日本に459路線ある国道のうち、最初の1号〜9号、いわゆる「ヒトケタ国道」は主要幹線中の主要幹線と言える存在です。そのルートに並行する鉄道もやはり幹線で、ともに長距離輸送の根幹を担ってきました。

堂々たる主要幹線「ヒトケタ国道」そのルートは

 日本の国道は459路線あり、国内の主要ネットワークを形成しています。その国道の「トップナンバー」とも言うべき「ヒトケタ国道」、つまり国道1号から国道9号までは一体どこを走っているのか、地元の沿線住民以外には意外と知られていないかもしれません。

 これらはいずれもほぼ古来の街道を由来としており、幾度かの変遷を経て、戦後、1953(昭和27)年の「一級国道の路線を指定する政令」によってルートが正式に定められたものが今に至ります。


国道1号(画像:写真AC)。

●国道1号(東京〜大阪)
 言わずとしれたトップナンバーで、かつての「東海道」を概ねトレース。東京都中央区の「日本橋」を起点に、大阪市北区の「梅田新道」まで至る約650kmの道のりです。

 JR東海道本線とは異なるルートも多く、熱海ではなく箱根峠を経由し、豊橋〜名古屋では内陸部ルートで名鉄に並行し、関ヶ原ではなく四日市・鈴鹿峠を経由します。

●国道2号(大阪〜北九州)
 梅田新道からさらに西へ進み、神戸・岡山・広島を経由して、北九州(門司)まで到達する約600kmの道のりです。ほぼJR山陽本線をなぞるルートですが、大きく異なるのが岩国〜徳山で、JR岩徳線と並行する内陸のショートカットルートとなっています。

●国道3号(北九州〜熊本〜鹿児島)
 九州を西回りで南北につらぬく約430kmの幹線道路です。おおむねJR鹿児島本線(と肥薩おれんじ鉄道)と並行している…と思いきや、久留米〜熊本では全く異なるルートをとり、八女・山鹿を経由して峠越えを繰り返します。ここで並行する鉄道路線はありません。

●国道4号(東京〜青森)
 東京・日本橋を起点に関東・東北地方の主要都市を結んでいき、青森へ到達します。現道延長は742.5kmで、日本の国道では最長の存在です。

 ルートとは鉄道と概ね同じですが、大きく異なるのが東京・埼玉県内で、JRが赤羽・大宮を経由するのに対し、国道4号は東武線と並行して越谷・春日部を経由します。ほかにも宮城県内ではJRが松島の沿岸部、国道は内陸部の富谷・古川を経由するなど、必ずしも完全並行しているわけではありません。

●国道5号(函館〜札幌)
 JR函館本線に沿って、長万部・小樽を経由して二つの大都市を結びます。長さは約280km。起点は函館駅前で、終点は大通手前の創成川通・北1条です。

 函館〜長万部は道央道が整備されていて、長万部〜小樽の「山岳区間」も、高規格道路「北海道横断道」の一環として少しずつ事業化し、一部では建設が進められているところです。

「高速道路が無かった幹線国道」にも着々と整備の手が

●国道6号(東京〜仙台)
 JR常磐線にあたる路線で、1号・4号と同じく東京日本橋を起点とし、岩沼で国道4号と合流します。JRとルートが異なるのは水戸の手前で、JRは内陸部の友部を経由しますが、国道はまっすぐ北上して小美玉市を経由します。

●国道7号(新潟〜青森)

 JR羽越本線・奥羽本線にあたり、東北地方の日本海側ルートとして酒田・秋田・弘前を経由する約500kmの道のりです。

 村上市の北側、つまり新潟・山形県境の手前では、国道は厳しい崖っぷちの海側ルートを避け、大きく内陸部へ回り込んでいます。この区間は鉄道にとっても最難所で、羽越本線が1924年に全通するまでの最後の未開通区間が、この区間(村上〜鼠ヶ関)でした。

 国道7号をほぼ完全にバイパスする高規格道路「日本海東北自動車道」も全通まであとわずかですが、残った区間がやはりこの区間で、「朝日温海道路」として、長大トンネルの掘削が続いています。

●国道8号(新潟〜京都)

 JR北陸本線(三セク化区間含む)・信越本線に相当する道路で、富山県・石川県・福井県・滋賀県にとって昔から動脈的な存在です。重複区間が長く、実質的には「起点:新潟県長岡市、終点:滋賀県草津市」と言っていいかもしれません。

●国道9号(京都〜鳥取〜下関)

 JR山陰本線に相当する道路です。京都の堀川五条を起点に、兵庫県・鳥取県・島根県・山口県をむすびます。なお、益田からは日本海沿岸から離れ、JR山口線のルートとして内陸部を南下していきます。新山口駅の南側で国道2号に合流します。最後に下関市内だけ国道2号と別れて、JR下関駅に到達し、終点となります。

 山陰地方の高速道路も、気づけばかなり整備が進んできました。兵庫県内も豊岡〜鳥取がほぼ全通し、鳥取県内もほぼ全通。あとは長大な島根・山口県内の複数工区が、着々と整備されています。