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4代目にフルモデルチェンジ

トヨタが、4代目となる新型アルファードを初公開した。

【画像】スタイリッシュな顔立ち!「新型アルファード」細部まで見る【ヴェルファイアも】 全175枚

世界的にSUV人気が続くなか、日本では新車販売の上位にミニバンが常に食い込んでくる。中でもVIPの脚にも選ばれるのがアルファードで、最新のモデルチェンジは、デザインの洗練と新開発プラットフォームの採用で商品力を高めた。


都内で初公開された新型トヨタ・アルファード    AUTOCAR JAPAN

兄弟車のヴェルファイアも同時デビューを果たし、パワートレインは「アルファード」が2.5Lハイブリッド/2.5Lガソリン、「ヴェルファイア」が2.5Lハイブリッド/2.4Lターボを用意する。

いずれのモデルもメリハリのあるスタイリングを手に入れ、とくにボディ側面の造形にはこだわりと高級感を感じる。

ボディサイズは、全長4995×全幅1850×全高1935mm。先代となる3代目と比較して、全長が50mm長くなった形だ。

発売日は6月21日で、価格はアルファードが540万円〜872万円。ヴェルファイアが655万円〜892万円だ。

スタイリッシュに生まれ変わった新型は、いまの時代にどう映るのか。そして高級ミニバンという商品性に未来はあるのだろうか。

ここではアルファード・シリーズが歩んだ21年の歴史を振り返りながら、考えてみよう。

2002年 初代登場 きっかけは?

初代アルファードは2002年5月に登場するが、そのきっかけともなったのは言わずと知れた初代の日産エルグランドだった。

高級ミニバンの先駆けとも言える初代エルグランドは、商用モデルを持たない完全な乗用モデルとして開発されて大ヒット。


初代アルファード    トヨタ

一方、当時のトヨタは同クラスにグランビアを擁していたが、こちらは欧州向けのハイエースがベースということもあり、エルグランド人気を見てV6エンジン搭載グレードを用意するなどしたが、販売面で圧倒されたというのがアルファード誕生のきっかけとなったことは間違いないだろう。

そんなエルグランドを研究し尽くしてリリースされた初代アルファードは、日本専売車としてスタートしたこともあり、日本人好みの豪華さを採り入れた内外装を持ち、駆動方式はFRのエルグランドよりも室内空間を広く採ることができるFFレイアウトを採用。

搭載エンジンも、高級感溢れるV型6気筒3Lのほか、コスト面・税制面に優れる直列4気筒の2.4Lモデルを設定していたのもアドバンテージとなっていた。

また初代モデルから通常グレードのほか、エアロバンパー+サイドクラディングパネル、大径テールパイプなどの外観と黒系の内装を備えたいわゆる「エアロ系グレード」を設定していたのも先見の明があったと言える。

さらにデビュー翌年の2003年7月には、エスティマハイブリッドのコンポーネンツを流用したアルファード・ハイブリッドを追加したほか、今では多くの車種に採用されるパワーバックドア(電動リアゲート)を日本車として初めてオプション設定するなど、ユーザーが求める“痒い所に手が届く”系の装備を用意していた点もトヨタらしい抜かりのなさといったところだろう。

2008年 2代目でVIPが選ぶモデルに

登場するや否や、瞬く間に高級ミニバンのトップランナーとなったアルファードは2008年5月に2代目モデルへとフルモデルチェンジを果たす。

初代は異なる販売店に向けて、アルファードG(トヨペット店)とアルファードV(ビスタ店→ネッツ店)としていたが、2代目はアルファードをトヨペット店専売とし、新たにネッツ店向けにはより押し出しの強いエクステリアを纏った兄弟車「ヴェルファイア」を設定し、ユーザー層の違いに合わせて差別化を図っている。


2代目アルファード    AUTOCAR

クルマとしてはプラットフォームが一新され、直4 2.4Lエンジンは継続採用されたが、V6エンジンはより排気量の大きな3.5Lへと拡大され、より上級移行がなされた。

それに合わせてキャプテンシート仕様の7人乗りモデルの上級グレードには「エグゼクティブパワーシート」と名付けられた大型ヘッドレストやオットマン、ビルトインカップホルダー付きアームレストなどを備えたファーストクラスのような2列目シートを備え、広い室内空間を活かした“VIPをおもてなしできる車両”という地位を確固たるものとしたのだった。

さらに衝突被害軽減ブレーキのプリクラッシュセーフティシステムやブレーキ制御付きのレーダークルーズコントロール、レーンキーピングアシストなどをセットオプション設定し、先進装備でも大きくレベルアップ。

また2010年の北京モーターショーでは中国市場に向けてアルファードを輸出することを発表し、海外進出をスタートさせている。

2011年9月のマイナーチェンジでは、フルモデルチェンジ以降姿を消していたものの、復活が熱望されてきたハイブリッドモデルを追加。ハイブリッドシステムにリダクション機構付THS-IIを採用し、燃費性能だけでなく、静粛性や快適性も向上させていた。

2015年 3代目は高級サルーンの領域

先代モデルとなる3代目は、2015年1月に新型ヴェルファイアと共に登場。

この世代になるとメーカーも「高級サルーン」として開発を進めており、より堂々としたエクステリアと高級感溢れるインテリアを持つモデルに進化。


3代目アルファード    トヨタ

足回りについてもそれまで採用してきたリアのトーションビーム式サスペンションからダブルウィッシュボーン式サスペンションに一新したほか、高張力鋼板や構造用接着剤、鋼板の間に制振材を挟み込んだ合板を採用し、制振材・吸音材を効果的に配置することで、高級車に相応しい走行安定性と静粛性、快適性を実現している。

V6エンジンは先代のものを踏襲したが、直4とハイブリッドモデルのエンジンは2.5Lへ置き換えられ、動力性能や燃費性能を強化した。

2017年12月のマイナーチェンジでは、それまで一部グレードを除きオプション設定となっていた先進安全装備の類を「トヨタ・セーフティ・センス」として全グレードに標準装備化。V6 3.5Lエンジンは最高出力が301psへ引き上げられたほか、組み合わされるトランスミッションも6速から8速へと多段化がなされている。

そして2019年12月の一部改良では、全車に車載通信機のDCMが標準装備され、一部グレードを除き9インチのディスプレイオーディオを装着し、Apple CarPlayやAndroid Autoの利用も可能となった。

高級ミニバンの今後は?

このように代を重ねるごとに高級感と充実した装備を持つようになったアルファード

今ではすっかりVIPの送迎などにも使われる車両としての地位を築いており、その基盤が揺らぐことはしばらくはなさそうだ。


新型ヴェルファイア    AUTOCAR JAPAN

ただ新型アルファードとプラットフォームを共有するレクサスLMも、新型は日本へ導入されることがすでにアナウンスされているため、どのように差別化がなされるのかは気になるところ。

また、アジア圏では受け入れられている“高級ミニバン”だが、今後欧州や北米地域でどのくらい市民権を得られるのかも個人的には注目しているポイントである。