「過換気症候群」とは?症状についても詳しく解説!

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頭がしびれる感じがする時、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
永谷 一彦(医師)

三重大学医学部卒業。三重大学医学部附属病院脳神経外科、福井赤十字病院脳神経外科、米国ウィスコンシン大学脳神経外科リサーチアソシィエイト、大隈病院脳神経外科を経て、東名ふじもりクリニック開設。医学博士、日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。
日本脳神経外科学会、日本脳神経外科コングレス、日本脳卒中の外科学会、日本頭痛学会、日本脳ドック学会、日本ペインクリニック学会所属。

「頭がしびれる感じ」の症状で考えられる病気と対処法

頭がピリピリしたりジンジン痺れるような感覚を自覚したことはありませんか。突然出現すると不安になりますよね。速やかに症状が良くなるようであれば大きな問題のないことが多いのですが、中には致命的な病気が隠れている場合もあるので注意が必要です。今回は症状から考えられる病気やその対応策について解説します。

頭がしびれる感じがするが痛くない症状で考えられる原因と対処法

症状が顔面ではなく頭部のしびれ、特に後頭部なら、ほとんどの場合、第2あるいは第3頚神経(大後頭神経あるいは小後頭神経)の後頚部筋肉内での圧迫によるものです。
頭蓋頚椎移行部では、頭板状筋・後直筋・上斜筋などのいわゆる後頭下筋群で重い頭部を支える仕組みになっています。
長時間のPCやスマホの姿勢(いわゆる肩こりでなく首こり姿勢)で、筋肉内を走行する後頭神経も圧迫をうけ、後頭神経近位部分布領域の後頭部のしびれが生じます。後頭神経痛は、しびれでなく短く鋭い痛みが間欠的に出現するのが特徴です。

頭がしびれる感じと頭痛の症状で考えられる原因と対処法

顔面を含む頭部のしびれと頭痛の同時急性発症なら、脳血管障害(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)を疑い、すみやかに脳神経外科あるいは救急外来を受診して診断を確定することが必要です。
しめつけ頭痛や頭重感が、後頭部や前頭部から両側頭部に徐々に出現して、目の疲れや肩こり感を伴うものの、睡眠や入浴、適量のアルコール、週末のリラックスで改善する場合は、緊張型頭痛の可能性が高いです。
連日のPC作業やストレスが原因で後頭下筋群のこりを生じており、軽症なら頭の違和感やしびれ感のような感じになることはありうると思います。対処法はストレッチ運動、市販薬NSAID(いわゆる鎮痛薬)、治らなければ、脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来クリニックを受診して下さい。

左側あるいは右側の頭がしびれる感じの症状で考えられる原因と対処法

首を傾けるのには個人個人の癖や机上のPCの位置の問題もあるので、左あるいは右の一側だけしびれる事が多いようです。

頭の後ろ側・後頭部・頭の前側・前頭部がしびれる感じの症状で考えられる原因と対処法

しびれの範囲は後頭部のみならず、後頭神経の分布する頭頂部、側頭部、前頭部、耳介後部に及ぶことも多いです。髪をブラッシングする時だけしびれたり、ピリピリ感・ざわざわ感を感じたりする場合もあります。稀ですが、大耳介神経が耳の下方の胸鎖乳突筋後上部の”こり”で圧迫されると、下顎から頬部にかけてしびれや痛みが出現します。

頭がしびれる感じとめまいの症状で考えられる原因と対処法

緊張型頭痛は罹患率が日本人の約20%と高く、随伴症状で浮動性めまい(ぐるぐるではなく、ふわふわ・くらっとする)を伴うことは多々あります。中には典型的なしめつけ頭痛がなく頭重感・頭のボーッとした感じや表現しにくい違和感もあり、これを頭のしびれと言われる方もいます。後頚部筋緊張により深部の頚部交感神経系が影響をうけ、浮動性めまいを生じるとされています。追突事故の後のいわゆるむち打ち症のめまいと類似しています。月に15日以上頭痛日のある慢性緊張型頭痛では、ストレスの関与があり自律神経失調性(交感神経優位)のめまいをきたすと考えられます。適度な睡眠やリラックス・ストレッチ運動などで改善しなければ、抗うつ薬が有効です。脳神経内科だけでなく心療内科で治療することもあります。

