掲載:THE FIRST TIMES

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■新たな出発を果たす貴重なライブを目撃
4人組バンド・Awkmiu(オークミュー)がTVアニメ『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』エンディングテーマを収録した初のEP『アロー』の発売を記念したライブイベント『Awkmiu presents LIVE “Gift Shop” 』が9月16日(土)に東京・Shibuya eggmanで開催され、ゲストアーティストとして、新バンド・Aooo(アウー)が出演した。

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アイドルネッサンスでの活動を経て、赤い公園の2代目ボーカルを務めたのち、ソロ活動をスタートさせた石野理子がどんなバンドを始めるのか。“前進バンド”としか語られないが、2022年5月に現在の新体制となり、“魅惑ハレーション”から“Awkmiu(オークミュー)”に改名したバンドは、これからどこに向かうのか。ともに新たな出発を果たす貴重なライブを目撃すべく、Shibuya eggmanには大勢の観客が詰めかけ、フロアは身動きが取れないほどの超満員で、開演前から場内には期待と熱気で満ち溢れていた。

先陣を切ったのは、石野理子(Vo)、YOASOBIのサポートも務めるやまもとひかる(Ba)、「テレキャスタービーボーイ」で知られるボカロPで、積極的なライブ活動も行っているすりぃ(Gu)、「フォニイ」が現在も大ヒット中のボカロPで、音楽ユニットNOMELON NOLEMONとしても活動中のツミキ(Dr)という4人によって結成された新バンド、Aooo(アウー)。ステージに上がった4人は円陣を組んで掛け声をあげ、アニメ『うる星やつら』のエンディングテーマで、ツミキが作詞作曲したMAISONdes「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」でライブをスタートさせた。速いパッセージでメロディの上下動も激しい難曲をスムーズに歌いこなし、ファンクに展開する2番でラップのようなフロウを刻むと、フロアからは歓声とハンドクラップが沸き起こった。

■「私たち、今日が初ライブ!デビューになります!!」と晴れやかな表情を見せたAooo

最初のMCでは「私たち、今日が初ライブ!デビューになります!!」と晴れやかな表情を見せると、自己紹介ではなぜか血液型も発表し、ここでバンド名が4人の血液型から取ったものであることが明かさると、場内からは「おおー」という驚きと納得の声が上がった。そして、「好きになってもらえるように、楽しみながら一生懸命に頑張ります!」と意気込みを語った石野は、ツミキの「shampoo」でメロウなアーバンR&B、“臆病な愛”をテーマにしたすりぃの「あんずの花」で昭和歌謡とボカロ曲が融合したような物悲しくいなたいラブソングと、1曲ごとに異なる雰囲気を提示。バンド名を決めるために集まった最初のミーティングのときに「カラオケでいちばん最初に歌う曲として唯一意見が合った」というランカ・リー=中島愛「星間飛行」のカバーではお立ち台に上がってチャーミングなパフォーマンスも見せ、初のオリジナル曲「アパシー」では観客をスカビートのロックで踊らせ、ラストはすりぃの「アイワナムチュー」でクラップやジャンプに加えて、高く掲げた手を左右に揺らすワイパーで盛り上がり、バンドメンバーも観客も汗だくになるという爽快感を残して初ライブを終えた。

