乃木坂46・井上 和が語った、グループでの自分の立ち位置とは
夏の思い出を作ってもらうべく麻布十番へとお誘いしたのは、乃木坂46の次世代エースとして期待を集める、井上 和さん。
訪れたのは、駅から少し離れた東麻布にある話題のアシェットデセールの店。
贅沢なスイーツを味わいながら、18歳の若きセンターが秘めたる胸の内を語ってくれた。
乃木坂46の若きセンター、井上 和から見える未来
アスファルトさえ、今にも溶け出しそうな7月の猛暑日。
「麻布十番は東京タワーまですぐ、なんですよね。神奈川県出身で、実はあまり県外に出たことのない私からすると、東京タワーって“これぞ東京!”と強く感じるアイコンなんです(笑)。
昼間の姿も素敵ですが、私はライトアップされた夜の姿がとても好きで。本当にきれいで、目に入るだけでテンションが上がります」
冒頭の撮影では、ぐっと大人っぽい表情を見せた井上さん。しかし、本人曰く緊張が止まらなかったとか。
「これまで『東京カレンダー』さんに出られた先輩たちを思い浮かべながら頑張ってみました。でも、きっと完成した誌面を見たら、無理して背伸びしてる感が出ていると思います」
乃木坂46の5期生としてグループに加入して約1年半。たった一度だけの18歳の夏は、歴代16人目の表題曲センターに選出というニュースとともにやってきた。
「聞いた時は、“え?”しか出てきませんでした。これまで、いいポジションをいただいても、それに見合った仕事がまだできていない身だと分かっていましたし。
ましてや表題曲のセンターなんて、自分から前に出るもう一歩を踏み出さなければ、たどり着けない場所だろうって。だから、疑問が大きかったんです」
伏目がちに、肩を丸めて小さな声でささやくように話す姿は、新曲『おひとりさま天国』で見せる弾けた表情とはまるで真逆だ。
「初めて楽曲を聞いた時、私、純粋にこの楽曲の勢いに乗れない気がする……って思ったんです。この表題曲のセンターは、きっと笑顔が素敵な人がふさわしいって」
例えばそれは、去年の乃木坂46の夏曲でセンターを務めた4期生の賀喜遥香さんだという。
「後ろで踊っているので、笑顔を見られるわけではないのに、私たちもめちゃめちゃ楽しいんですよ。それは背中からもハッピーオーラが溢れているからなんですよね。
遥香さんが笑ってそこに立っているだけですべてが完結してしまう感じ。それを知っているから、私で本当に大丈夫?って思ってしまったんです」
「自分の足で立ってセンターとしての役割をまっとうしたいです」
国民的アイドルグループのセンターというポジション。
たった1年半前までは、テレビの向こう側で見ていたからこそ、今の状況を受け止めきれないのも、無理はない。
「私、アニメがずっと好きなんですけど、乃木坂46の先輩方は全員、アニメに出てくる登場人物のようなイメージなんです。
そもそも存在するとさえ思っていなかったし、“あくまでもこれはフィクション”、別世界の出来事みたいに捉えていて。
だから、私と皆さんとの間には、今も1枚のフィルターで隔てられているというか。目の前にいたとしても、私だけにはフィルターが見えているんです」
そのフィルターは、同期である5期メンバーとの間にも存在するという。
「同じタイミングで受かった仲間なんですけど、みんなめっちゃ可愛くてきれいで、なんかすごく繊細なものみたいに感じていて。
フィルターがあるっていうと、心の距離があるように聞こえてしまうかもしれませんが、そうではないんです、すごく仲良しですし。どう言ったらいいかな……。
自分を“異物”として見ちゃう。そんな感覚に近いのかもしれません」
時折言葉に詰まり、「ごめんなさい、うまく表現できなくて」と謝りながらも、“自分の想いをきちんと伝えたい”、そんな真摯な姿勢からは、責任感の強さが伝わってくる。
“センターとしてきちんと役割をまっとうしたい”という強い想いも、だ。
乃木坂46に自分がいる意味をしっかりと探したい
立体感のある夏のひと皿「桃の露涼し」を前に「何を使って、どこから崩すのが正解ですか……?」と困惑気味。小さな声で恥ずかしそうに聞く姿がなんとも愛らしい。口にして「シソと桃が抜群です」とうっとり
「毎シングル、センターに立っている先輩方がいて、その人だけが課せられるものっていうのは、絶対にあると感じているんです。
センターは必然的に目が行く場所ですし、注目度も高いですから。だから私も、“自信がない”ばかりじゃなくて、しっかりここに自分の足で立つことが必要なんだな、と。
それをまっとうできて初めて、私がグループにいる意味になる。ならば、きちんとそうしなきゃいけないと思っています」
ちなみに取材当日は、楽曲が公開される直前。披露されたのはまだライブでのみという状況で、SNSには公開を待ちきれないファンたちの期待が高まっているタイミング。
そんなシチュエーションを、本人はどんな心境でいるのか。ストレートに尋ねてみた。すると……。
「バンジージャンプを飛ぶ直前の感じなんだと思います。実際に飛んだことがないからリアルには分からないですけど(笑)。
一歩踏み出して飛んでしまえば、もう身を任せるしかないじゃないですか。それはある意味、楽でもある。でもその一歩を踏み出すのが怖い。
命綱でつながれているから、大丈夫とは分かっているけれど、でも死ぬんじゃないか?って、きっとよぎるじゃないですか。本当にそういう感覚ですね。
ファンの皆さんは優しいので、乃木坂46の33枚目シングルとして愛してくださるだろうな、とは思いつつも、やっぱり受け入れてもらえるか不安……、という感じです」
きっと、そんな心配は杞憂に終わるはずだ。
ハッピーオーラを全身にまとい、キュートな笑顔で元気いっぱいに飛び跳ね、見るものを幸せな気持ちにする。それこそが、アイドルであり、乃木坂46だと彼女自身が知っているから。
彼女にとってこの夏は、きっと人生で一番熱い夏になるに違いない。
■プロフィール
井上 和 2005年生まれ、神奈川県出身。2022年「乃木坂46 新メンバー募集オーディション」に合格し、5期生としてデビュー。2023年、『人は夢を二度見る』で、選抜メンバー入り。8月23日発売予定の、33枚目の最新シングル『おひとりさま天国』で、表題曲センターに初選出。
■衣装
[1ページ目]ワンピース 39,600円〈グレースコンチネンタル/グレースコンチネンタル 代官山本店 TEL:03-5456-0209〉、その他スタイリスト私物
[2・3ページ目]トップス 31,900円、スカート 41,800円〈ともにダイアグラム/ダイアグラム 表参道ヒルズ店 TEL:03-6804-3121〉、その他スタイリスト私物
▶このほか:「毎日ピンチの連続です。でも…」TBSの“朝の顔”・田村真子が語る『ラヴィット!』の魅力
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東京カレンダー最新号では、井上 和さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、井上さんが今年した“夏らしいこと”とは?
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