寝起きに頭がしびれる感じの症状で考えられる原因と対処法

枕が高すぎる・硬すぎるなど不適当な場合、寝起き前後のしびれになりやすいです。一時流行った”枕外来”でオーダーメイドの枕を作るのは、睡眠改善だけでなく頭部のしびれにもよいという事になります。

すぐに病院へ行くべき「頭がしびれる感じ」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

喋りづらい、手足の動きが悪い、手足のしびれがある、めまいがする、ものが二重に見える場合は、脳神経内科・脳神経外科へ

頭部のしびれすべてを後頭下筋群の”こり”が原因と決めつける事はもちろん危険です。脳梗塞や脳幹部・上位頚髄の腫瘍が原因の事もあります。頭部のしびれだけでなく、頭痛・構語障害、手足の運動麻痺、手足のしびれ感、平衡感覚障害、複視などの随伴症状に注意が必要です。出血性脳血管障害(くも膜下出血・脳出血)では頭痛のある事がほとんどです。このような場合は緊急性を要します。これらすべてを診断できるのは脳神経外科と脳神経内科です。発症が急なときには、総合病院の救急外来がいいと思います。専門医による高度な集約的治療が必要です。

受診・予防の目安となる「頭がしびれる感じ」がするときのセルフチェック法

・頭がしびれる感じ以外に喋りづらい症状がある場合

・頭がしびれる感じ以外に手足の動きが悪い症状がある場合

・頭がしびれる感じ以外に手足がしびれる症状がある場合

・頭がしびれる感じ以外にめまい症状がある場合

・頭がしびれる感じ以外にものが二重に見える症状がある場合

「頭がしびれる感じ」がする症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「頭がしびれる感じ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

後頭神経痛

後頭神経痛は、短く鋭い間欠的な痛みが後頭部や頭頂部・側頭部にピンポイントで生じます。後頭下筋群のこりが原因なので、ストレッチ運動と鎮痛薬や筋弛緩剤などを脳神経内科・脳神経外科、頭痛外来クリニックで処方します。

脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)

椎骨脳底動脈系の脳血管障害(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)では、頭痛や構語障害、手足の運動麻痺、手足のしびれ感、平衡感覚障害、複視などが一緒に症状として現れることがポイントになります。脳神経内科や脳神経外科のある総合病院の救急外来をすぐに受診すべきです。

「頭がしびれる感じ」の正しい対処法は?

後頭下筋群の”こり”の場合、自分でできる対処法は、2分間ストレッチ運動を取り入れるのが簡単な方法です。
2分間ストレッチ運動とは、頭は正面を向いたままで腕を左右に振り、上半身を左右交互に回転させる運動を2分間、1日2~5回おこなう運動です。
市販薬で有効なものは1錠中にシアノコバラミン(ビタミンB12)が500mg含まれているビタミン剤、NSAIDジェルや湿布、後頭神経痛ならNSAID(イブプロフェン錠など)を内服することなどがあります。
しかし、鎮痛薬の飲みすぎには注意が必要で、月に15日を超えると逆に頭痛がひどくなります。いわゆる頭痛専門医に相談するのがいいと思います。
7時間程度の睡眠確保、枕の見直しも行って下さい。枕は、高すぎず、硬すぎないものを選びましょう。精神的ストレスに急におそわれた状態での唇周囲中心のしびれは過換気症候群の症状なので、深呼吸は逆効果です。Paper-bag Breathing (紙ぶくろを口にあてて呼吸)で血液中の炭酸ガス濃度を正常に戻すと治ってきます。
頭が痺れる感じを自覚する場合に受診するならば、脳神経内科・脳神経外科になりますが、いわゆる頭痛外来のあるクリニックにまず相談するのがよいと思います。投薬は、筋弛緩剤(チザニジンなど)やビタミンB12の処方です。後頭神経の圧迫が軽いと痛まずにしびれ感になると考えていいと思います。NSAID(非ステロイド系抗炎症剤)の外用薬(湿布・ジェル・ローション)だけでも治る方もいらっしゃいます。後頭神経痛なら、NSAIDの内服が必要です。
カイロプラクティックには賛否両論があります。第1頚椎(環椎)と第2頚椎(軸椎)の間に強い回転力や過伸展・屈曲が加わると、椎骨動脈が横突起孔から出てカーブ状に走行する部位で引き延ばされ動脈解離を生じることがあり、小脳梗塞や脳幹梗塞を引き起こす事があります。

