「扁平足」の症状・原因・セルフチェック法はご存知ですか?医師が監修!

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扁平足とは、年齢による変化や足にかかる大きな負荷によって土踏まずが潰れてしまい、足の裏が平らになった状態をいいます。

扁平足は、激しい運動をする人や長時間の立ち仕事、合わない靴を日常的に履いている人などがなりやすいです。

このように多くの方が悩んでいる扁平足ですが、早めに対策を行うことで症状を抑えたり、完治したりする場合もあります。

今回は、扁平足の症状・セルフチェック方法・扁平足が体に与える影響や治療方法・改善するメリットもご紹介します。

もし気になる症状がある方がいたら、ここで紹介するトレーニングを実践したり、医療機関に相談したりしましょう。

扁平足の主な症状とセルフチェック方法

扁平足の症状を教えてください。

扁平足の代表的な症状は、土踏まずが潰れてしまうことと、長時間歩いた際の足のだるさの2つになります。この症状を引き起こす理由は、足の裏のクッションの役割を果たす筋肉が上手く働いていないためです。
土踏まずを支える筋肉は、足部内在筋と足部外在筋に分けられます。足部内在筋には、短母指屈筋・母趾外転筋・短趾伸筋があり、足部外在筋は前脛骨筋・ヒラメ筋・長趾屈筋・長母趾屈筋があります。
これらの筋肉の筋力不足・張り・こわばりがあることによって扁平足になってしまうのです。

扁平足のセルフチェック方法が知りたいです。

扁平足のセルフチェックにはボールペンを使います。まずは、座った状態で土踏まずの下にボールペンが入るかを確認しましょう。この状態でボールペンが土踏まずの下に入らない場合は、扁平足の可能性があります。
次は立った状態で土踏まずにボールペンが入るかをチェックしてください。座った状態でボールペンが入った方も、立つと入らなくなる場合があります。
この場合も扁平足の可能性が高いでしょう。

扁平足の原因として先天性と後天性があると聞いたのですが…

扁平足の原因には先天性のものと後天性のものがあります。先天性のものは、生まれてからおよそ10歳までの間に完成するはずの土踏まずが作られない状態になります。このように筋肉や骨が未発達のまま足の裏のアーチがない状態で成長してしまうのです。
一方、後天性のものは今まで土踏まずがあったにも関わらず、下記のような日常的にかかる負荷によって扁平足になってしまったものを指します。

激しい運動

長時間の立ち仕事

足に合わない靴の着用

急な体重増加

土踏まず周辺の怪我

ランニングやサッカーなど激しい運動や、長時間の立ち仕事による継続的な足への負荷があると扁平足を引き起こしやすくなります。また、ハイヒール・トウシューズ・サイズの合わない靴などを無理に履き続けることもよくありません。
他にも、急な体重増加や土踏まず周辺の骨折・捻挫などの怪我も扁平足を引き起こす原因になります。
このように、扁平足は先天性のものと後天性のものがあり、先天性の扁平足は発育不全によるもので後天性の扁平足は日常的な足への負荷が原因で発症するのです。

扁平足が体に与える影響

扁平足が体に与える影響について詳しく教えてください。

扁平足が体に与える影響には以下のようなものがあります。

足の重だるさを感じやすくなる

足の裏が安定しなくなる

つま先立ちがしにくくなる

歩行に障害が出る

外反母趾になってしまう

後脛骨筋機能不全を引き起こす

扁平足とは、土踏まずがなくなり平らになってしまう状態ですが、この土踏まずは足裏の負荷を軽減させるために非常に重要な役割を果たしています。
つまり、扁平足になってしまうと足の裏への負荷を分散できず、体重を上手に支えられなくなってしまうのです。そうすると、歩行に障害が出たり外反母趾といった足の変形に繋がったりする場合もあります。

扁平足を放置すると姿勢にも影響するのでしょうか。

扁平足を放置すると姿勢にも影響が出る場合があります。なぜなら、扁平足になると足への負荷が大きくなり、体重を支えるのが難しくなるためです。
他にも、偏った筋力や変形の進んだ足で繰り返し歩いていると、足の機能に左右差が生まれます。この状態が続いていると、体のバランスが崩れやすくなってしまうのです。
このように、扁平足を放置すると姿勢にも影響が出てしまうのです。

扁平足は運動神経とも関係するのでしょうか。

扁平足と運動神経の良さには、深い関わりがあります。扁平足は土踏まずが潰れてしまった状態であることは前述で説明しました。
その土踏まずの役割には下記の5つがあります。

