31日に開かれたシンポジウムの様子。(撮影:東雲吾衣)

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インターネット上で政治家に投資し、その将来性などを測るサイト「ポスダック」が9月、韓国から日本に上陸する。韓国では、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が誕生した大きな原動力として、インターネットを使った「電子民主主義(e−デモクラシー)」が注目されたが、「ポスダック」の日本への“移植”は成功するかどうか。

 「ポスダック」は、政治を表す「ポリティクス」と、米株式市場「ナスダック」の合成語。「ナスダックの政治版」をイメージした作りになっており、上場した政治家の株を利用者が売買していく仕組みだ。利用には氏名や住所などのユーザー登録が必要。株価の変動はグラフに記録され、株価の上下を毎日見ることができ、インターネットによる直接民主主義の実現を目指している。投資にはサイバーマネーを使うが、サイト内だけのもので換金などはできない一種の“ゲーム”。

 31日、東京都千代田区の在日本韓国YMCAアジア青少年センターで開かれた「e-デモクラシー」を考えるシンポジウムには、韓国ウリ党のパク・ウォンウ議員、電子デモクラシーの専門家ミン・キョンヒさん、「ポスダック」を運営するシン・チョルホさんが来日し参加した。日本側は、民主党の菅直人代表代行、元志木市長の穂坂邦夫さん、日本で「ポスダック」を運営する片岡勝さんが参加し、意見交換を行った。

 その中でミンさんは、韓国で「ポスダック」が一大ムーブメントを引き起こした理由を◆インターネットインフラの充実◆政治や社会に対する閉塞感の高まり―の2点と説明。「インターネットはただの手段。若い国民の変化に対する強い欲求がなければ、e-デモクラシーは成立しない」と述べた。

 また、本家「ポスダック」の現状についてシンさんは、「会員数は50万人を超えており、その中の60%が20代から30代の若者、60%が首都に住んでいる」と紹介し、地方での普及には苦戦している事情などを明かした。

 このような韓国側の説明を受け、片岡さんは「日本で『ポスダック』を成功させるには、話題性と娯楽性がカギ」と課題を述べつつも、「地方が感じているの閉塞感が、『ポスダック』によって爆発してくれると思う」と期待感を示した。一方、菅議員は「韓国政治におけるインターネットの役割は注目しているが、日本では残念ながら不健全な姿で育っている」と、韓国とは違う日本のネット環境に厳しい見方を示した。

 「ポスダック」日本版は、5年間で50万人の会員を目指す。上場するかしないかは、政治家自身が決められるというが、片岡さんは「いずれ、ポスダックに上場しなければ選挙で当選しない時代が来ると思う」と話している。【了】

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