「アルファード」よりも似てる? ダイハツ「キャスト」の完全パクリ車が存在!驚愕すべきは公式サイトの写真もパクリ?

写真拡大 (全3枚)

アルファードやキャストのパクリEVを手掛ける中国「鴻日汽車」とは?

 2023年2月上旬に中国ではトヨタ「アルファード」の小型版ともいえるデザインを採用した「未奥 BOMA」が発表されました。

 このモデルを展開するのは鴻日汽車という中国メーカーですが、実はアルファードだけでなく、ダイハツ「キャスト」のパクリ車も存在するようです。

これは完全にダイハツ「キャスト」じゃないの? 鴻日汽車「U8」が似すぎている(公式サイトより)

【画像】アルファードのパクリ車だけじゃない! 似すぎているキャストのパクリ車を見る!(17枚)

 中国の自動車産業は、ここ十年で目まぐるしい発展を迎えました。

 かつては「パクリ大国」とも呼ばれ、中国の自動車メーカーが手がける車種はどれもコピーばかりでした。

 それが今や、トップレベルの中国メーカーでは性能・デザイン・クオリティのどれにおいても日本車やドイツ車と比べて遜色ないレベルにまで達しています。

 そして中国国内だけでなく、欧州各国や日本などの海外市場にまで進出している状況となっています。

 中堅以上の自動車メーカーにかつての「パクリ車」の面影はもうありません。

 一方で、いまだに中国には有象無象の自動車メーカーが星の数ほど存在するのも事実です。

 中国国内の多くの消費者は「パクリは恥」と認識しており、もはやパクリ車に立場はない状況となっていますが、それでもいくつかのメーカーからはごく稀にパクリ車が登場します。

 最近よく話題になっている「パクリ」メーカーのひとつが「鴻日汽車(英名:HONRI)」です。

 山東省青島市に本拠地を置くこの会社は2014年に誕生し、一貫して「老年代歩車」と呼ばれる種別の自動車を生産しています。

 免許も保険も必要ない「老年代歩車」とは、自転車よりも早くて荷物も人ものせられる乗り物として高齢者を中心に人気である一方、公道を低速で走り、周囲の交通に悪影響を及ぼす厄介者としても認知されています。

 また、交通知識が頭にないそれらの運転手が起こす交通事故も多く、中国各地では規制が強化される方向にあります。

「老年代歩車」は非常に安価であるゆえに安全性能は皆無に等しく、またデザインはどれも奇妙な形をしたものばかりです。

 流行りのデザインをごちゃ混ぜに組み合わせて小さい車体に落とし込めたデザインや、海外メーカーの有名車種を丸パクリしたものまで、「老年代歩車」はやりたい放題の市場とも言えるでしょう。

 鴻日汽車が手掛けるラインナップの中に、2018年にリリースした「U8」があります。

 これはその姿を見れば一目瞭然ですが、外装のデザインはダイハツが2015年より販売している軽自動車「キャスト(キャスト アクティバ)」と瓜二つです。

 特徴的な丸目ヘッドライトにオフロードらしさのあるフォルム、そしてポップなボディカラーまで、すべてにおいて紛れもなくキャストのコピー車種と言えるでしょう。

 鴻日汽車の公式サイトを見てみると、このU8は「ドイツ系A0級乗用車設計理念」と紹介されています。

 これは真っ赤な嘘、もしくは誇張表現でしょう。

 さらに、中国は原則左ハンドルの自動車しか公道を走れませんが、なぜか公式サイトに掲載されている内装の写真は右ハンドルとなっています。

 一瞬「右ハンドル国向けにも輸出をしているのでは?」と錯覚してしまいそうですが、ハンドル部分を拡大するとそこには確かに「ダイハツ」のエンブレムが存在します。

 つまりは内装の写真もダイハツ キャストのものを無断で使用していることになります。

 こういった常識外れな行いを平気でやってのける企業理念にはただ絶句するのみ。

 ボディサイズは全長3395mm×全幅1495mm×全高1630mmとなっており、これもキャストの全長3395mm×全幅1475mm×全高1600mmと非常に近い数値です。

キャストだけじゃない! アルファードのパクリ車とは

 また、本家のキャストには存在しない3ドア版の「鴻豆」も鴻日汽車はラインナップに取り揃えています。

 こちらは単にドア数を5ドアから3ドアに減らしただけでなく、ホイールベースを500mm短縮させている超小型モデルです。

 座席数は一応4人分ある設計となっていますが、安全性が皆無な小型ボディに実際に4人乗せるのは危険極まりない行為と言えます。

 ちなみ、「鴻豆」の紹介ページに使われている画像も一部はダイハツ キャストの公式画像を無断で使用するだけでなく、ドアの継ぎ目を消して3ドアっぽく見せた加工画像となっています。

 鴻日汽車はこれ以外にも同様の老年代歩車である「S1」や「VeLi」を製造・販売しています。

 また、2023年中には初のナンバー付き車両である「未奥 BOMA」をリリース予定です。

3ドア版の「鴻豆」も鴻日汽車はラインナップ(公式サイトより)

 未奥 BOMAは「老年代歩車」である他モデルと違って政府機関(工信部)に届出がなされている立派な電気自動車です。

 しかし、デザインは依然としてパクリの寄せ集めで、日産「デイズ」のコピーボディにトヨタ「アルファード」のフロントマスクをくっつけた外装が特徴的です。

 また、販売は鴻日汽車の新たなブランドである「未奥汽車」からの展開となりますが、製造は中国の老舗オフロード車メーカー「中興汽車(英名:ZXオート)」が手掛ける形となります。

 この点から、鴻日汽車はナンバープレートが交付されるようなまともな自動車を生産する能力に欠けていると推測できます。

※ ※ ※

「老年代歩車」は社会問題化し、規制が強化される傾向にあります。

 今まで「老年代歩車」しか手掛けてこなかった鴻日汽車にとっての苦肉の策が、この新たな電気自動車なのでしょう。

 とはいえ、中国ではこのような小型電気自動車が乱立しており、熾烈な競争を見せる激戦区となっています。

 それに加え、中国の消費者の間では「パクリは恥」という認識がすでに広まりつつあるので、わざわざ鴻日汽車のクルマを選ぶ可能性は少ないと言えるでしょう。