鏡は洗面台とドレッサーにしかない。そんなお宅も多いのでは。60代となったライフオーガナイザーの田川瑞枝さんは、あえていろいろなところに鏡を置いて活用しています。固まった姿勢や表情をゆるめるために。また、空間をゆったりと感じるために。使用目的や置いている場所を紹介します。

リビングに姿見を設置して、自分の姿勢をチェック

わが家はいろんな場所に置いています。そう書くと、「ずいぶん、顔を見るのが好きな人なんだ」と思われそうですが、別の理由があるのです。

たとえば、家族全員がいる場所に鏡があると、なにかと便利です。わが家は、リビングダイニングとキッチンの間に姿見を設置しています。

キッチンの袖壁が縦長の鏡の置き場に。リビングとダイニング、キッチンは、1日に何度も利用する場所なので、この場所がピッタリなのです。

壁づけなので掃除機のジャマにならず、ムダにスペースを使いません。設置の高さは、いちばん背の高い家族(つまり、夫)の身長に合わせて決めました。

夫は出かける前の最終確認やネクタイを締めるときなどに利用しています。一方筆者は、姿勢の確認で使っています。通り過ぎるときに、ちらっと覗く…といった具合。

反り腰、猫背など姿勢が悪くなっていないかのチェックです。年齢が高くなるにつれて、背中の筋力低下が気になってきました。意識して背中を伸ばすことで、背中の曲がりを予防し、姿勢矯正の効果を期待しています。

 

また、鏡は、自分の姿を確認するだけでなく、室内を広く見せるというメリットがあります。筆者も、隣続きの部屋の奥まで映り込むので、この効果を実感。

季節によっては、東の窓から鏡に朝日が反射し、明るく輝く瞬間があります。太陽の位置の関係だと思いますが、季節の移ろいを感じられるひとときです。

トイレに鏡を置いて、空間を広く感じる

公共の場のトイレに鏡は必須ですが、自宅だとそこまで必要性を感じないかもしれません(たいてい、洗面所が近くにあるので)。

わが家は、来客用にと設置しました。加えて、自身の身だしなみチェックにも利用しています。ここにあると、自然に覗き込めるのです。

わが家のトイレはシンプルで殺風景になりがちですが、鏡があると、枠が額縁のように見えてインテリアとしての効果も。

また、照明が反射して明るくなるうえに、狭い空間が広く見える効果もありますね。

ただ、一点だけ残念なのは、この鏡が重いこと。掃除の際に取りはずすときに、だんだん重さを感じるようになりました。もしも次に交換する機会があったら、今度は軽いものを選ぼうと思っています。

 

キッチンの鏡は笑顔の練習用に。表情筋を鍛える

「キッチンに鏡?」と驚かれるかもしれません。これは自分の戒め用に設置しました。

子どもたち(現在は独立)が小さかった頃のできごとです。

筆者が台所仕事に追われて無表情でいたら、娘が「怒ってるの?」と聞いてきたことがありました。別に怒っているわけではなかったのですが、表情筋が下がり怖い顔に見えたのでしょうね。

子どもたちの記憶に、「イヤイヤご飯をつくっている母親像」が残っては大変。そこで、自分の表情を確認するために鏡を置くことにしたのでした。

 

鏡を見ながら、台所仕事のすき間時間に、口角を上げる練習を。これだけですが、子どもの話しかけに笑顔で反応できるようになれました。

あれから数十年。鏡はやはりそのままにしています。60代となった今は、年齢とともに乏しくなる表情筋を鍛える意味で、ちゃんと口角が上がっているか確認しています。

笑顔をつくると、脳は楽しい作業と錯覚するそうですね。不思議と、気持ちにも余裕が生まれます。台所仕事が苦にならずにできるのは、鏡のおかげかもしれませんね。

玄関の鏡で、身だしなみを最終チェック

玄関に鏡を置くと風水的によい効果があると聞いたことがあります。ただ、地震が来たとき、もし割れて飛散したらと考えると怖くて置けません。

 

そこで、扉つきの収納スペース内に置くことにしました。扉をあけたときに鏡があることで、身だしなみの最終確認をします。

ちなみに、この鏡が置いてある棚は、筆者がスノコを利用してつくりました。鏡はスノコの溝にはめるように入れ込んでいるので、地震で落下するようなことはなさそう。

60代になってからは、いっそう安全性や万が一のときのあと片づけを考えるようになりました。

ついでに鏡で、奥に置いた文庫本や雑多なものを目隠ししているのはご愛きょうです。

 

洗面所の収納棚に鏡を置いて、身支度を時短に

わが家の洗面台収納は、扉が鏡になっているタイプ。ということは、中の洗面道具を取り出す際に扉をあけることで、鏡を覗けなくなります。

鏡を見ようと閉めると、今度は取り出した洗面道具を戻すために、再び扉をあけてものを戻す行為が発生します。年齢を重ねていくうちに、これがどんどんわずらわしくなってきました。そこで、扉をあけたまま鏡が見える仕組みに。

 

結局、扉の中の棚に鏡を置くのが便利。すこぶる快適です。

 

鏡をのぞきやすいよう、鏡の前に置くスキンケア用品などは背の低いものを選んでいます。手にとっては戻す行為が簡単にできるので、出しっぱなしにならず片づけが簡単に。

意外なほど時短効果を感じています。朝晩の身支度がラクになりました。

ついでに、鏡の簡単な掃除方法を紹介

鏡は光っていてこそ、その効果を発揮します。手アカや油煙などがつきやすいので、気づいたときに掃除しています。

 

筆者の掃除法をご紹介しましょう。用意するのは以下のもの。鏡用の洗剤などは使いません。

・スプレーボトルに入れた水
・ウエスなどの布
・白い乾ぶき用布

 

鏡に水を吹きかけます。

 

ウエスで汚れをふき取ります。

 

水のふき跡が残るので、乾ぶきします。これだけでスッキリきれいな鏡になります。

以上、わが家の鏡の使い方を紹介してきました。

鏡は、身だしなみのチェックに役立てるだけでなく、部屋を明るく広く見せたり、家事に向き合う気持ちを変えてくれたりする効果もあります。きれいに輝かせておきたいですね。