”のイメージがありましたが、スペインは朝食の定番です。カウンターで新聞を読みながら、チョコラテに浸したチュロスを楽しむ…そんな年配男性の姿もよく見かけます。

以前のホームステイ先のママは、留学生が帰国する度に朝からたくさんのチュロスを手づくりしてくれました。チュロスは地域ごとに味・硬さ・形に違いがあり、各地を訪ねる度に食べ比べすることも楽しみの一つです。

●お弁当の代わりに「ボカディージョ」

日中に欠かせないのは「ボカディージョ」。バゲットに具材がはさまったサンドイッチです。三角形でも四角でもなく、バゲット型が基本。以前、スペイン人と小旅行に行った際に「みなお昼用にボカディージョを持ってくるからあなたも持ってきて!」と言われ、ベーグルパンに具材をはさんで持参したら「え? ボカディージョじゃないもの持って来たの?」と驚かれました。バゲットだと食べこぼしが多く量もかさむのでやめたのですが、ほかの8人は全員そろってボカディージョを持参。そしてそれを包むのはアルミホイル。食品用ラップも売られていますが包む用ではないようです。
ボカディージョの具材は、生ハム、チーズ、野菜など、好きなものを自由にはさみます。なお店舗ではイカフライ、チョリソー、トルティージャ(スペイン風オムレツ)など、多種類のボカディージョが楽しめます。

●「バル」はみんなが集まる社交場

スペインでよく目にするのは、バルで立ち飲みする人たちです。日本のバーと同じ文字「Bar」と書かれますが読み方は「バル」。ここはレストランほどかしこまらず、ケーキが置いてあるようなカフェよりもどちらかといえば食事寄り、テーブル席に加えカウンターが設置されています。朝食に立ち寄り、休憩時間にボカディージョをほおばり、仕事後に少しつまんで、帰宅前に一杯…。終日だれかしらがカウンターに立ち、恐らく地元の人たちは「あそこに行けばだれかがいる」ような、地域に密着した生活の中心的な存在です。

世界一の生ハム生産国スペイン! バルでもレストランでも生ハムメニューを多く見かけます。私は幼い頃からの印象か「生ハム=かみきれない」というイメージがありましたが、究極に薄くスライスされた良質の生ハムは、口の中で溶けていく食感を覚えました。

料理やサラダに入ることも多いですが、単品で注文すると“しゃぶしゃぶ”のように、お皿一面に生ハムが並び圧巻です! また専門店や市場では食べ歩きできるサイズも売られ、気軽に試せるところも魅力の一つです。

 日本でよく言われる「飲んだ後は締めのラーメン」、スペイン版は「アイスクリーム」です。スーパーは閉店していてもアイスクリーム店は24:00頃までオープン。スペイン人は年齢・性別に関わらず本当にアイス好きで常に長蛇の列。人気の味はチョコレート・アーモンド・ヌガーなど、こってり系です。

食べることが大好きなスペイン人。一日中「食」を感じる生活だからこそ、美食国ができ上がったのですね。私の食生活も最近はすっかりスペイン流に変わりました。数時間おきに小腹がすき、ボカディージョや果物を頬張り、バルやアイスクリーム屋の営業時間はしっかりチェック。食生活を合わせることで、さらに地元に馴染んだ生活になってきたように思えます。