この記事をまとめると

■愛車を数十年に渡って維持しているオーナーは意外と多い

■維持するためには「主治医探し」「程よい距離感」「人との付き合い方」などが求められる

■今回は愛車と長く付き合うためのコツを紹介する

長く愛車と付き合うコツをご紹介

 人によってはごく自然にできてしまうケースもあれば、すぐに飽きてしまう人もいます。何十年も1台の愛車と暮らしている人はどのようなカーライフを送っているのでしょうか。これまでのオーナーインタビューの取材を元に、「7つのコツ」としてまとめてみました。

1:安心して任せられる主治医探し

 新車や認定中古車であれば、主治医はディーラーという可能性も高いでしょう。しかし、旧車およびネオクラシックカーに位置づけられるクルマを手に入れた場合、可能な限り自分自身でメンテナンスするDIY派オーナーを除いて、主治医探しはかなり重要なポイントといえます。

 技術的に優れていることはもちろんのこと、人としても信頼できて、なおかつオーナーともウマがあう。これだけインターネットやSNSが発達していても、先述の条件にピタリとあう主治医はなかなか見つからないものです。婚活アプリのように、オーナーの主治医をマッチングするサービスがあったら流行るかも!?

 また、DIY派のオーナーであったとしても、自宅やガレージなどの保管場所があり、なおかつエンジンの脱着までできるほどの環境が整っている人はかなり少数派のはず。仮にそうであったとしても、いざというときに頼れる主治医(専門家)がいたほうがやはり安心です。

2:仲間探し

 オーナーズクラブに入るもよし、波長があう人と個人的にゆるくつながって他愛のない話をするもよし。もちろん、気兼ねなく1人で楽しみたいという人もいるでしょう。このあたりは個人差があると思いますが、同じクルマや趣味、価値観を共有できる仲間が1人でもいるとかなり安心感があることも事実です。

 大人になるにつれて友達ができにくくなった気がする、という話を聞くことがありますが、普段やりとりはSNSやLINEだけど、年に数回は会う、くらいの距離感だっていいわけです。それこそ、クルマがきっかけで幼なじみとはまた違った付き合いのできる親友に巡り会えるかもしれません。

3:適度な距離にあるお気に入りスポット探し

 なんとなく出掛けて、どこにも寄らずに自宅に帰ってくる。それはそれで心地よいルーティーンではあります。しかしいつしか、そのルーティンからなかなか抜け出せなくなってしまうことも。

 そこで、お気に入りのカフェやサービスエリア、道の駅、主治医の工場、仲間の家や秘密のガレージ、オフ会やイベントに参加……などなど。何らかの目的やいくつかのチェックポイントを決めると、カーライフにもメリハリが出てきます。取材していると「毎年このイベントに参加するために愛車を仕上げている」オーナーも多いです。

愛車の維持を楽しむことも大切

4:愛車の歴史そのものである書類を管理するファイル

 数多くのオーナーを取材してきて、新車ワンオーナーカーや長期間所有する人の多くが、購入時の見積もり書やメンテナンスの明細書などをきちんと時系列にファイリングしています。なかには燃費の記録をExcelファイルで管理しているオーナーも。師匠がいて教わった、というわけではなく、自然とそういう行動ができる方がなぜか多いのです。

 その書類を1枚ずつ管理することで、世界にひとつだけの記録簿ができあがります。そして、整備記録簿とは別に、これらの書類をきちんと保管することが愛車の歴史そのものになっていきます。今からでも遅くはありません。今日からさっそくはじめてみませんか?

5:過剰なくらいがちょうどいい盗難対策

 今のご時世、もはや必須の予防策といえそうです。なかでも有効な対策方法は愛車を屋根付きのガレージに保管することですが、現実問題としてなかなかハードルが高いものがあります。

 かといって、毎晩クルマで寝泊まりするわけにもいきませんし、盗難する際に手間が掛かるように複数の対策グッズで武装したり、月極であれば駐車場選びの際に予算に加えて置き場所を重視するなど……。たしかに面倒ですが、オーナー側も手間をかけてでも対策を講じる必要がありそうです。何とも世知辛い世の中ではありますが……。

6:適度な「抜け感」

 大切な愛車であればあるほど、ちょっとした汚れや傷、経年劣化が気になるものです。うっかりバンパーやホイールをこすってしまったら、修理が終わるまで夜も眠れないという人もいるはず。

 クルマである以上、走れば汚れるし、傷もつきます。いくらこちらが気をつけていても、対向車から小石が飛んできて窓ガラスを直撃することだってあるのです。すぐには難しいかもしれませんが、少しずつちょっとした汚れや傷も「このクルマの味のひとつ」くらいの適度な抜け感が、愛車と長く付き合うコツかもしれません。

7:「一生乗る」と力まない

 愛車が一生モノとなるのは結果的に……くらいがほどよく、目的にするのは個人的にもおすすめしません。自らを追い込んだり、プレッシャーを掛けることになりかねないからです。

 ほかに欲しいクルマがなかった、何となく気に入っているから。気づいたら今日まで所有していた……くらいのまさしく「抜け感」があったほうが、結果として長く所有できます。これから何十年先までずっと、力みすぎてももたないですよ!

まとめ:愛車は「コミュニケーションツール」であり「名刺代わり」

 1台のクルマがきっかけでこれまでの人間関係では知り合うことができなかった人と仲良くなれたり、SNSやYouTuberとして一目置かれる存在になったり…・・・。思わぬ形で人生が劇的に変化する可能性をも秘めています。

 また、1台のクルマに長く乗ることで「○○○といえばAさんだよね」とまわりから認識してもらえるようになります。赤い彗星のシャアこと、シャア・アズナブルの乗機として挙げられるシャア専用ザクのようなものです。その域に到達したらもはや手放せません。愛車は「コミュニケーションツール」であり「名刺代わり」でもあります。1台の愛車と長く付き合う。あとはその行為に対して、法的にももう少し好意的に解釈してもらえるよう願うばかりです。