足への衝撃吸収

跳躍に関わるばねの働きがある

体のバランスを取りやすくする

怪我をしにくくなる

足が疲れにくくなる

土踏まずの役割はこれほど多くあるのです。そのため、扁平足になり土踏まずが潰れてしまうと、疲れやすく怪我をしやすい上に跳躍力もなくなってしまいます。
結果として、跳ぶ・走る・歩く・立つといった足を使ったスポーツはやりにくくなってしまうのです。つまり、扁平足になるとスポーツのパフォーマンスが低下し、いわゆる運動神経の悪い状態になってしまいます。
このように、扁平足は運動神経の良さと非常に深い関わりがあるのです。

扁平足の治療方法と改善するメリット

扁平足の治療方法について詳しく知りたいです。

扁平足の主な治療法は下記の7つです。

トレーニング

ストレッチ

マッサージ

歩き方の改善

インソール

サポーターやテーピング

手術

扁平足の治療では、トレーニング・ストレッチ・マッサージなどを継続して行い改善を図る場合が多いです。また、歩き方の改善・テーピング・普段の靴に専用のインソールを入れて歩くことによって、症状の悪化を防げます。
しかし、これらの治療で治らない場合は手術を行う場合もあります。

扁平足の治療は自宅でも簡単にできるのでしょうか。

前述で紹介したトレーニング・ストレッチなどは自宅で簡単に行えるものもあります。ここでは自宅で簡単に行えるトレーニングを2つご紹介します。まず1つ目は、足趾のグーパー運動です。
1.椅子に座り足首を90度に曲げる
2.踵を床につけたまま足趾を握る
3.足趾を開く
4.これを20回程度繰り返す
この足趾のグーパー運動は、土踏まずを支える筋肉を鍛えることを目的にしています。次に2つ目のトレーニングは、内股でつま先立ち運動です。
1.壁や椅子などにつかまって真っ直ぐに立ち少し内股になる
2.つま先を内側に向かせた状態で土踏まずをゆっくり浮かす
3.この動きを20回ほど繰り返す
この内股でつま先立ち運動することも非常に効果的です。これら両方のトレーニングを行うことによって、土踏まずを形成する筋肉をまんべんなく鍛えられるのです。

扁平足の治療は早期から始めることで効果も変わるのでしょうか。

扁平足の治療を早期から始めるとマッサージやトレーニングのみで治癒することもあります。しかし、土踏まずは生まれてから10歳ごろにかけてゆっくり形成されていくものなので、幼い頃の扁平足は気にする必要はありません
子供の扁平足が不安な場合は、家庭で足趾の力をつけることを意識してトレーニングをしましょう。逆に、成人になって症状が出てから長い間放置していると、状態が悪化して高度な手術が必要になることがあるのです。
そのため、気になる症状があったら早めに対策をしましょう。

扁平足を改善するメリットを教えてください。

扁平足を改善する主なメリットは下記の5つです。

足が疲れにくくなる

スポーツのパフォーマンスが上がる

姿勢の改善が期待できる

怪我をしにくくなる

歩行が安定する

このように、扁平足を改善すると土踏まずが地面からの衝撃を吸収してくれるため、足が疲れにくくなります。また、土踏まずには跳躍を助けるばねの働きもあるので、スポーツのパフォーマンスも高まります
他にも、重心バランスが取りやすくなるため、姿勢の改善・怪我の予防も期待できるのです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

扁平足は先天性のものと後天性のものがあり、どちらも悪化すると足のクッション機能が弱くなって疲れやすくなったり痛みが出たりすることがあります。
また、姿勢の悪化や外反母趾などの足の変形にもつながる危険性があります。
扁平足が気になるときや、痛みなどのトラブルがある場合はストレッチやマッサージ、テーピングなどの処置により改善する可能性も高いです。気になる場合は我慢せず、医師に相談してみましょう。

編集部まとめ


ここまで扁平足の症状とセルフチェック方法・扁平足が体に与える影響・治療方法・改善するメリットについて紹介しました。

扁平足は日頃から足を使って生活している私たちなら、誰でもなり得るものです。

扁平足を治すことによって、仕事・スポーツ・趣味など様々な場面でメリットが多くあります。

扁平足による足の重だるさや、歩行時の不安定感に悩んでいる方は自宅で簡単に始められることから意識していきましょう。

治療を早期に開始し、根気強く続けることによって扁平足が完治する場合もあります。

前述で紹介したトレーニングを行っても改善しない場合や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

参考文献

扁平足の診かた