多くの感動や興奮を生み出してきた人気RPG「ファイナルファンタジー」シリーズ。ストーリー・映像美はもちろん、世界観により引き込まれる音楽も魅力のひとつだろう。そんな「ファイナルファンタジー」音楽を体感できるライブ・イベントはいくつかあり、そのひとつとして2022年12月には『FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-』が開催。珠玉のオーケストラサウンドが多くの光の戦士たち(『FFXIV』プレイヤーの愛称)を『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FFXIV)の世界へと誘った。

『Eorzean Symphony FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol. 3』

 

この度、本コンサートの模様が収録されたBlu-rayのリリースが決定。迫力のフルオーケストラアレンジ楽曲の数々を家でも楽しめるようになる。本稿では、4月26日(水)に発売された『Eorzean Symphony FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol. 3』の魅力について解説!収録内容のほか、筆者のオススメポイントをレビューする。

 

Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol. 3 - Trailer

フルオーケストラで演奏される名曲の数々!

『FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-』は、『FFXIV』の楽曲をフルオーケストラで奏でたコンサート。『新生エオルゼア』、『蒼天のイシュガルド』、『紅蓮のリベレーター』、『漆黒のヴィランズ』、『暁月のフィナーレ』のゲーム実装楽曲を演奏し、「Eorzean Symphony」と題したコンサートが約3年ぶりの開催だったことも相まって、多くの反響を呼んだ。

 

演奏は東京フィルハーモニー交響楽団、指揮は栗田博文が担当。「ファイナルファンタジー」シリーズほか、数々のゲーム作品のオーケストラコンサートでも演奏してきた楽団・指揮者が、名曲の数々を奏でて、光の戦士たちの心・魂を揺さぶった。

 

本Blu-rayでは、『FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-』で演奏された全21曲分すべて(MCパートを除く)をコンサートの映像と共に2chの音源で楽しめる。

 

『新生エオルゼア』、『蒼天のイシュガルド』、『紅蓮のリベレーター』の楽曲を中心に構成されたPart1は、スネア・バスドラムそしてブラスサウンドによる勇ましい裏打ちとストリングスによる流れるような旋律が心地よい「天より降りし力」からスタート。全体を通して迫力ある楽曲は、強敵に立ち向かう光の戦士たちを何度も勇気づけてきた。『FFXIV』を代表する本曲は、オープニングにふさわしい一曲だったと言えるだろう。

 

また、『蒼天のイシュガルド』のメインテーマでありエンディングテーマでもある「Dragonsong」では、「Tomorrow and Tomorrow」などでもボーカルを務めたAmanda Achenがゲストボーカルとして参加。どこか悲しさも感じるピアノ・ハープ・そしてストリングスの美しい旋律と、Amandaの伸びやかな美声が調和すると、そこに広がってきたのはイシュガルドの風景。楽器と歌のハーモニーが作品の世界へと誘う。音楽は喜怒哀楽すべての感情を揺さぶるものだと、Amandaが情感たっぷり歌い上げたこの一曲で改めて感じることができた。

 

Tomorrow and Tomorrow - Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol.3

一方のPart2は、『漆黒のヴィランズ』、『暁月のフィナーレ』の楽曲を中心に構成。「Shadowbringers」の原曲はギターの旋律が印象的だが、オーケストラサウンドにアレンジしたことで壮大さが増していた。また、本演奏では実際に本曲のボーカルを務めたJason Charles Millerも参加。楽曲最後の余韻の残し方は、まさにタイトル・テーマ通りの「光」と「闇」を感じられた。

 

本編のラストを締めくくった「ENDCALLER 〜ゾディアーク討滅戦〜」では、トランペットやホルンなどのブラスサウンド、そしてコーラス隊が「終末」を感じさせる不穏な空気を作り出す。かと思えば楽曲が進んでいくと、今度は光の戦士たちの覚悟を感じるような力強さをオーケストラが奏でる。そして、ここまでの物語を振り返るようなストリングスの音色、ラストのユニゾンが、クライマックス感をより引き立たせた。きっと、ゾディアークとの激闘を思い出した方も少なくなかっただろう。

 

Endcaller - Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol. 3

その流れからのアンコール曲は「そして世界へ」。「ファイナルファンタジー」シリーズを象徴する名曲が、ここまで音楽で巡ってきた激闘を終えた光の戦士たちを祝福してくれているように感じた。

 

3つの音源を聞き比べられる仕様

本Blu-rayは、2022年12月に発売されたCDアルバム『FINAL FANTASY XIV Orchestral Arrangement Album Vol. 3』に収録された7曲+1曲の全8曲を、コンサートやゲーム映像と共に2chと5.0chの音源で楽しめる「オーケストラアレンジパート」が収録されているのも特徴。5.0ch音源は指揮者の立ち位置で聞いているような「ニアVer.」と、ホール全体を見渡せる客席後方で聞いているような「ファーVer.」があり、2chと合わせて合計3種類の音源が用意されている。「オーケストラアレンジパート」で楽しめる楽曲は「Shadowbringers」、「Tomorrow and Tomorrow」、「To the Edge」、「ENDCALLER 〜ゾディアーク討滅戦〜」、「Your Answer 〜ハイデリン討滅戦〜」、「Close in the Distance」、「Flow」、「終焉の戦い」の8曲。

 

Close in the Distance - Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol.3

筆者も実際に体感してみたが、特に「ニアVer.」と「ファーVer.」では音の響き方が異なるなど聞き比べできるのが面白い。例えば、「終焉の戦い」ではティンパニーの鳴り方・響き方がそれぞれのバージョンで異なり、その違いを発見するだけで心が躍った。その他の楽曲でも木管楽器やゲストボーカルの歌声の聞こえ方、ストリングスの音圧など、違いはさまざま。実際に現地で聞いた方でも、このバージョン違いで新たな感動を見つけることができるかもしれない。

 

さらに、「オーケストラアレンジパート」では、再生中のお楽しみ機能として、公演パンフレットにも掲載されたオーケストレーター・宮野幸子と『FFXIV』サウンドディレクター・祖堅正慶のSpecial talkの楽曲コメントの一部を表示可能。楽曲への印象ほか、オーケストラコンサート用にアレンジする際に意識したことなどの制作秘話を知ることができる。

 

なお、音源ダウンロード機能も実装されており、MP3音源29曲分、ハイレゾFLAC音源8曲分のDLコードをディスクに同梱。特典として「オーケストリオン譜」2曲分が入手できるアイテムコードが封入されているのも、光の戦士たちにはうれしいポイントだ。

 

Blu-ray Disc Musicを採用していることで、高音質の音源と映像を実現している『Eorzean Symphony FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol. 3』。「音楽」を聞けば、あの日、あのときの、冒険の記憶が甦ってくる。これも「音楽」の魅力なんだと改めて感じることができた。クオリティにこだわったこの一枚で、私たちはあの冒険の日々を思い出すだろう。

 

●text/M.TOKU

 

商品概要

Eorzean Symphony FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol. 3

2023年4月26日(水)発売

 

仕様:Blu-ray Disc1枚

価格:6,600円(税込)

封入特典:オーケストリオン譜「To the Edge」「Flow」2曲分のアイテムコード封入

※法人別早期購入特典あり。詳細は特設サイトをチェック

 

『Eorzean Symphony FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol. 3』特設サイト

https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/concert/2022/bdm/

 

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