中国を退けて決勝進出を果たした日本女子代表。(C)Getty Images

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 中国の杭州で開催されているアジア競技大会に参戦している日本女子代表は、10月2日に行なわれた準決勝で、ホスト国の中国代表と対戦。4−3と打ち合いを制し、ファイナルに駒を進めた。 8強入りした女子ワールドカップに出場したのはFW千葉玲海菜だけというメンバ―構成ながら、5試合で35ゴールを挙げる快進撃を見せている日本と、自国代表との差に言及したのが、中国のメディア『スポーツウィークリー』の副編集長を務める馬徳興記者だ。 中国の大手スポーツメディア『新浪体育』に掲載された「女子サッカーは10年以上遅れをとっており、気迫だけを言っていても逆転のチャンスはない」と題した記事で、こう綴っている。「現在の風潮では中国女子代表を批判、声を上げたりはできない。1−4から3−4と追い上げ、闘志を見せたと、試合後に『女子サッカー魂』『諦めない心」が語られた。しかしその一方で、アジアでまた惨敗を喫したときに初めて、人々が本当に目覚めることができるのではないかと考えている。技術的、戦術的レベルの全面的な遅れだけを探求しても、中国には逆転のチャンスはまったくない』【画像】中国から賛辞!深々とお辞儀をする日本女子代表の選手たち


 同記者は、「中国は女子W杯の時と比べて大きな進歩を遂げていない。W杯で露呈した問題点は今回のアジア大会でも同様で、いずれも大差で相手を破ったとはいえ、モンゴル、ウズベキスタン、タイはアジア女子サッカー界ではせいぜい三流だ。中国が日本、韓国、オーストラリアと地位を変えるのは難しい」と指摘。日本との差をこう綴っている。「今回派遣された日本女子のチームはせいぜい『セカンドチーム』としか考えられないが、最初の4試合で見せた技術的・戦術的な内容は中国女子より少なくとも10年は進んでいる。それは中国との試合でも如実に表われた。特に前半は、日本はシュート4本で4得点。こうした攻撃効率の高さは、カウンターの成功率を重視した女子W杯のスペイン戦とよく似ている」 記事は、「別の例を挙げれば、日本が中国の選手に迫ってプレスをかけたため、中国はパスを返上せざるを得なくなった」とも綴っている。 


 さらに、「中国の『サッカー知性』が対戦相手に大きく遅れをとっている。日本は、限られたフィジカルにもかかわらず、『空間』と『時間』の関係を理解し、『サッカーは時間と空間を変容させるスポーツである』ということを理解しており、また、確かな個人技術を持っている。フットボールの真の意味をピッチ上で鮮やかに表現できる」と日本を称賛。こう続けている。「さらに重要なことは、この日本代表は2004年1月1日以降に生まれた選手が4名スタメンに名を連ねており、全員が来年3月にウズベキスタンで開催されるU−20女子アジアカップに出られるという事実だ。つまり、数年後には日本は中国との差をさらに広げることになる」 


 馬徳興記者は「若手選手の育成とは、現在のサッカー発展のニーズに適応する選手を育成することではなく、数年後の世界のサッカーの流れに適応する選手を育成することです。この点、日本は女子だけでなく男子も、少なくとも10年以上は中国から遠ざかっている」と両国の差に警鐘を鳴らしている。 中国を破った日本は、6日に行なわれる決勝で北朝鮮と対戦する構成●サッカーダイジェストWeb編集部