男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「旅行へ行った直後から、彼女が急に冷たくなった理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:出かける準備が遅い29歳女。化粧に15分もかける彼女に対し、男が指摘すると…




もうすぐ、30歳の誕生日がやってくる。今年は彼氏もいるし、楽しい誕生日を迎えられそうだと思っていた。

それに、来年は結婚できるかなと思っていた。

でも、ここ最近雲行きが怪しくなってきている。

「綾乃、来週末は空いてる?」

彼氏の勇気にそう聞かれたとき、最近はすぐに「空いてる」と答えられない自分がいる。

スケジュールは大体頭に入っているし、週末は、勇気のために空けていることが多かった。けれど、この先彼と付き合い続けるのがいいのか、わからなくなっている。

「うーん…来週末は忙しいかも」
「綾乃、何かあった?」
「別に何もないんだけど…」

勇気とは、まだ付き合ってはいるものの、別れたいほうに気持ちは傾いている。でも、今すぐ他の人が見つかる保証もないから、なんとなく距離を置いている状態だ。


A1:遅刻癖があって、そこが嫌だった。


友人が開いてくれた食事会で、勇気と出会った。爽やかでスマートな人だなという第一印象で、私としては“アリ”だった。

だから、翌日個別で食事に誘ってくれた時は、素直に嬉しかった。

それに、初デートは、行ってみたかった『アーティショー』でテンションがあがった。そこで、意外にもたくさんの共通点があることがわかり距離が近づく。




話しているうちになんとなく大学の話になり、まさかの一緒の大学ということがわかった。

「え!綾乃ちゃんも慶應なの?僕もなんだけど」
「そうなんですね。勇気さんは何年卒ですか?」
「僕は2013年卒だよ。綾乃ちゃんは?」
「私は2016年なので…かぶってますね!サークルとか入っていましたか?」

しかも、家の場所まで近いことが発覚した。

「綾乃ちゃん三田に住んでるの?僕白金高輪だから近いね」
「ご近所さんですね!」
「あのお店知ってる?古川橋近くにあるフグ屋さんなんだけど…」

ここまで来ると、話の流れはもう想像できる。

「今度一緒に行かない?」
「行きたいです〜♡」
「いつ空いてる?」

こうして、トントン拍子に話は進み、何度かデートを重ねていくうちに自然と付き合うこととなった。

でも。交際当初から、私は気になっていたことがあった。それは、勇気の遅刻癖。




付き合って間もないころから、勇気はデートに5分以上遅れてやってくることが多かった。

その日も、彼は約束のお店に10分ほど遅れてやってきた。

「勇気くんってさ、毎回絶対遅刻してくるよね?」
「でも、5分とか10分とかだよ?」

そういう問題ではない。私が怒っているのは、遅れても悪いと思っていない態度に対してだった。

「待たされるほうの身にもなってよ。私、時間にルーズな人は嫌いなんだけど」
「綾乃だって、準備にすごい時間かかるじゃん」
「それを自覚しているから、私は早めに出かける準備をしているでしょ?それに時間がかかるのは、女子なんだから仕方ないことだし…」

たしかに、私は準備に時間がかかるけれど、だからこそ逆算して行動している。遅刻とはワケが違うと思う。

でも、30年も生きていると、お互いに意見が違うのは当たり前だし、完璧な人間なんていない。

私は、そう自分に言い聞かせ、極力我慢はしていた。

それに、私が我慢できたのは、勇気にちゃんと結婚願望があったからだ。

「綾乃ちゃんって、結婚願望とかあるの?」
「もちろんだよ。周りも結婚しているし、私もなるべく早くしたいなと思ってる…」
「そっか、そうだよね」
「勇気くんは?」
「僕もあるよ。今すぐとかじゃないけど」

もうすぐ30歳。この年で結婚願望がない男と交際することほど、不幸で時間の無駄なことはない。

だから、私はこの恋を手放さないように大切にしてきた。でも、我慢の限界が、彼と一緒に箱根に旅行をした時に来てしまった。


A2:自分のことを棚に上げて、人の言動に対してうるさすぎる


秋らしくなってきた週末、私たちは1泊2日で温泉旅行に行くことになった。

14時半ピックアップの約束だったのに、勇気が家の下まで来たのは15時。

車で迎えに来てくれたことに感謝はしているけれど、案の定遅れてきた勇気に、私は思わず言ってしまった。

「本当に、勇気くんって時間守らないよね」
「でもさ、家なんだから別に良くない?しかも綾乃は準備に時間かかるし」
「まぁ、たしかに。洋服に迷っていたから、結果的にはちょうど良かったけれど…」

