人生100年時代、50歳は折り返し地点。やり残したことに挑戦するには遅くありません。 実際、別冊ESSE「これからの暮らし」読者へのアンケートでも、多くの人が実現に向けて動いているようです。 年齢や経験を重ねた今だからできることもたくさんあるはず。そんな夢をかなえた人たちを紹介します。

私たち、人生やり残したことを始めてます!

長年やりたかったことに向けて、ようやく動き出したお2人の例をご紹介します。

●得意の裁縫を長年続け、夢のハンドメイド作家に

profile/ぴあの文庫さん(60歳)

成人した2人の子どもがいる。結婚後は介護をしながら、子育てやパートで忙しい毎日を送る。数年前から自宅やネットでハンドメイド商品を販売。

長らく専業主婦として、家事、子育て、パート、介護を担ってきた私。疲れて心が折れそうなときに私を救ってくれたのが、「バレエ」と「ピアノ」の存在でした。どちらもその頃、小学生の娘たちに習わせていて、私自身も魅了されてしまったのです。美しい音色と軽やかで優雅なステップに、どんなに励まされたことか。でも、当時は家計に余裕がなく、衣装やレッスンバッグはお手製でまかなっていました。

それから十数年後、娘たちは成人。コロナ禍の初めの頃、ひょんなご縁がありました。知り合いのピアノ教室の先生から、マスクが手に入らず休まざるを得ない生徒さんがいると聞き、裁縫を続けていた私は少しでもお役に立てればと、手づくりマスクをお渡しすることにしました。それがあっという間に口コミで広がり、気づいたらオーダーも受けるように…。メインはバレエやピアノ用の“世界にひとつだけの”レッスンバッグで、イベントや商業施設でも販売させてもらっています。ずっとバレエとピアノに恩返しをしたいと思っていた私の夢がようやく今、かないました。

私の仕事は心に思い描く、すてきな世界を作品にして届けること。お稽古事に励むすべての親子を応援したい――その気持ちをひとつひとつの作品に込めて、今日もミシンに向かっています。

接客するのも、自宅アトリエでじっくり作業するのも、どちらも楽しいひととき。
「たくさんの人のお役に立てているのがうれしい」

おしゃれなデザインと丁寧な縫製、機能性の高さには定評が。
「レッスンに通う時間も楽しい気分でいてもらえたらうれしいですね」

●料理家を目指して修業中。きっかけは「耳の病気」

profile/Nagareboshiさん(53歳)

夫と中学生の息子との3人暮らし。週1回、料理学校に通う日々。日常でも、自分と子どものお弁当を毎日気合を入れてつくっている。

この春から、パン教室の基礎コースを受講しています。スクールに通うのは二十数年ぶり。ただし、習い事感覚という軽い気持ちではなく、「講師になる」という大きな目標のもと臨んでいます。

結婚前、大好きな料理の道に進みたいと思ったものの、現実は厳しくて…。結局、夢のまま終わり、その後、結婚、出産、パートと日々の生活に忙殺されていました。
人生が動きだしたのは、友人に誘われて現在通う教室の体験レッスンに参加してから。そこでは、インストラクターを取得するコースがあると知り、「料理の大切さや楽しさをたくさんの人に伝えたい」という気持ちが再燃したのです。

年も年だし、「今さら講師になんてなれるの?」という迷いも確かにありました。そんな私の背中を押してくれたのは、「耳」。じつは20年ほど前に病気で片方の耳は補聴器がないと聞き取れない状態になってしまって…。でも、「病気を経験した私だからこそ、同じ境遇の人の道しるべになれるはず。ハンディがあっても、料理の楽しみ方を伝えられるはず」と思えるようになったのです。

今は学ぶことがとにかく楽しいんです。まだまだ駆けだしですが、いつかハンディのある人たちのための教室を開いて、料理本も出してみたい。料理から生まれる幸せな気持ちを、たくさんの人と共有できたらうれしいですね。

『これからの暮らし by ESSE vol.3』では今回紹介した以外に、暮らしの達人のみなさんの「持ちすぎない暮らし」や、50代からのユニクロおしゃれ術、老後のお金の不安解消Q&A、腸活レシピ、B-life Marikoさんの「1日1分寝落ちヨガ」など50代以上の暮らしに沿った情報が満載。ぜひチェックしてみてください。