「尿管結石」の症状・原因・予防法・控えた方がよい食べ物はご存知ですか?

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突然下腹部に激痛が走ることがあったり、血尿が出たりする人は要注意です。もしかしたらそれは尿管結石かもしれません。

尿管結石とは字のごとく尿管に結石ができることをいいます。

中年以降の男性に発症しやすい傾向ですが、最近では女性や若い男性にも増えている病気でもあります。

放置しておくと腎機能の低下のリスクや再発のリスクが高いともいわれており、注意が必要です。

今回は尿管結石について、発症しやすい人や予防方法について詳しく解説しますので是非参考にしてください。

尿管結石とは

尿管結石はどのような病気でしょうか?

尿管結石とは、腎臓から出た尿が尿管の通り道である尿管内で結晶化して石のような固まりができる病気です。尿管結石は尿管の通り道を塞いでしまうことにより、腰や下腹部などの痛み・排尿困難・発熱などの症状を引き起こすことがあります。
尿管結石は、水分摂取不足や食生活の乱れ、運動不足などが原因となり、尿の中に含まれる酸や塩分が過剰になることによって発症することがあります。また遺伝的な要因や、代謝異常などによっても尿管結石が発生することがあるので、当てはまる人は注意が必要です。
尿管結石は尿路結石症の一種であり、膀胱結石や腎臓結石といった結石症とも関連しています。治療法としては、保存的治療(痛み止め・抗生剤など)・体外衝撃波結石破砕術・内視鏡的手術(経尿道的レーザー結石破砕術など)・手術などがあります。
排石のための決定的な薬はいまだに存在しないため、結石破砕術や手術などの物理的結石破砕と除去がいまでも中心になります。症状によって適切な治療法を選択する必要があるので、現在発症している人は、医師としっかり相談したうえで判断しましょう。

症状を教えてください。

尿管結石の症状は、わき腹から下腹部にかけて突然起こる強い痛みが特徴です。そのほかにも以下のような特徴があります。

血尿

発熱

腰痛

吐き気

冷や汗

発症の原因を教えてください。

尿管結石は尿に含まれる主にカルシウムが結晶化することで結石ができ、その結石が尿管に詰まることで発症します。特に尿酸値の高い人や生活習慣病の人は、尿管結石にかかりやすい傾向です。

どのような人がなりやすいのでしょうか?

個人の体質にも左右されますが、生活習慣も大きく関わっています。結石ができやすい生活習慣は以下の特徴があるので、当てはまるものがあれば改善してみましょう。

過剰な塩分摂取やたんぱく質の多い食事が多い

普段から水分をあまりとらない

肉類を多く食べる

糖分や塩分を多くとる

運動を普段からあまりしない

肥満体型

座りっぱなしの生活が多い

尿管結石になったことのある家族がいる

上記の要因が重なることで、尿管結石が発生するリスクが高まると言われています。

尿路結石とはどのように違うのでしょうか?

尿管結石は尿管結石・腎臓結石・膀胱結石の3つの総称であり、結石がどこにあるかで呼び名が変わります。
3つの中で特に痛みが強いと言われているのが尿管結石です。非常に詰まりやすい箇所でもあるので、未然に防ぐためにも日々の予防策をしっかりと行いましょう。

尿管結石の治療方法

尿管結石を疑う場合は何科を受診しますか?

尿管結石の疑いがある場合は、泌尿器科へ受診しましょう。結石が詰まると腎機能が低下してしまう場合もあるので、血尿や腰痛など思い当たる兆候がある場合はなるべく早い受診をお勧めします。

どのような検査で診断されるのでしょうか?

診断方法は次のような検査が一般的に行われ、検査では結石の大きさや位置を調べる必要があります。

身体検査: 腹部や腰部の触診を行い、痛みや腫れ、圧痛の有無を調べます。

尿検査: 尿路感染症や膀胱炎、腎臓疾患などの有無を調べるために尿検査を行います。

血液検査: 腎臓の機能や炎症反応の有無を調べるために血液検査を行います。

腹部X線検査: 石の有無や位置を調べるために、腹部X線検査が行われることがあります。ただし尿管結石はX線で検出できない場合があるため、CT検査がより適切な場合があります。

腹部CT検査: X線よりも詳細な画像を得るために、腹部CT検査が行われることがあります。

腎臓・尿管・膀胱のレントゲン検査: 石の位置・大きさ・尿路の異常を調べるために、レントゲン検査を行います。

治療方法を教えてください。

尿管結石の治療方法は薬物療法と手術療法の2種類です。どちらが適切な治療法かは結石の大きさで治療法が変わります。

薬物療法:結石の大きさが5ミリ以下の場合は95%が自然に排石されるため、疼痛コントロールや抗生剤の感染予防投与などの保存的治療がメインになります。尿管結石と診断される大多数がこの5ミリ以下の小さい結石のことが多く、ほとんどの人はこの保存的加療が選択されます。この大きさであれば、水分補給を十分に行い尿をしっかりと出すことで自然に尿管結石を排出することが可能です。ただし、大きすぎる場合には適さない治療法です。特に10ミリ以上の大きな結石は自然排石がほとんど望めないため、次にあげるような積極的な治療が必要になります。

