オーストラリアで撮影された頭部から胸部がナナフシ、腹部から尾にかけてサソリのような姿をした謎の昆虫に多くの人が恐怖を感じたようだ(画像は『Mesc27 2023年7月7日付TikTok』のスクリーンショット)

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自然豊かなオーストラリアでは、巨大なクモが生息していたり、見たこともないような生物の死骸が発見され、地元の人たちを驚かせているが、このほど同国で発見されたエイリアンのような昆虫がSNSに公開され、多くの人を震撼させた。豪ニュースメディア『news.com.au』などが伝えている。

今月7日、オーストラリアの西オーストラリア州ラバートンで撮影された、奇妙な姿をした生物の動画をTikTokのアカウント名「Mesc27」さんが投稿したところ、これまでに1300万回以上も視聴されるほど注目を集めている。動画には頭部から胸部にかけてはナナフシで、腹部から尾にかけてはサソリのような姿をした生物が捉えられていた。

この生物は、細く尖った尾のようなものを高く上げて撮影者を突き刺そうとする攻撃的な行動を取っており、その姿は映画『エイリアン』シリーズに登場する長い尾に8本の脚を持つ架空の生物「フェイスハガー」に似ているといった声があがった。また動画の中で「地獄から来た生物」と言葉が添えており、ユーザーからは次のような声が寄せられている。

「私がオーストラリアに行かない理由はこれなのよね。」
オーストラリアは海にも未知の生物がいっぱいいるって私は確信している。そこは本当に怖いよ(泣)」
「西オーストラリア州出身だけど、こんなの見たことも聞いたこともないよ。いったい何なんだ?」
「私はオーストラリア人でヘビがいる環境に住んでいるけど、これは怖いよ!」

多くの人が攻撃的な姿をした謎の生物に恐怖を感じたようだ。しかし一方で、「これはナナフシだよ。生物の授業のために学校で飼っているんだ。この虫は無害だよ」と昆虫の「ナナフシ」だという声も届いていた。

豪ニュースメディア『news.com.au』では、同州パースに拠点を置く昆虫学者で西オーストラリア博物館の昆虫学の学芸員でもあるニコライ・タターニック氏(Nikolai Tatarnic)に謎の生物について真相を聞いてみたところ、次のような返答があった。

「この映像の昆虫は、ナナフシ族のパロンチェスタス・コルヌトゥス(Paronchestus cornutus)という種だと思われます。ナナフシは草食性で毒は持っていません。この恐ろしく見える行動はこの虫の策略なんですが、見事に引っかかったって感じですね。ナナフシはオーストラリア全土に生息していますが、その驚異的なカモフラージュ能力のため、あまり目にすることはないですね。」

タターニック氏は、動画の生物がナナフシだと確信しており、彼らは場合によって捕食者や敵を追い払うために、動画のナナフシのように尾を高く上げて相手を突き刺そうと威嚇行動をすることがあると述べている。

そんな同氏の説明を裏付けるように、世界中のナナフシ科やコノハムシ科の昆虫をデータベース化しているウェブサイト『Phasmida』には、今回多くの人を恐怖に陥れた動画の昆虫に非常によく似たオーストラリアに生息するというナナフシが掲載されている。

画像は『Mesc27 2023年7月7日付TikTok』『Phasmida 「species Anchiale briareus(Gray, 1834)」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)