家族仲がよくても、お金持ちでなくても、相続のトラブルは起きてしまうもの。そんな「相続問題」を税理士の橘慶太さんがステップ別にわかりやすく解説。早めの準備がトラブル回避に! 今回は「順位と配分」について教えてもらいました。

円満相続のために早いうちから家族で話し合いを

「『相続でもめるのはお金持ちだけ、うちは関係ない』と思っていませんか? それは間違いです! たとえば、遺産がほぼ自宅だけで、現金がわずかしかない場合、1人が自宅を相続すると、ほかの相続人に不満が生じます。逆に、現金がたくさんある家庭なら、相続人同士で均等に分けやすく、もめにくいんです」と税理士の橘慶太さん。

家族間のトラブルは一度勃発すると感情的になりやすく、相続をきっかけに家族がバラバラになるケースも。

「相続でもめないためには、親が元気なうちに遺産をどうしたいか意思を確認し、家族みんなで話し合っておくことが大切。認知症になると相続対策ができなくなるので、親が65歳ぐらいになったら準備を始めましょう」

●ESSE読者308人にアンケート!「相続の準備を始めていますか?」

いいえ…88%
はい…12%

準備を始めていない人が約9割。すでに始めている人は、「エンディングノートを用意」「親と財産の状況を共有」「遺言書を作成」などの準備をしていました。

相続される順位と配分を考えよう

遺産を相続できるのは、民法が定めた「相続権をもつ人(=相続人)」だけ。配偶者は必ず相続人になり、その次に子どもが第一順位の相続人に。

「遺産の分け方は国が『法定相続分』を定めていますが、あくまでも目安。最終的に相続人全員が合意すれば、どんな分け方でも自由です」

●父が亡くなった場合

法定相続人は、配偶者である母と子どもたち。「法定相続分は母が相続財産の2分の1、子どもたちが残りを均等に分け合います」

●夫が亡くなった場合

妻が遺産の2分の1、子どもたちが残りを均等に分け合います。「子どもがいない場合は、妻が3分の2、義父母が残りを相続します」

【もめないポイント】配分は相続人全員の合意があれば自由に変えられる

法定相続分に強制力はありません。「たとえば、『母がすべて相続、子どもは0』『母と子ども2人で3等分』など、相続人全員の合意があれば、割合は自由に決められます」