こんなでっかい飛行機ですが、手作業です!

2021年10月受領も

 2023年10月20日より成田〜ホノルル線に投入される予定のANA(全日空)の総2階建て超大型旅客機「フライングホヌ(空飛ぶウミガメ)」3号機(機番:JA383A)。この機は、日本到着後2年ものあいだ、一度も定期便に投入されたことはありませんでした。成田空港では待ちに待った就航に先駆け、日本到着後初めて、この機の機体洗浄作業が実施されています。


日本で始めて洗浄作業をうけるANA「フライングホヌ」3号機(2023年9月28日、乗りものニュース編集部撮影)。

 ANAではA380「フライングホヌ」を成田〜ホノルル線の専用機として3機保有。それぞれ異なるカラーリングで、ハワイで神聖な生き物とされる「ホヌ(HONU。ウミガメの意味)」の特別塗装を施しています。

 ハワイの「空」をイメージした「ANAブルー」のカラーリングを持つ1号機(JA381A)は2019年5月就航、ハワイの「海」をイメージした「エメラルドグリーン」のカラーリングを持つ2号機(JA382A)は2019年6月に就航。そして、ハワイの「夕陽」をイメージした「サンセットオレンジ」のカラーリングを持つこの3号機は、当初2020年内に受領し、同年中にも運航開始を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、受領・投入も延期となりました。

 最終的に3号機は当初の計画より1年半遅れとなる2021年10月に日本に到着したものの、その後は数か月に一度のペースで、整備作業の一環として乗客を乗せずに短期間のフライトをするのみ。1号機、2号機の2機は2022年7月より定期便への投入が再開されたものの、3号機は成田空港の駐機場にとどめ置かれたままでした。

 そのような他の機体とは大きく異なる経歴をもつ「フライングホヌ」3号機ですが、その初の洗浄作業はどのようなものなのでしょうか。

他の機体とは一味違う「ホヌ3号機」の洗浄作業

 エアバスA380は「世界最大の旅客機」の愛称をもつほど、巨大な機体です。そのため、車両でけん引し格納庫へ機体を収める作業では、何度も途中で停止し、位置を確認しながら所定の場所まで運ばれました。

 この機の高さは24.1m。ANA格納庫では、ドアの天井に尾翼がぶつかってしまうのを防ぐためか、扉部分の上部がくり抜かれています。何度も車両を止めて慎重に運ぶのは、このくり抜きに尾翼を正確に通すためでしょう。

 担当者はA380の洗浄について「とにかく大きく、表面積が大きいのが特徴だ」と話します。そのためこの機の洗浄作業は、普段の1.5倍まで人員を増やし実施するそうです。


日本で始めて洗浄作業をうけるANA「フライングホヌ」3号機(2023年9月28日、乗りものニュース編集部撮影)。

「フライングホヌ」をはじめとするANA機の洗浄は、人の手で行われます。3種類の洗浄剤を使い分け、スタッフがスポンジ状のパッドやブラシなどを持ち、機体をゴシゴシとこすります。

 担当者によると、コロナ禍以前、機体洗浄は100日前後をめどに実施するのがスタンダードだったとのこと。ただ、この「フライングホヌ」3号機は2年間ほぼ地上にいたため、他の機体とは異なる状況だったようで、担当者は作業にあたり、「野ざらしになっていたことで、雨垂れの汚れが多いです。ただ、飛んでいるなかで着いた油汚れではないので、比較的落としやすいかなと思います」とコメントしたうえ、次のように話しています。

「2年間汚れて止まっている姿を見ていたので、やっと洗えるという気持ちです。安全に、怪我をしないように、そして飛行機を壊さないように作業をしています」

 ANAによると、洗浄作業を終えた3号機は28日中に成田を出発し、海外で整備を行う予定とのことです。