将来コーヒーが日常的に飲めなくなる!?「コーヒー2050年問題」を専門家が解説

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モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜〜金曜6:00〜9:00)。10月19日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「『コーヒー2050年問題』について」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



◆「コーヒー2050年問題」とは?

現代の日本では、自宅や喫茶店、コンビニ、自動販売機など、いつでも・どこでもおいしいコーヒーを飲むことができます。一方で、およそ30年後の2050年に、コーヒーが気軽に飲めなくなってしまう可能性があるとのことです。この問題は「コーヒー2050年問題」と呼ばれています。

ユージ:まずは「コーヒー2050年問題」とは、どのような問題でしょうか?

塚越:主な要因として地球温暖化による気候変動があります。コーヒーの主な産地は、赤道を挟んで北緯25度〜南緯25度。質の良い豆が生産される「コーヒーベルト」と呼ばれる地域です。コーヒー栽培は、標高の高い1,000mほどの所でおこなわれるので場所を選びます。

しかし、温暖化でこのような地域の気温・湿度が上昇し、「さび病」という植物の感染病が流行しています。さらに、雨季・乾季のリズムも崩れて干ばつも起きてしまっている状況です。

そこで現地では、より高地に栽培地を移し始めているのですが、山の上ですので当然、面積が少ないです。このまま温暖化が進むとコーヒー生産大国であるブラジル国内の栽培に適した土地は、2050年には60%程度減少します。同じく、コーヒー豆全体の6割を占める「アラビカ種」のコーヒー栽培地も、2050年には50%近く減少するとみられています。

コーヒーを日常的に飲めなくなる可能性

ユージ:「コーヒー2050年問題」が起きると、どのような影響がありそうですか?

塚越:やはり、収穫量の減少と品質低下が起きます。今、当たり前のように飲んでいるコーヒーが貴重品になって、日常的には飲めなくなってしまいます。

さらに、コーヒー栽培地が減ると現地のコーヒー農家さんも貧困に陥ってしまう可能性もあります。コーヒーは世界70カ国以上で生産されていて、約2,500万世帯が従事する巨大な産業です。

しかし、小規模農家も多く、産地も中南米やアフリカといった発展途上国が多い。さらに相場の変動も大きい。こうした状況では、コーヒー農家を辞める方も出てきますし、生産者が減れば労働環境も悪化するといった懸念もあって、以前からコーヒー農家さんの問題がありました。

このような大きな構造的問題がある一方で、世界のコーヒー需要は増加傾向にあります。ICO(国際コーヒー機関)によると、1990年に約550万トンだった消費量は、2020年には1,000万トンを超えています。需要増加の背景には、中国やインドといった経済成長している国の生活水準が向上したことで、コーヒーの消費量も増えています。

コーヒー生産量が減る恐れがあるなかで需要が増えると、需要と供給のバランスが壊れて、おのずと価格が高騰し、気軽にコーヒーが飲めなくなります。「コーヒー2050年問題」といいますが、今すぐに考えなければならない問題です。

◆世界の企業団体による支援が重要

吉田:「コーヒー2050年問題」への対策はありますか?

塚越:効果的な対策として、病気や害虫、干ばつに強い新種開発などがあるのですが、コーヒー生産国は低所得国が多く、品種改良が進んでいないということです。

世界的なコーヒーの研究機関「ワールドコーヒーリサーチ」によれば、解決のための研究開発費は年間5億6,700万ドルほど必要とされますが、現状の開発費は1億1,500万ドルと5分の1ぐらいしか開発に回せていないということです。

世界中でこれだけ愛されているコーヒーですので、ここはもっとお金をかけてほしいですよね? 例えば、日本のコーヒーメーカーでは、病気などに耐性がありながら収穫量も味も良い新品種を研究しているところもあります。

他の企業も、現地の農園支援ということで、気候変動への対応として、水使用量を削減したり、河川の汚染防止、生物多様性への配慮などを指導したりするところもあります。このように、世界中の企業団体による支援が、やはり重要になってくるのかなと思います。

◆私たちにできるアクションは?

ユージ:我々、消費者にできることはありますか?

塚越:根本的には地球温暖化が大きい問題ですので、私たちも温暖化対策をすることです。それが、めぐりめぐって「コーヒー2050年問題」の解決にもなります。

もう1つは「フェアトレード商品」といって、農家さんが適正な報酬を得られるよう配慮したコーヒーがあるので、それを選ぶのも1つの手かなと思います。少し高くても、農家さんの収入を考えた行動が、長い意味で私たちのコーヒーライフにつながるということもありますし、これがグローバル社会だと実感させられる問題でもあると思います。

ユージ:コーヒー好きの僕としては、これから先も楽しみたいですし、1日1杯では満足できません……。しかし、良いコーヒーは今でもそれなりの値段がしますので、そこの内訳として農家さんがもう少し儲かることができる仕組みに変わればいいかなと思いました。私たちが払う金額を上げるだけではなく、今払っている金額のなかから農家さんが貰える額を増やせる方法はないのかなと思います。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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10月19日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
https://www.tfm.co.jp/link.php?id=7714
聴取期限 2023年10月27日(金) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/