手術療法:体外衝撃波で、結石を細かく砕く方法があります。砕かれた結石は尿と一緒に体外へ排出されます。この方法は日帰りの外来治療で行える施設が多く、もし入院となっても入院期間も短いため、一般的には最初に選択される治療法です。そのほかに尿道を通じて内視鏡で尿管内にある結石を摘出する方法があります。痛みを伴うことがありますが、比較的大きな結石にも対応できるため、結石が大きい場合に適している方法です。最後に開腹手術ですが、結石が非常に大きくて上記の治療法で摘出出来ない場合に行う方法で、現在では限られた症例にしか行いません。

尿管結石の治療で手術することはあるのでしょうか?

尿管結石の治療には、大きさ・位置・症状の程度に応じて様々な方法がありますが、一部の患者さんでは手術が必要となることがあります。
手術が行われるのは結石が大きくて排出しきれない場合・尿管が完全に詰まっているために腎臓機能が低下している場合や感染を合併している場合などです。手術には尿管にカテーテルを挿入して結石を破砕したり、結石を取り出したりする方法があります。
また、場合によっては腎臓を切開して手術を行う場合もあるので、しっかりと医師と相談したうえで判断しましょう。

尿管結石の予後と予防

痛みはいつまで続くのでしょうか?

尿管結石の痛みの程度や期間は、患者さんによって異なります。一般的には症状が現れてから数時間から数日で痛みがピークに達し、その後徐々に緩和されていくことが多いです。
痛みの期間は、結石の大きさ・位置・個人の痛みの感じ方によって異なります。尿管結石の痛みは結石が排出されるまで持続する場合がありますが、場合によっては手術が必要となることもあります。痛みが強い場合は、速やかに病院で適切な治療を受けるようにしましょう。

尿管結石は自然に排出されますか?

尿管結石は自然に排出されることがあります。それは結石が排尿の際に排出される場合です。
ただし、尿管結石が大きくて排出が困難な場合・尿管の狭い部分に詰まってしまった場合は排出されないことがあります。結石が尿管に長時間留まると、尿管に炎症を引き起こす可能性があり、痛みや感染症などの症状を引き起こすことがあるので注意が必要です。
結石が排出されない場合は、早めに医療機関で治療を受けるようにしましょう。

予防方法や食べてはいけないものを教えてください。

尿管結石の予防方法には、以下のようなことが挙げられます。

十分な水分を摂取する:日常的に水分を十分に摂取して尿の量を増やすことで、尿中の成分を希釈して尿管結石の発生を予防できます。

食生活の改善:食事によって尿管結石のリスクを減らせます。カルシウムやビタミンDを含む食品の過剰な食事は控えましょう。

飲酒や喫煙を避ける:飲酒や喫煙は尿管結石の発生につながる可能性があるため、控えることが望ましいです。

適度な運動をする:適度な運動で代謝を促進することで尿中の成分を排出しやすくなり、尿管結石の発生を予防できます。

上記に注意して予防に努めましょう。また食べるのを控えた方がいいものについては以下のものがあります。

塩分の高い食品:高塩分の食品を摂取すると、尿中に塩分が過剰に排泄され、尿管結石の発生リスクが高まる可能性があるので気を付けましょう。

高タンパクな食品:過剰なタンパク質の摂取は尿酸値の上昇やカルシウムの増加に繋がり、尿管結石の原因になる可能性があります。バランスの取れた食事を心がけてください。

オキシレートを含む食品:オキシレートを多く含む食品は、尿管結石の原因になることがあります。オキシレートを多く含む食品は、ほうれん草やビーツなどがあります。

砂糖や加工食品:砂糖や加工食品を摂取し過ぎると、体内にカルシウムや尿酸が蓄積されることがあり、尿管結石の原因となる可能性があります。特に加工食品は塩分も高いものも多いので控えるようにしましょう。

上記の食べ物には注意をしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

これまで解説してきたように、食生活や運動習慣の改善によって尿管結石になる確立を下げられます。特に尿管結石は尿路結石の中でも強い痛みを経験する人もいるため、毎日できる習慣から改善していくよう心がけましょう。

編集部まとめ


激痛が伴うこともある尿管結石には誰も経験したくないでしょう。しかし尿管結石は早期発見できれば手術をすることもなく治療を行えます。

血尿が出たり腰痛があったりするなどの前表がある際は、早めに泌尿器科で診察してもらいましょう。また、結石かと思っていたら大動脈解離であったなどの怖い病気が隠れていることもあるので、痛みなどの症状がある場合にはなるべく早く病院を受診して、CT検査などの踏み込んだ検査を受けて医師の診察を受けてください。

また、一度尿管結石を経験すると再発リスクが非常に高いので、運動・正しい食生活・こまめな水分補給を取り入れることで、未然に防ぐことが大切です。

まずは発症しないように普段から気を付けて予防をすることが一番のおすすめです。

参考文献

尿路結石とは(東京女子医科大学病院泌尿器科腎臓病総合医療センター)