■Awkmiuは、1st EP『アロー』からの作品たちを熱唱

続くAwkmiuは、始まりから終わり、生から死へと向かっていた1st EP『アロー』のラストナンバーである「dice」で勢いよくライブの口火を切った。関根米哉(Dr)からシキ(Vo)、カヤケンコウ(Ba)、Aki(Key)と、一人ずつが変わるがわる前面に出てくるような立体的なバンドサウンドで、かつての旅で辿り着いた“果て”の思い出を綴ると、多彩な世界の中で見つけた自分だけの色を守り抜く強さを込めたポップロック「color」ではシキが観客に向かって真っ直ぐに手を伸ばし、ユートピアに向かってひたすらに航海を続ける姿勢を示すエレポップ「1089(センパクと読む)」ではバンド全体が躍動しながら“嘘吐きのまま飛べ!”とフロアを煽る。続く、ヘヴィーでラウドながらも、キーボードの音色が煌めくロックナンバー「avalanche」でもまた、“長い旅路の果て”を振り返りながら、“手に残った頼りない光”を“愛”と呼び、“「なんて素晴らしい世界だ」と呟くのはあなただ”と観客に向かって訴えかけた。ピアノとボーカルから始まり、4ビートにも変化するミクスチャーロック「Masquerade」では激しい音の渦の中から絶望や諦念といった表情を浮かび上がらせ、シキがスタンドマイクでエレキギターを弾きながら語るように歌った「そこから」では、永遠の別れを前にし、“何もかもそこから”と、後悔を抱えて生き続ける希望を込めたフレーズを繰り返した。

MCではシキが「いろんなことを諦めたり、忘れたりしないといけないことがたくさんあると思いますけど、この箱の中にはいつだって変わらない“光”があって、あなたに信じてもらえるようにライブをやってます。今日、このライブが、あなたの胸の中に、いつまでもあなたを生かすような強い光を宿せるように願って」と語り、ポップロック「灯火」では光を照らす歌を歌い続ける決意を表明し、バンドのアンセムのようなエールソング「Mr.Crier」で場内の熱気を引き上げると、拳が高く掲げられる中で“WOWOW”という観客のシンガロングも巻き起こった。

■11月には初の東阪対バンツアー『Awkmiu presents LIVE TOUR “What’s in the box?”』を開催

アンコールでは“Gift Shop”というライブタイトルについて、「この箱の中で音楽がいつでもあなたへの贈り物だと思っていて。ライブは何曲もあなたにまとめて差し出すことができて。そこには、すごく好きな曲も、そうでもない曲もあってよくて。差し出す側と受け取り側があくまで同じ場所にいるんだということを大事にしたかったので、このタイトルにしました」と説明。さらに、11月には初の東阪対バンツアー『Awkmiu presents LIVE TOUR “What’s in the box?”』を開催することを発表。「今日、ここであなたが受け取ったギフトの中身がなんだったのか、2ヵ月後にお互いに見せ合えたらいいな」と呼びかけ、Awkmiuの“まだ見つからない果て”を目指す旅路の始まりの曲「アロー」で、生命の輝きを確かめ合うかのような渾身の歌声を響かせ、改名後のファーストソングで、再出発に対する期待に胸を高鳴らせる「どくどく」では喜びにあふれた歌声とバンドアンサンブルに観客のクラップが重なり、対バンライブは大団円を迎えた。

シキによる「アロー」のセルフライナーノーツに「一緒に目撃した旅の始まりの瞬間は、きっと遠くに行けば行くほど強く未来を貫いてくれる」という言葉を体現したようなライブだった。旅は、物語は続いていく。どこまで遠くに、どこまで高い場所まで連れて行ってくれるのか。これからの旅路に大いに注目したいし、できることなら“果て”までついていきたい。

TEXT BY 永堀アツオ
PHOTO BY ひの(メイン&Awkmiu)/Kato Shumpei(Aooo)

Awkmiu presents LIVE“Gift Shop”
2023年9月16日(土) Shibuya eggman
SET LIST

Aooo(ゲストアーティスト)
1.トウキョウ・シャンディ・ランデヴ(original ver.is by MAISONdes feat.花譜、ツミキ)
2.shampoo(original ver.is by ツミキ feat.鈴木愛理)
3.あんずの花(original ver.is by すりぃ feat.ねね)
4.星間飛行(COVER/original ver.is by ランカ・リー=中島愛)
5 .アパシー(Aooo)
6.アイワナムチュー(original ver.is by MAISONdes feat.asmi、すりぃ)

Awkmiu
1.dice
2.color
3.1089
4.avalanche
5.Masquerade
6.そこから
7.灯火
8.Mr.Crier
En1.アロー
En2.どくどく

ライブ情報
Awkmiu presents LIVE TOUR “What’s in the box?”
11月12日(日)大阪・STAR BOX
11月16日(木)東京・Shibuya eggman