なぜ高速道路SAはクルマを“斜め”に駐車させる?「斜め駐車枠」じゃないとダメ? 意外なメリットとは?

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なぜ高速道路SAは「斜め駐車枠」が主流?

 高速道路のSA・PA(サービスエリアパーキングエリア)では駐車枠が斜めになっていることも多く、初めて利用する時にはどのようにとめたら良いのか戸惑ってしまうこともあるでしょう。
 
 近年は長方形の駐車枠を斜め駐車枠に切り替えるレイアウト変更を行うSAも出てきていますが、どういったメリットがあるのでしょうか。

斜め駐車枠が設置されている高速道路のSA

 コンビニや商業施設の駐車場などは、長方形の駐車枠が均一に並んでいることが一般的ですが、高速道路のSA・PAには「斜め駐車枠」が多く採用されています。

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 斜め駐車枠では、駐車場内の通路に対して駐車枠の角度が斜めに傾いており、前進駐車して進入し後退して出るタイプのほか、そのまま前進して出られるタイプ、後退駐車して前進して出るタイプなどがあります。

 駐車する枠に合わせて前進または後退駐車のどちらか容易な方法で駐車することになりますが、一部では全ての駐車枠が後退駐車・前進出庫となっているSAもあります。

 さらに、従来の長方形の駐車枠からの切り替えも進められており、このような取り組みが広がる背景には、斜め駐車枠には大きく3つのメリットがあるためだといいます。

 そのうちのひとつが逆走防止で、長方形の駐車枠と比較して進行方向がわかりやすくなる点がメリットです。

 高速道路内は全域で一方通行となっていますが、SAやPAの入口は逆走の発生しやすいポイントのひとつ。注意喚起の看板によって注意喚起が行われています。

 SA・PAの駐車場内では、駐車枠の形状や停車した向きによっては、出庫時に方向を間違えてしまうリスクがあり、進行方向と反対のSA・PAの入口に向かって進行してしまい、そのまま本線へ逆走して進入してしまう恐れがあります。

 その点、斜め駐車枠であればクルマが進行方向に沿って停車することになり、出庫時はクルマの向きにあわせて出ると自然に出口方面へ向かうため、逆走が発生しづらくなるでしょう。

 2つ目の理由は、駐車がスムーズにできるという点です。

 長方形の駐車場と比較して駐車場へ入る時の角度が緩やかになるため、前進駐車、後退駐車のどちらのタイプでも駐車場の出入りが容易になり、切り返しにかかる時間も短くなることから駐車中のクルマの後ろで渋滞が発生しづらくなるといいます。

 ほかにも、駐車スペースの確保が可能となることが挙げられます。

 駐車枠自体は長方形よりも斜め駐車枠のほうが大きくなりますが、駐車場全体では斜め駐車枠のほうが駐車台数を多くできる傾向にあるのです。

 その要因として、斜め駐車枠は角度が緩やかである分、入出庫のためにハンドルを切る角度が少ないことに加えて駐車場内は原則一方通行となるため、駐車場内の通路を細くすることができることが挙げられます。

 斜め駐車枠では、前進駐車して後退して出るタイプと後退駐車して前進して出るタイプがありますが、基本的には進行方向に沿って無理なく駐車するよう意識すると良いでしょう。

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 NEXCO各社では大型車の駐車マス拡充、利便性や安全性の向上のため、長方形の駐車枠の斜め化や、斜め駐車枠の向きを変えるなど、レイアウトの変更が進められています。

 今後は全国のSA・PAで斜めの駐車枠が増えてくると見込まれています。

 初めて利用する時は戸惑うこともあるかもしれませんが、実際に使ってみると出入りが簡単であると感じられるのではないでしょうか。