パスタを茹でた後に“煮込む“のがコツ!?シェフ直伝「卵とろ〜りカルボナーラ」の作り方
料理がもっとうまくなりたい!を叶える、プロの料理人による料理のパーソナルコーチングサービスMOMENT。 第2回はイタリアンレストランRistorante QUINDIの料理長・安藤曜磁さんが、カルボナーラの作り方を生徒のJunさんに伝授します。レッスンの様子を覗いてみましょう!
とろとろクリーミーな卵ソースが絡んだカルボナーラをつくりたい!
安藤コーチ
カルボナーラ、ふだん、ご自宅でもつくっていますか?
何度かチャレンジしたんですけど、加熱しすぎなのか卵がポロポロになったり、ソースがゆるかったりして味が決まらなくて。
だから専ら外食メニューですね。家でできたらうれしいです。
Junさんが考えるカルボナーラの完成形とはどんな感じ?
Junさんクリーミーなソースがパスタにとろっと絡まっているイメージです。具はシンプルにベーコン?ですかね。
安藤コーチベーコンのように見えるのは、パンチェッタという塩漬けにした豚バラ肉。
手に入らないときはベーコンでもOKです。完成形はその通り、卵のとろとろソースがパスタ全体に絡まっている状態。今回はカギとなる“卵の加熱法”を一緒に学びましょう。
ゆでたパスタをスープで煮込んでから卵を加える
安藤コーチ
作る前に、カルボナーラの失敗例について考えてみませんか。Junさんも困っていた「卵が固まってぼそぼそになる」のはなぜでしょう?
Junさんうーん・・加熱のしすぎとか? そんなに時間が経ってないのに、気づいたらところどころ固まっているんですよね。
安藤コーチ正解!と言いたいところだけど、近からず遠からずかな。
卵は固まる力が強くて、卵黄は65℃から、卵白は60℃から固まり始めて、80℃になると完全に固まるんです。だからソースがフツフツして「もういいかな?」と思ったときは遅くて、卵が固まっているんです。
思っていたより、早い!
とろとろのソース状に仕上げたいカルボナーラは「卵の固まる力」を弱めてあげるのが最大のコツ。
水分を加えて卵液を薄め、ゆるい液状から仕上げていきます。では作っていきましょう。
パンチェッタを炒めてスープを加えたところに、茹で上がったパスタを投入。煮ながら旨味を吸わせます。
えっ。茹でたあとに煮込むんですか? アルデンテにして、パパッと仕上げるものなのでは?
安藤コーチ日本ではパスタといえば“アルデンテ”が定説のように言われているけど、イタリアではそんなことはなくて。しっかり茹でても食感が損なわれることはないし、下ゆでしたあとさらにスープで煮込むことで味がしっかり入ってパスタ自体がよりおいしくなります。
Junさんそうなんですね! 時間との勝負でないのがうれしいし、さらにおいしくなるなんて驚きです。
パスタづくりのイメージが変わってきました。
今回目指すのは「卵とろとろ」ですから、ポイントはこれから!
ひたひたに入れていたスープが半量くらいになったら、パスタを真ん中に寄せて一旦火を止め、上に卵黄をのせます。
卵黄だけなんですね。パスタの上にのせるのはどうしてですか?
安藤コーチ*卵白が入ると固くなるので、卵黄だけを用います。卵黄の凝固温度は低めですからフライパンに直接当たるとすぐ固まってしまうため、パスタの上にのせて守ってあげるわけです。
*加えるときに火を止めるのも凝固を防ぐポイントです。
混ぜながら加熱して濃度とツヤを出す
安藤コーチ
パスタの上で卵黄を割って混ぜはじめ、残っているスープに溶かすようにしてゆるいクリーム状にします。
全体になじんだら極弱火にかけて。卵が固まらないようにするには「水分量」と「温度」が大事。フライパンの中全体がフツフツしている状態では高温なので、フライパンのまわりが少しフツフツしているかな、くらいが目安です。
卵の存在がわからないくらいスープになじんでいますね。しかもしゃばしゃば。
安藤コーチこのしゃばしゃばの水分が「卵の固まる力」を弱めているんです。
*固まらないように混ぜながら加熱していくとソースが濃縮して、次第にツヤが出てきます。これが「乳化」で、ソースの水分とパンチェッタの油がよく混ざり合ったサイン。*火を止めて、オリーブオイルとパルミジャーノを加えて絡めれば完成です。
パスタにソースがしっかり絡まっている!
パッと見、卵は存在感がないというかソースになじんでいて、とってもなめらか。ツヤツヤで見るからに食欲をそそります。食べるとしっとりとしてコクを感じられ、パスタがもちもち。噛みしめるほどにおいしいです。すぐにでも実践したいレシピ! ありがとうございました!
この技、オムレツやスクランブルエッグにも使えます
今回のポイントは「卵の固まる力を弱める」こと。水分を加えてゆるくすることで固まるまでの時間を稼ぎ、混ぜながら加熱して「好みのとろとろ具合」に仕上げます。このコツは卵をとろっとした状態に仕上げたいオムレツやスクランブルエッグに応用がききます。卵液をゆるめて加熱し、どこまでとろっとさせたいかは自分次第。ホテルの朝ごはんのような卵料理ができあがりますよ!
教えてくれたコーチ:安藤曜磁(Ristorante QUINDI料理長)
大阪の調理師学校で学び、京都のリストランテ「イルギオットーネ」に9年間勤務。
その後、都内数店で料理長としてキャリアを積む。2018年より、「Ristorante QUINDI(クインディ)」の料理長を務める。一般社団法人Japan Food Frontierの理事も務め、こどもに向けての料理教室も行っている。
専用カメラとアプリを利用した完全オンラインで、プロの料理人があなたの専属コーチとして、料理スキルアップをサポートします。現在大変人気をいただいており、コーチとなるシェフの新規講座の開設待ちとなっております。新規講座の情報と予約の案内をメールにて配信しておりますので、詳しくはHPをご覧くださいね。(2023年前半サービス公開予定)