良い機材も持ち出さなければ宝の持ち腐れ

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【木村ヒデノリのTech Magic #150】 撮影で見落としがちなのが”収納バッグ”だ。いくら良い機材を揃えても、現場で使いこなせなくてはロケーション撮影で不利になる。初日の出のようなシャッターチャンスが少ない場合もそうだ。機材と同じくらい重要なこれらには投資を惜しまない方がいい。



安いバッグが落とし穴、ロケ撮影での最適装備とは



 自然や風景を撮影する場合、レンズ3本は多すぎる。本来はズームレンズ1本にしたいところだが、さまざまなシチュエーションを考えると万が一…と2本ぐらいは持っていきたくなる。

 筆者は屋外での撮影はコンパクトな単焦点レンズ2本、もしくはズーム1本、単焦点1本に落ち着いた。これ以上だと重さが気になって良い画があっても撮るのを諦めるケースが出てくるからだ。

 ズーム1本をコンパクトな一眼につけて持ち運ぶのであれば今回の話には当てはまらない。カメラさえ大丈夫ならばどんなバッグに入れて持ち運んでも良いだろう。

 しかし画角に幅を持たせたり、ある程度画質(ボケ感や歪みなど)にこだわったりするならそこそこのレンズ2本は欲しい。そしてレンズが2本以上になるのであれば収納バッグが非常に重要になってくる。

 収納バッグがよく考えられていてすぐに取り出せたり2本を切り替えたりできればチャンスを逃すことはまずない。逆に安いバッグだったり、普通のバックパックだったりすると状況に対応しづらいだけでなく、忘れ物すら増えることがある。

 最新の良い機材があっても、すぐに撮れなければ意味がない。こうしたことから考えても収納バッグには撮影機材と同等の重要度があると言えるだろう。

●1万円以上のバッグがおすすめ、大きさは6Lまで



 収納バッグ沼に長らくハマっていた筆者だから言えることだが、バッグは小さいほど良い。そしてケチるべきではない。さまざまなメーカーを渡り歩いたが、安いバッグは「状況に瞬時に対応する」というものがあまり考えられていなかった。

 ならばとPeakdesignのバッグもいろいろと試した。EVERYDAY BACKPACKを2サイズ、EVERYDAY SLINGも試した。EVERYDAY BACKPACKの安い方でも3万8000円なので、Peakdesignの収納バッグだけでも10万円は使っている。

 しかし、これらもイマイチはまらなかった。収納の仕方はよく考えられているのだが、あと一歩のところで使いづらさが出てくる。装備が変わるとイマイチ整理しきれないというのも難点だった。機材が多くなると重いのでキャリータイプにしたくなる。

 結果、Peakdesignは使わず機材が多い時はマンフロットのPLローラーバッグSPIN55、フットワーク重視の時はOneGoショルダーバッグを使うようになった。特にPGYTECHの製品はPeakdesignと同じくらい撮影について考えられていて、価格は3割ほど安いのでコスパ抜群だ。

 6L以上の大きさだと、機材+三脚でかなりの重さになる。これも撮影を敬遠する原因になるので、逆転の発想で「いかに6Lに収まる装備で行くか」を考えるのが良いだろう。

●廉価版のイメージが強かったPGYTECHが実は最高だった



 PGYTECHは当初Peakdesignの廉価版というイメージがあったが、使ってみた限り品質がかなり良い。

 Peakdesign製品で不満だったポイントもしっかり押さえており好印象だ。例えば、OneGoショルダーバッグ6Lと競合するEVERYDAY SLING 6Lでは、タブレットを入れるには形状が窮屈すぎた。

 またバッグの開口も狭めで、素材の硬さも相まって使いづらかった。OneGoショルダーバッグはこの辺りを大開口にすることで解決し、形状もややずんぐりとさせて収納しやすさを優先した。

 バッグとしてのデザイン性はPeakdesignの方が良いと感じるが、実際に撮影に持ち出すのが多くなったのはPGYTECH製品だった。EVERYDAY SLINGで持ち運びに困っていたペットボトルも2本入れられて重宝する。

 これで価格が実売1万3200円なのだから非常にお買い得感がある。このくらいのバッグを購入した方がカメラ機材の稼働が増えるので迷わず投資しよう。

●ドローンで撮影する時もおすすめのPGYTECH



 OneGoに興味を持つ前に気になっていたのがPGYTECH製のMavic3ケースだ。そしてこれも素晴らしく使い勝手が良かった。

 純正のMavic3ケースは必要以上に嵩張るので持ち運びに大きな不満があった。同じ量の機材をPGYTECH製に収納するとあら不思議。こんなにスリムになる。

 使う時も広げて置けるので、NDフィルターどこだっけ?のようなことが起こらない。純正品ではバッテリーの奥に入れなくてはならず出し入れが面倒だったコントローラーもさっと収納できる。

 田舎に帰省して正月を迎える場合、ドローンが飛ばせる場所も多いのでこういった収納バッグを整備しておくのも良いだろう。

●機材を揃えても持って行かなかったら意味がない



 ある種自分への教訓としても書いておくが、機材を揃えても使わなかったら意味がない。だから収納バッグ選びには機材と同じくらいの労力を割いて選んでほしい。

 もちろん高ければ良いわけではないが、安いバッグに良いものが少ないのも事実。何度も持ち出すことで不要な機材も見えてくるので、2023年は今年の2倍持ち出せる環境を構築すると写真や映像の腕もメキメキ上がるのではないだろうか。(ROSETTA・木村ヒデノリ)

木村ヒデノリ

ROSETTA株式会社CEO/Tech Director、スマートホームブランドbentoを展開。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

https://www.youtube.com/rekimuras

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