「グミみたいな痰」が出るのは「肺がん」や「副鼻腔炎」が原因?医師が解説!

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グミみたいな痰が出るとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)

医師、医学博士。2009年新疆医科大学を卒業し、中国医師免許取得。2014年10月に血液悪性腫瘍の研究を志して、神戸大学大学院に入学。2019年3月に医学博士号と日本医師免許を取得。赤穂市民病院、亀田総合病院などを歴任後、2022年2月新宿アイランド内科クリニック院長に就任。内科全般の疾患を幅広く診療している。

「グミみたいな痰が出る」症状で考えられる病気と対処法

痰は呼吸器系の疾患によって引き起こされる症状であり、軽度から命にかかわる深刻な病気まで様々な原因があります。中には、グミのような痰が出る場合もあります。このような痰が出る原因、対処法、および考えられる病気について解説していきます。

グミみたいな透明・白色の痰が出る症状で考えられる原因と対処法

グミのような痰は、一般的に粘液の過剰分泌が原因となっています。粘液は、鼻、喉、気管、気管支、肺などの粘膜から分泌され、それらを守り、保湿する役割があります。
通常、過剰な粘液は、咳やくしゃみを通じて体外に排出されますが、痰が出ている場合は、排出がうまくいっていないと考えられます。
グミのような透明・白色の痰が出る主な原因は、風邪症候群(いわゆる風邪)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、副鼻腔炎、急性気管支炎、喘息などが挙げられます。
すぐにできる対処法としては、水分を十分に摂取することが重要です。 特にハチミツ入りの温かい飲み物などは、粘液を緩めて咳をしやすくします。うがいをしたり、加湿器を使用したり、蒸気の多いシャワーを浴びたりすることも、粘液を緩めるのに役立ちます。
治療は、風邪に対しては痰を切る薬や喉の炎症を抑える薬などの対症療法となることが多いのですが、慢性閉塞性肺疾患や喘息、急性気管支炎は呼吸器内科、副鼻腔炎は耳鼻科での専門的な治療を要することがあります。

グミみたいな痰が出て血が混じっている・茶色の痰が出る症状で考えられる原因と対処法

赤色・茶色の痰が出る場合は、血液が痰に混じっている可能性があります。その場合は医療用語で血痰と言います。
血痰が出現する病気はいくつかありますが、もっとも気を付けなければならない病気は肺がんです。肺がんの症状には、咳や血痰などがあり、喫煙者に多く見られる病気です。その他、気管支炎などの呼吸器感染症でも血痰を生じることがあります。また、鼻や喉から出血があり、それが痰と混ざって出てくることもあります。
もし、鼻血(鼻出血)などがあった後で血まじりの痰が出る場合には様子を見ても良いでしょう。ただし、自分ですぐにできる対応策はなく、早めに治療を行うことが望まれるため、鼻出血などのエピソードがなければ、呼吸器内科への受診が望まれます。特に喫煙者で血痰が続くような場合は肺がんがあるかどうかを検査するために、早めに受診することをお勧めします。

グミみたいな緑色の痰が出る症状で考えられる原因と対処法

グミみたいな黄色から緑色の痰が出る場合、気管支炎や副鼻腔炎などが原因になっている可能性があります。
自分でできる対応策はうがいをこまめに行うことです。セルフケアだけではなく、早めに治療を行うことが望まれます。
黄色や緑色の痰が出現する際は細菌感染の可能性が高いため、抗生物質の投与など専門的な治療が必要になることが多いです。また黄色・緑色の痰に発熱、胸痛、呼吸困難などの他の症状が伴う場合は、深刻な病気の可能性があるため、すぐに医療機関受診が必要です。

すぐに病院へ行くべき「グミみたいな痰が出る」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

発熱・胸痛・呼吸困難が見られる場合は、呼吸器内科へ

痰が出る症状以外に発熱・胸痛・呼吸困難などの症状を伴う際は重症な感染症の可能性があります。具体的には肺膿瘍、肺結核症などがあり、いずれも呼吸器科での専門的加療が必要になります。呼吸困難が強い場合は急いで救急車を呼ぶことも必要と思われます。

受診・予防の目安となる「グミみたいな痰が出る」ときのセルフチェック法

・グミみたいな痰が出る以外に発熱がある場合

・グミみたいな痰が出る以外に呼吸困難感がある場合

・グミみたいな痰が出る以外に胸痛がある場合

「グミみたいな痰が出る」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「グミみたいな痰が出る」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

