東京メトロのポストが話題を呼んでいる(写真は丸ノ内線の新型車両「2000系」)

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東京メトロが運用しているX(旧ツイッター)が過去30日に獲得したフォロワー数が、イーロン・マスク氏に次いで世界2位を獲得するという珍事が起きた。東京メトロのアカウントによると、「東京メトロができた年を誕生日に登録したところ、年齢制限に引っ掛かり凍結されてしまいました」。凍結中はフォロワーがゼロの扱いになってしまい、凍結が解除されたことでフォロワーが一気に増えた形になったために起きた現象だ。

東京メトロがアカウントを開設した13年時点では年齢に関する規定はなかったが、Xは18年の規約改定で「13歳以上」でなければ利用できないとした。東京メトロの発足は04年4月1日で、人間で言えば「19歳」。一見問題なく利用できるように見えるが、13年時点では「9歳」だ。最近になって誕生日を入力したことで、「13歳の誕生日」を迎えるまでの17年3月31日までに発信された内容が問題になったようだ。

年齢制限は「GDPRに関連した製品の変更」、凍結は「想定外」

東京メトロの23年9月5日の書き込みでは、「【恥ずかしい】」という一言とともに、Xの統計情報を提供している「グローバル・インデックス」のフォロワー数増加のランキングを引用。東京メトロは2位で、153万9404人増えている。東京メトロの書き込みでは、

「無事、凍結解除の申請が通り、フォロワー数は戻ったのですが・・・過去30日間のフォロワー獲得数が、世界2位に躍り出てしまいました・・・」

と説明している。このポストは1万回以上リポスト(拡散)され、4万件以上「いいね!」がつく大反響を呼んだ。凍結状態は3日間ほど続いたという。

規約が改定された18年当時、誕生日を理由に凍結されるアカウントが続出。日本では、11年にサービスを始めたLINEが6歳だと判定されて凍結され、波紋が広がった。もっとも、LINEは誕生日を登録した時点で「13歳以下」だったので、厳密には東京メトロの事案とは性質が異なる。

年齢制限の背景には、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)がある。当時、Xは次のように釈明していた。

「私たちは最近、新しい個人情報保護法(GDPR)に関連した製品の変更を行い、13歳未満の人々が設定したアカウントに気づいた。これは想定外だった」

アカウント復活には「13歳になる前に投稿したツイート」などの削除を求める

Xの「ヘルプセンター」では、凍結解除の手順について記述がある。「アカウントの凍結について」のコーナーによると、電話番号の入力またはメールアドレスの確認の手順を踏むことで凍結解除できる場合があるほか、専用フォームを使って異議申し立てをすることもできる。

「13歳になる前に作成したTwitterアカウントを復活させる」手順も案内されている。サイトでは「現在年齢要件を満たしている方が13歳になる前に作成したアカウントについては、一部のデータを削除することで復活させることができます」と説明。具体的には「13歳になる前に投稿したツイート」「13歳になる前にしたいいね」「13歳になる前に送受信したダイレクトメッセージ」などを削除することを求めている。

東京メトロのアカウントが凍結されたのは「8月頭」のことだが、凍結解除を申し込んだ日や実際に凍結が解除された日など、凍結解除の詳細なプロセスは明らかにしていない。

ただ、現時点でアクセスできるポストの状況を踏まえると、上記の「13歳になる前に作成した〜」の手順に従って対応した可能性もありそうだ。今もアクセスできる最も古いポストは17年4月3日のもので、それ以前のものは削除されている。東京メトロの「13歳の誕生日」は17年4月1日だ。SNS分析ツール「ソーシャルインサイト」で調べると、17年3月には47件の投稿をしていたが、現在はすべて確認できなくなっている。

削除されたポストのひとつが16年3月24日に送信された

「4月1日(金)、総合研修訓練センターを開所します!現在の研修センターの機能を拡充し、部門を横断した訓練による総合力の向上を目指します」

というポスト。グーグル検索では23年9月6日時点でキャッシュが残っており、削除は最近の出来事だとみられる。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)