今週のテーマは「交際わずか3ヶ月で『何かが違う』と言われ振られた理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「婚約指輪が、1.5カラットって小さくない?」33歳の女が、お家デートで友人の話を彼にしたら…




さゆりと交際していた3ヶ月間。それなりに楽しかったし、交際当初からちゃんと結婚は意識していた。

でも女性は、なぜ付き合うと急に本性を表してくるのだろうか。

別に「家でダラダラしていたのが嫌」とか、「すっぴんを晒されたのが嫌」などといったしょうもない理由ではない。

でも33歳の女性ならば…いや、賢い女性ならばもう少しスマートな振る舞い方があったと思う。

「ごめんさゆり。やっぱり違ったかも」

さゆりにそう伝えたときは心苦しかったけれど、これ以上に最適な別れの言葉が僕には見つからなかった。


A1:お金のかかる女性だと悟った。


外資系の広告代理店に勤めるさゆりとの出会いは、知人からの紹介だった。すらっとしている手足に、顔立ちがハッキリした美人のさゆり。

出会った時に「お!」と思ったものの、当時の僕は誰とも交際する気がなくて、紹介されたまま先に進むことはないと思っていた。

でもさゆりがすごかったのは、その後のアプローチだった。

僕はどちらかというと淡々としているタイプなのだが、そんな僕の反応もお構いないしにグイグイとくる。

「次に付き合う人とは結婚だと思っているから…。慎重にいきたくて」

そう伝えれば諦めるかと思ったのに、さゆりは諦めるどころかさらに誘ってきてくれるようになった。

でも僕のようなタイプはこういう女性にリードされたほうが幸せになる気がする。それにそこまで僕のことを好きになってくれたのも、正直かなり嬉しい。

だから僕たちは、2ヶ月くらいデートをして正式に交際することになった。




交際前に結婚をほのめかしていたこともあり、さゆりは結婚に対して前のめりだった。

それはまったく構わない。僕自身も付き合うならそのまま結婚だと考えていたから。

しかし結婚云々の前に、いくつか気になることが出始めた。それは、さゆりが突然指輪の話をした時のこと。

「そういえば、友達の真由美が結婚したんだけどさ。指輪、ティファニーの1.5カラットだってさ」
「それってどれくらいの大きさなの?」
「まぁ大きいと言えば大きいけど、普通かな。むしろちょっと小さいかも…?」

ダイヤのサイズまではわからないけれど、1カラットが標準くらいのサイズかな?という認識ではいた。でもそれを「小さい」と言い放つさゆりに、一瞬怖気づく。

「そうなんだ。指輪のこと、全然わからないからな〜」
「ちなみに、サプライズとかいらないからね!普通に、欲しい物買ってね(笑)」
「わかった。女の子は大事だもんね」

― 何カラットの指輪を要求されるんだろう…。

さゆりは帰国子女だったので、何でも白黒言う。それがさゆりの素敵な部分ではあったけれど、指輪のカラットまで要求されると、あげる気も少し失せる。

それに、家の話のときにもさゆりの本性がかなり見えてきた。




僕の家の更新が近づいてきたことを悟ったさゆりは、急にこんなことを言い始めた。

「そういえば、秀明って家は買わないの?この家は見晴らしもいいし最高だけど」
「そうだね〜。でも諸々考えて、僕は賃貸のほうがいいかなと思ってる。さゆりは、この家嫌なの?」
「まさか!このお家最高だし、引っ越したくないよ。ここのエントランス入る時の優越感が好きなんだよね」

僕の家は現在虎ノ門にあり、家賃50万の高層階にある。高級タワマンにふさわしいエントランスの趣があるのだけれど、さゆりはやっぱりこういう世界観が好きなようだ。

「でしょ?でも将来は、引退したら田舎のほうに大きな家を買ってゴールデンを飼うのもいいかな〜とは思っているけど」

広い庭付きの一戸建てに、可愛いゴールデンレトリバー。自然の多い、時間もゆっくり流れる田舎でのんびり暮らすのも悪くないと思っていた。

でもこの話をした途端に、さゆりの顔が曇る。

「田舎かぁ…」

― あ…。この子は“キラキラした”以外は嫌なんだろうな。

「軽井沢とかいいよね」

軽井沢もいいけれど、僕からするとあそこはハイソな避暑地だ。僕のいう田舎はもっとガチな田舎だ。

「夏は涼しいしね。でもやっぱり、僕はもっと田舎っぽい田舎とかもいいな。地元の山形とか」
「山形、行ったことないけど冬は寒そうだね」

― 絶対に、この子は田舎暮らしできないだろうな…。

目の前に座る、ハイブランドの装飾品をまとうさゆりを見て、僕はそう思った。


A2:金銭感覚と価値観が違うから。


交際して1ヶ月も経つと、お互い素をさらけ出すようになっていくもの。さゆりも、気がつけばすぐに化粧を落とすようになっていた。

「もう化粧落としていい?」
「もちろんいいよ!」

食事を終えた後、いそいそと洗面台に向かうさゆり。でも急に真顔になった。

「ちなみに秀明って、すっぴんと化粧している私、どっちが好き?」
「どちらかと言われても…まぁ正直、外に出る時は化粧しているほうが好きかもだけど、家だったらどちらでも良くない?」

本当に、どっちでも良い。

好きな人ならば何でも可愛いと思うし、家の時はリラックスしてもらったほうが嬉しい。問題はそこではなかった。

「でもさ、やっぱり素肌が綺麗な人のほうが魅力的だよね?」
「まぁそうかもね」
「お金がかかるなぁ」
「そうなの?」

そんな会話をしていた中で、僕はかなり衝撃的な事実を知る。

「このクリーム、1個10万するんだけど」
「10万!?そんなするの?」

僕自身あまり美容に興味はなかったけれど、さすがに1個10万超えの美容クリームを買うさゆりに怖気づく。




それと同時に、思わず脳内で勘定が始まる。

― この子、生活費にいくらかかっているんだろう…。

さゆりはいつもハイブランドのバッグを持っている。洋服も靴も頻繁に購入しているようだし、それに加えてこの高い美容代…。

本人が頑張って稼いで買った物だから、僕からは何も言う権利がない。

でもいくら計算しても、さゆりの年収と暮らしぶりが合っていない気がする。いや、むしろマイナス収支な気もしてきた。

「うん。30を過ぎると、こういう積み重ねが大事だから」
「綺麗を保つのって大変だね〜」
「羨ましいな、秀明の肌が。私も秀明の前で完璧な彼女でいたいのに…」
「そんな完璧じゃなくてもいいよ。人間なんだし」




完璧な彼女なんて、求めていない。鉄仮面のような厚化粧よりも、すっぴんのほうが自然体で可愛いと思う時もある。

それに全身ハイブランドで固めた女性が好きな男性は、かなり少ないと思う。

「秀明はどういう女性が好きなの?」
「今さら!?そうだなぁ…むしろ自然体の人のほうが好きだけど」
「そっか。じゃあこうやって家でダラダラしている私でも大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「秀明のためにもっと綺麗になりたいな」

― そこを頑張らなくてもいいんだけどな…。

相手の女性が綺麗でいてくれると嬉しいし、僕のために努力したいなんて可愛いことを言われるのは嫌じゃない。むしろ男として誇らしい。

でもさゆりの場合は、努力する方向性が間違っている。

外見やブランド物など見栄がはれる物に投資するのも良いけれど、あまりにもそれが露骨になると、結婚相手としては考えにくい。

― この子、結婚したら僕のお金で浪費するんだろうな。

そう思ったので、僕は早めにお別れを切り出した。

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