風邪

風邪は、風邪症候群とも言いますが、ウイルス感染による鼻や喉などの炎症です。これらの炎症により、粘液が過剰に分泌され、気管支内の痰が増加します。この痰は、グミのような粘度があり、色は白っぽく、炎症が進むと黄色や緑色に変わることがあります。
症状は、咽頭から気管支の炎症を反映したもので、発熱、咳や痰、鼻汁など幅広く現れます。うがいや手洗いを行うことや、栄養と睡眠をしっかりととることで体力を回復させることで治癒します。症状がひどい場合には、内科を受診してください。

インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症のことです。症状は風邪と似てはいますが、風邪よりも重い全身症状が現れることが多く、高熱や頭痛、筋肉痛や関節痛などが特徴的です。また、周囲への感染力も強いことも特徴です。
ウイルス感染症なので、風邪と同様にうがいや手洗い、十分な栄養補給と睡眠が重要です。また、発症後48時間以内であれば抗インフルエンザ薬の効果が期待できるので、内科を受診して検査をしましょう。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

COPDは、気道の炎症と狭窄を特徴とする慢性呼吸器疾患で、喫煙者に多い病気です。喫煙によって肺胞という呼吸に重要な細胞が壊れてしまう肺気腫や、気管や気管支の炎症を繰り返します。そのため、長く続く咳や痰、息切れなどの症状が見られます。治療は、炎症を抑えて、気管支を拡げることで呼吸を楽にする気管支拡張薬が使われます。また、感染症を防ぐ抗生物質や、増悪を繰り返す場合には吸入ステロイド薬を使用することもあります。呼吸器内科での治療が望ましい病気です。

気管支ぜんそく

気管支喘息は、気道の炎症と狭窄を引き起こす慢性の呼吸器疾患です。「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音を発するのが特徴で発作的に息苦しくなる症状(喘息発作)が見られます。発作は、夜間や早朝に出やすいです。炎症によって過剰な粘液産生とグミ状の透明・白色の痰を引き起こす可能性があります。症状が落ち着いたと思っても再発することがあります。そのため、喘息の重症度に応じて日頃から炎症をおさえる薬を使って発作を予防する必要があります。アレルギーの原因が判明していればそれを避けることも大事です。禁煙も必要です。症状が続く場合には呼吸器内科を受診してください。

副鼻腔炎

副鼻腔炎は副鼻腔の炎症で、慢性的にある場合には蓄膿症と呼ばれます。アレルギーや風邪などの鼻炎を繰り返しているうちに悪化することも多く経験されます。副鼻腔炎では、粘液が過剰に分泌され、鼻汁として出てくることが多いですが、喉に落ちて透明や黄色、緑色の痰として出てくることもあります。副鼻腔炎は、鼻内視鏡やレントゲン、CT検査で診断されます。セルフケアで改善することは難しく、抗菌薬やネブライザーを使った治療を行います。治らない場合には手術加療が必要となることもあります。症状が改善しない場合には、耳鼻科を受診してください。

「グミみたいな痰が出る」ときの正しい対処法は?

グミのような痰が出る際に最も簡易的にできる対処法は、水分補給をしっかりすること、加湿をすることです。市販ののど飴なども喉を潤わせて痰を出しやすくする効果はあるでしょう。
薬剤としては去痰剤(きょたんざい)が有効です。去痰剤によって粘液が薄くなり、緩めて咳が出やすくなります。去痰剤に関しては市販にあるものでもある程度は有効ですが、市販薬を数日内服しても症状が改善しないような場合は医療機関への受診が望まれます。
グミのような痰が細菌感染によるものである場合は、抗生物質による治療が必要ですが、抗生物質は医療機関のみでの処方となりますので、黄色・緑色の痰の症状が改善しない場合は細菌感染の可能性があると考えて、医療機関への受診を検討するのがよいでしょう。
グミのような痰が喘息や 慢性閉塞制肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患によるものである場合、気道を広げて炎症を軽減するために気管支拡張薬が有効になる場合が多いです。市販薬でも気管支拡張作用のあるものは多いのですが、あくまで風邪や気管支炎の症状の対処療法として使用します。そのため、喘息やCOPDの場合は定期的な医療機関受診をして、症状に合わせた薬剤を処方してもらうことが望まれます。
生活習慣の改善も痰の症状緩和には有効です。禁煙、バランスのいい食事、適度な運動などは全身の健康だけでなく、痰が出る症状にも効果はあると思われます。また十分な睡眠確保、ストレス緩和することも重要です。しっかりと加湿し、十分な水分摂取した上で睡眠をとることをおすすめします。

「グミみたいな痰が出る」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「グミみたいな痰が出る」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

咳をするとグミのような痰の塊が出ます。対処法はありますか?

