2012年の帝王賞を圧勝したゴルトブリッツ(撮影:高橋正和)

写真拡大

 6月28日(水)に大井競馬場で行われる帝王賞(4歳上・JpnI・ダ2000m)。本稿では過去の名勝負、名馬の中から、2012年覇者ゴルトブリッツのことを振り返ってみたい。

 ゴルトブリッツは父スペシャルウィーク、母レディブロンド、母の父Seeking the Goldという血統。母はディープインパクトの半姉にあたり、本馬とディープは血統構成もよく似ている。 

 上記の通り、血統は明らかに芝向き。本馬もデビュー当初はクラシックを目指して芝で戦ったが、6戦して未勝利に終わりホッカイドウへ移籍した。転入初戦はダートへの適性が疑問視されたか、3番人気に甘んじたが、終わってみれば5馬身差の圧勝。続くレースでも騎手が全く追うことなく5馬身差で完勝し、中央へ再転入を果たした。

 檜舞台に帰ってきたゴルトブリッツは見違えるような強さを発揮。初戦を7馬身差で圧勝すると、1000万条件の身ながら東京大賞典に挑戦して、重賞2勝馬ワンダーアキュートやJpnI馬ボンネビルレコードに先着した。以降も連戦連勝。不利や心房細動で落とした星はあれど、次々に勝利を積み重ねていった。

■度肝抜く走りを披露

 3つの重賞タイトルを引っ提げ、満を持して2012年の帝王賞に挑戦。だが、GI級ともなれば、これまでと相手がまるで違う。エスポワールシチーに1番人気を譲り、2番人気にとどまったことからも分かるように、決して楽な相手ではなかった。

 満員のファンが見つめる中でレースはスタート。ランフォルセが内から主張し、逃げ馬のエスポワールシチーが外から併せにいくが2番手で抑える。ゴルトブリッツは外に切り替えて3番手に付け、以下ミラクルレジェンド、トーセンルーチェ、オオエライジンらも虎視眈々。ランフォルセがハナを主張したこと以外、特に目立った動きはなく、レースはすんなり進む。

 4コーナー手前、エスポワールシチーがじわっと進出すると、ゴルトブリッツも外から併せにかかる。直線は3頭が横並びの叩き合いになったが、ゴルトブリッツは手応えほどスパっとは伸びなかった。だが、それは彼なりの余裕だったのかもしれない。川田騎手が右ムチ一発。残り150mでエンジンがかかると、あっという間に他馬を3馬身半置き去りに。3番手から上がり最速でまとめられては、他馬は白旗を上げるほかなかった。

 なお、同馬はその後、秋に向けての放牧中に腸ねん転を発症して急死。もし、無事だったら秋以降はどんなパフォーマンスを披露していただろうか。良血馬ゆえ、種牡馬入りしていたら……。タラレバを言っても仕方ないが、夢の続きを見たくなる一頭だったのは確かだ。