by JD Lasica from Pleasanton, CA, US

イーロン・マスク氏率いるTwitterが約1万個ものGPUを買い入れて、膨大なツイートで学習した独自のジェネレーティブAIの開発を進めていることが報じられました。マスク氏は、AIが制御不能となり社会と人類に深刻なリスクをもたらすと主張し、最先端のAIプロジェクトの6カ月停止を要求した書簡に署名をしたばかりです。

Elon Musk reportedly bought thousands of GPUs for a Twitter AI project | Engadget

https://www.engadget.com/elon-musk-reportedly-bought-thousands-of-gpus-for-a-twitter-ai-project-214535382.html



伝えられるところによると、Twitterは同社に残る2つのデータセンターのうちの1つで使用するために約1万個のGPUを買い入れたとのこと。この購入には数千万ドル(数十億円)の費用が投じられており、事情に詳しい関係者は「もしAIの稼働に使わないのであれば、これほどの額をつぎ込んでデータセンターグレードのGPUを買い込むことの説明がつかない」として、この動きはマスク氏がAIプロジェクトに入れ込んでいることを反映したものであるとの見方を示しました。

このプロジェクトは、ジェネレーティブAIを開発してTwitterの膨大なデータを学習させるものだとされています。Twitterがこの技術をどのように活用するかは不明ですが、ジェネレーティブAIでTwitterの検索機能を強化したり、広告ビジネスの立て直しに活用したりするといった用途が考えられます。

マスク氏は2023年に入り、共同設立者の1人として自身が2015年に立ち上げたAI研究機関「OpenAI」への批判を強めています。例えば、3月に投稿したツイートでマスク氏は、「私が1億ドル(約133億円)を寄付した非営利団体が、なぜか時価総額300億ドル(約4兆円)の営利団体になってしまったいきさつが、いまだによく分かりません。もしこれが合法なら、なぜみんなそうしないのでしょう?」と述べて、OpenAIが営利化にかじを切っていることを非難しました。



一説には、マスク氏のOpenAIへの姿勢には個人的な感情が絡んでいるとされています。ニュースサイト・Semaforが3月に公開した記事によると、マスク氏は2018年に、OpenAIのサム・アルトマンCEOに「研究がGoogleに遅れを取り過ぎている」との懸念を伝えて、自分がOpenAIの指揮を執るべきだと提案したとのこと。しかし、アルトマンCEOとOpenAIのその他の創業者らは、マスク氏の提案を拒否しました。

その後マスク氏はOpenAIから離脱していますが、これについてマスク氏は「テスラが自動運転技術を通じてAI研究に関与するようになり、テスラのCEOとしての役割とOpenAIでの役割が競合するため」と説明しています。

マスク氏は、OpenAIから退いた後も資金面で支援することを約束していましたが、マスク氏からの資金提供は突然途絶えたため、OpenAIは資金調達に奔走することになりました。そして、Microsoftからの出資を受けて営利目的の子会社を設立し、2022年11月にChatGPTを公開して話題を独占するようになると、マスク氏はそのことに激怒したと伝えられています。

その直後、TwitterはOpenAIに対して「Firehose」と呼ばれるツイートデータへのアクセス権を遮断しました。マスク氏はまた、ChatGPTに対抗するAIを開発する研究機関を設立するとして、DeepMindなどからAI研究者を複数人引き抜いたことも報じられています。

イーロン・マスク氏が「ChatGPTのライバル」開発チームを募集中との報道 - GIGAZINE



by Steve Jurvetson