マイマイテイリ イマム 医師

喫煙者の場合は痰の量が多く、塊で出ることもあります。対処法としては禁煙すること、しっかりと水分補給をすること、加湿することは痰を薄めて出し役する効果があると思いますが、COPDなどの疾患が隠れている可能性もあるので、3週間以上など症状が続くような場合は呼吸器内科への受診を検討してください。

グミみたいな痰が出るときは何科に行けばいいですか?

マイマイテイリ イマム 医師

基本的には呼吸器疾患の可能性が高いので、近くの呼吸器内科の医療機関を受診してください。鼻炎・副鼻腔炎などによる痰の場合は耳鼻咽喉科受診が必要なため、鼻水が多い、鼻づまりがあるなどの症状も伴っている場合は耳鼻咽喉科を先に受診してもよいかもしれません。

咳込むと苦しく固い痰が吐き出せません。楽な出し方はありますか?

マイマイテイリ イマム 医師

咳込んでもなかなか痰が固くて吐き出せないことがあると思います。その際は何度も咳込んで無理して痰を出すのはあまりおすすめしません。なぜなら無理して咳をすることによって喉に負担がかかってしまい、余計な炎症を起こしてしまう可能性があるからです。したがって痰が固くて吐き出せないときは、無理せずしっかりと水分摂取・加湿をしたうえで、ゆっくり休み去痰剤などの薬剤も併用していくことが有用だと思われます。

グミみたいな痰が出るのはがんなのでしょうか。

マイマイテイリ イマム 医師

痰が出る症状でもっとも気を付けなければならないのは肺癌です。肺癌では腫瘍が広がっていくことによって様々な症状が見られることが知られています。空気の通り道である気道に浸潤していくと、気道粘膜からの出血を認め、それが赤色・茶色の痰として出てくることがあります。しかし、初期の肺癌や肺癌の発生部位によっては無症状であることも多いです。グミみたいな痰が出るからがんということではありませんが、喫煙者や、咳が続く、全身倦怠感があるなど痰以外の症状がある場合は、呼吸器内科への受診が望まれます。

まとめ

グミのような痰が出る症状の原因には、風邪、気管支炎など軽症なものから肺癌など命に関わるものまで、さまざまな病気があります。
痰が出る症状が長く続く(目安は急性咳嗽の定義である3週間ほど)場合は、医療機関を受診するということが重要です。痰の量が多かったり、色がついていると病気ではないかと焦るかもしれませんが、症状が長く続かない場合は自分の免疫力などで改善していると考えられるので経過観察でよいことが多いです。

「グミみたいな痰が出る」症状で考えられる病気

「グミみたいな痰が出る」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器内科の病気

慢性閉塞性肺疾患気管支喘息肺がん

内科の病気

風邪症候群

気管支炎

耳鼻科の病気

副鼻腔炎

鼻出血

グミみたいな痰はがん(悪性腫瘍)のサインということではありませんが、喫煙者に見られる悪性疾患としては肺がんは有名であり、早期発見や早期治療を行うことが望ましいので、痰の症状にも注意した方が良いでしょう。

「グミみたいな痰が出る」に似ている症状・関連する症状

「グミみたいな痰が出る」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

痰が絡む咳

血まじりの痰

痰が続いている

息苦しい痰が喉に張り付く痰が絡む咳が止まらない喉が詰まるように息苦しい喉が詰まる感じ喉がイガイガ

「グミみたいな痰が出る」症状の他にこれらの症状がある場合でも「慢性閉塞性肺疾患」「気管支喘息」「肺がん」「風邪症候群」「気管支炎」「副鼻腔炎」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

【参考文献】
・呼吸器の病気(日本呼吸器学会)
・鼻の病気(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)