当たりスティックはガリガリ君の醍醐味のひとつともいえる(写真・松尾/アフロ)

 4月25日の日本経済新聞・朝刊のちょうど真ん中、20面から21面を見て驚いた読者も多いのではないだろうか。見開きを使って、巨大なガリガリ君の「当たりスティック」とともに、「当たりつき やめるのを やめました。」の見出しが踊ったのだ。

 よく読むと「ガリガリ君の当たりスティック。残念だけどこれをやめてしまおうかという話し合いがありました」という文言が。コロナ禍がきっかけで、口にしたアイスのスティックをお店に持ち込むことが、はたしていいことなのか、社内で議論となったという。そして廃止直前にまでなったものの、最終的には当たりスティックは「ガリガリ君の一部」ということで、存続が決定した、という内容だ。

 広告では消費者への「お願い」として、当たりスティックはよく洗い、乾かし、ラップフィルムなどに包んだうえで、買ったお店で早めに交換を、と呼びかけている。

 これまでも、くまモンやポケモン、シン・ウルトラマン、G-SHOCKなどとコラボし、“遊び心”がファンを惹きつけてきたガリガリ君。くしくも、広告が掲載された日は、メーカーの赤城乳業が新商品のアイス「フルーツ牛乳」を発売した日だった。しかし、この広告では「フルーツ牛乳」については、いっさいふれられていない。広告について、赤城乳業に聞いた。

「コロナ禍で、お客さまから『当たりスティックの交換方法』について、問い合わせがありました。多くは衛生面についてですが、夏に向けて、いま一度、お客さまに当たりスティックの交換方法をお知らせするために広告掲載をいたしました」(担当者)

 日本経済新聞のカラー見開き広告となると、掲載費用は相当な金額になったはず。大手広告代理店の営業マンに聞いた。

「掲載ページも指定されているでしょうから、お値引きされたとしても、1500万円はするかと思います。しかしなぜ、他紙に掲載せず、日経さんなのか。『ガリガリ君』のようなお子さんにも親しまれている商品なら、家庭で多く読まれている読売新聞などのほうが目につくと思うんです。企業の社長さんや証券マンが『ガリガリ君の当たりスティックをどうやって衛生的に交換すればいいんだろう』と考えるとは、あまり思えません」

 新型コロナウイルスの影響は、思いもかけないところにまで及んでいる、ということか。