「頭がしびれる感じ」の症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「頭がしびれる感じ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

頭がしびれる感じがするときは何科に行けばいいですか?

永谷 一彦(医師)

脳神経内科・脳神経外科です。

後頭部に痺れを感じるのは脳の病気なのでしょうか?

永谷 一彦(医師)

多くは後頭下筋群の筋緊張(首の”こり”)が原因ですが、なかには脳疾患のこともありえます。構語障害、手足の運動麻痺、手足のしびれ感、平衡感覚障害、複視などの随伴症状は脳疾患を示唆すると考えてください。

頭がしびれる感じがする症状は一瞬であれば問題ないですか?

永谷 一彦(医師)

一瞬頭がしびれるのは脳梗塞の”前ぶれか”?というと、”前ぶれ”は正式には一過性脳虚血発作と呼ばれ、症状としては、
1)一側上肢下肢の脱力発作
2)構語障害
の二つで頭部のしびれは含まれません。しかも少なくとも10分以上持続という条件もあります。したがって、前ぶれではなく問題なしと考えます。

頭がしびれる感じがするのですが肩こりが原因ですか?

永谷 一彦(医師)

頭板状筋・後直筋・上斜筋などのいわゆる後頭下筋群のこり(首こり)が原因です。

頭がしびれる感じがするのですが枕が合っていないのでしょうか。

永谷 一彦(医師)

枕が高すぎる・硬すぎるなど不適当な場合、寝ている間に後頭神経を強く圧迫するので寝起き前後のしびれを感じます。パソコン操作ややスマホの場合、目と首に疲れが出てくる午後にしびれが強くなりやすいです。

まとめ

頭部、特に後頭部に痺れを感じて脳の病気を心配され、脳神経内科や脳神経外科でCT・MRI検査を受けられるかたは多いと思います。しかし、構語障害、手足の運動麻痺、手足のしびれ感、平衡感覚障害、複視などの随伴症状がなければ、異常を認めないことがほとんどです。原因は後頭部と後頚部をつなぐ頭板状筋・後直筋・上斜筋などのいわゆる後頭下筋群が、長時間のPC作業・スマホの姿勢、あるいは慢性ストレスでこってしまい、筋肉内を走行する後頭神経(第2・3頚神経)が圧迫をうけることです。丁寧に後頭下筋群の触診をして、後頭神経の走行を説明して治療につないでいかないと、ご本人のしびれに対する不安感はなくなりません。症状が改善しない場合には、一度医療機関への受診を検討してください。

「頭がしびれる感じ」症状で考えられる病気

「頭がしびれる感じ」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経系の病気

脳梗塞脳出血脳腫瘍

頚髄腫瘍

緊張型頭痛

頸肩腕症候群

三叉神経痛

うつ病後頭神経痛

精神科の病気

自律神経失調症過換気症候群

多くの場合には首周辺の筋肉のこりが原因ですが、危険な病気が隠れている場合もあります。

「頭がしびれる感じ」に似ている症状・関連する症状

「頭がしびれる感じ」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

頭の感覚が鈍い

頭がピリピリする

頭がぼーっとする

「頭が痺れる感じ」症状の他にこれらの症状がある場合でも「脳卒中」「脳腫瘍」「緊張型頭痛」「後頭神経痛」「過換気症候群」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

【参考文献】
・頭痛体操パンフレット(日本頭痛学会)