昨年末、話題になったヤマザキパンの人気商品である「薄皮」シリーズはご存じでしょうか? 5個から4個に減ったことで、なんとなくがっかりしてしまった人も多いはず。それでも天下のヤマザキパン。その企業努力に気づいたという食文化研究家のスギアカツキさんに、昨今のヤマザキパンのラインナップについておしえてもらいました。

ヤマザキ「薄皮シリーズ」が減った裏にある企業努力5つ

昨年から食料品の値上げが続いています。そんななか大きな騒ぎになったのが、ヤマザキの「薄皮シリーズ」。20年以上続くロングセラー商品で、薄皮生地であんやクリームをたっぷり包んだパンが5個入りのコスパのいい商品として愛されてきましたが、昨年12月原材料価格の高騰やエネルギーコストの上昇を理由に、「個数を1個減らす」という発表をしたのです。これを受け、個数減という事実にショックを受けた人もいれば、1個当たりの重量が1割程度増えた(全体量は1割減)ことに対して喜ぶ人も現れるなど、大いに考えされられることになりました。

ここで特筆したいのは、ヤマザキを擁護する意見が一定数あがったこと。顧客満足度を損ねすぎることなく対応できたケースして取り上げられたのです。そもそもここまで話題になるのは、薄皮シリーズが多くの人々に愛されてきた証でしょう。そんなことを考えていたときに、ヤマザキの商品や企業の取り組みに、心を打つポイントが多くあることに気がつきました。

そこで今回は、薄皮シリーズの騒動の裏に隠れてしまいそうな、ヤマザキの企業努力や実績を最新の商品中で発見しましたので、5つご紹介してみたいと思います。

(1) 5個入りは今でも存在します

まずは個数減の救いになるような事実から。薄皮シリーズの個数は減ったものの、コンビニやスーパーにおけるオリジナル商品としては5個入りの商品が販売されています。たとえばローソンストア100の「ミニ小倉パン」や「ミニチョコクリームパン」。薄皮タイプではないものの、個数を死守している点では個数重視派を安心させてくれることでしょう。このようなリーズナブル商品はファミリーマート、ローソン、イオン、オーケー、ベルク、ライフなどでもしっかり展開されています。

 

(2) 4個入りシリーズが種類豊富に

薄皮シリーズと同様に、ドーナツ、蒸しパン、ロールパン等でも4個入りが充実しています。その中で気づくのは、コスパを意識しながらおいしさ向上の工夫を徹底している点。ヤマザキは一昨年から自家製発酵種「ルヴァン」を広く導入することで、もっちり感のあるおいしいパンづくりを実現しています。つまり4個入りの商品は、「コストだけにとらわれすぎず、おいしさを軽視しなかったパン」として期待できそうです。

(3) 108円スイーツのレベルが高い

ヤマザキのすごさは、低価格帯の商品でこそ強く実感できます。たとえば、チルドスイーツ。メロンパンとマリトッツォをかけ合わせたユニークな「メロトッツォ」、フレッシュ感が魅力のドーナツ「フレンチクルーラー」は、しっかりおいしくて108円なのです。これらを知るファンからすれば、今回の薄皮シリーズが安易な値上げではないことくらい容易に想像がつくのかもしれません。

 

(4) ヤマザキは相変わらず話題やトレンドをつくるリーダー的存在

ヤマザキはパン業界のリーダーとしての振る舞いを忘れることはありません。話題になるような商品づくりとして記憶に新しいのが、ローソンの「はみでる板チョコメロンパン」。メロンパンから大きくはみ出した板チョコの大きさに、「バカのメロンパンだ!」と絶賛されたのです。そしてもう一つは今年のトレンドパンになりそうな「スフォリアテッラ」というイタリア・ナポリ発祥の焼き菓子。トレンド発信をしながら、王道もしっかり提案できる総合力の高さに驚いている人は少なくないはずです。また過去の災害時における食料支援の実績には、ただただ脱帽してしまいます。

 

(5) ヤマザキベストセレクションのパンにこだわりあり

おいしさの面でこだわっているのが、「ヤマザキベストセレクション」。これらはヤマザキ系列のショップで購入ができるシリーズで、本格ベーカリーで並ぶようなパンがラインナップされているのです。なかでもとくにおいしかったのが、ソーセージロールとカレーパン。ある程度の日持ちを保証しながら、おいしさにもとことんこだわる商品は稀有な存在とも言えるでしょう。赤いマークを目印として探してみるのもおもしろいはずです。