言い返すのも面倒だったし、旅行中にケンカはしたくなかったので私は適当に受け流す。

それに、温泉旅館へ着いたら宿も食事も良くて、勇気が遅刻したことは、水に流して楽しんでいた。

でもその晩、1つ目の事件が起きた。




勇気は、露天風呂がついているタイプのお部屋を予約してくれていた。

食事を終えたあと、のんびりとお風呂に入ってから寝ようと思い、23時を過ぎてから私は二度風呂を楽しんだ。

お風呂から上がり冷蔵庫を見ると、500mlのペットボトルが2本しか残っていなかった。

「明日の朝、起きた時に飲む水が足りないかも…」

そう思い、フロントへ電話をしようとした時だった。

「綾乃、どうしたの?」

背後から、勇気の声がしたので私は振り返って答える。

「今気がついたんだけど、明日の朝起きた時に飲むお水がないなと思って」

すると、勇気は急に険しい顔になった。

「この時間からフロントの人を呼び出すの、失礼じゃない?しかもまだ水もあるんだし」

― え?これって、失礼な行為なの?

個人経営の小さな、老夫婦がやっているような民宿だったら失礼かもしれないけれど、ここは高級温泉宿だ。フロントの人も24時間対応してくれる。

でも、勇気にそう言われると迷惑な行為なのかもと不安にもなってきた。

「でも、今夜で飲みきっちゃうかもだから…。一応、明日の朝起きた時用にもらっておきたくて」
「綾乃…もう少し相手の立場になって物事を考えたほうがいいよ」

― え?どの口が言ってんの?

24時近くになってフロントに電話することは、百歩譲って私が悪かったとしよう。でも、毎回遅刻してくる勇気に言われたくはない。

モヤモヤした気持ちを抱えたまま、私は眠りについた。

翌朝、2つ目の事件が起きた。それは、私が勇気より早く起きて、洗顔を終え化粧水をパシャパシャとはたいている時だった。




私は化粧水とパックを終え、クリームと下地を塗ろうとしていたときに、勇気は起きてきた。

そして、勇気が急に私の顔を覗き込んできた。

「ねぇ、そんな化粧とかいいから。誰も見てないんだし、なんでもいいよ」
「でも…せっかくだから、多少の化粧はしておきたくて」
「そんなことより、早く行こうよ」

― え…?今起きてきて、自分の準備ができたからって急かしてくるの?

たしかに、私は人よりのんびりしているほうかもしれない。でもだからこそ、先に起きていた。しかも自分の彼女に対して「誰も見ていない」なんて言うのは、人としてどうなのだろう。

「5分くらい待ってよ」

だんだん、悲しみに似た怒りが湧いてきた。

「じゃあ5分だけね」

普段、自分は10分以上遅刻してくるくせにどの口が言っているのだろうか。

「ごめん、お待たせ。行こうか」
「化粧する必要、あった?」
「女の子には必要なの!でも私、そこまで遅いほうではないと思うけど…化粧時間15分って、長いのかな。私はマツエクもしていないから時間かかっちゃうのかも」

別に、1時間もかけているわけではない。

たったの15分だ。

しかもそれは、彼氏に少しでも「可愛い」と思われたいからだ。それなのに、まったく甘い言葉もかけてくれず、待てない勇気。

― 私、こんな人が彼氏でいいのかな…。

仮に勇気がせっかちで、時間に厳しい人だったとしよう。いつも5分前行動で、1分1秒でも時間を無駄にしたくないから「化粧時間は短いほうがいい」とか言ってくるなら、まだ許せる。

勇気の場合は、それとは違う。

勇気は、遅刻して他人の時間を最大限に奪う行為をしてもなんとも思わないのに、他人に待たされることは耐えられないという。

― この人、究極の自己中じゃん…。

そのことに気づくと、急に気持ちがさめてきた。それに改めて、勇気の旅行中の言動を振り返ると、結婚したら若干モラハラになりそうな気もする。

だから、私はフェードアウトしつつ、他の人を探そうと思っている。

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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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