Twitterはイーロン・マスクCEOの下で改革を断行し収益の改善に努めていますが、収益の約9割を占める広告費の復調が思わしくないと伝えられています。

Elon Musk’s Campaign to Win Back Twitter Advertisers Isn’t Going Well - WSJ

https://www.wsj.com/articles/elon-musk-twitter-advertisers-exodus-11671722594

デジタルマーケティングに関する市場調査会社・Pathmaticsの分析によると、マスク氏による買収以前にTwitterに広告を出していた上位100社の広告主のうち70%が、2022年12月18日までの1週間に広告を出していないとのこと。Twitterの収益のうち約89%は広告費であるため、この状況はマスク氏にとって看過できるものではないとWall Street Journalは指摘しています。

こうした状況を改善すべく、Twitterは広告主の懸念を解消しサービスへの関心を高めようとしています。Twitterが広告主向けに開催したミーティングについて詳しいある広告会社の幹部は、「Twitterはユーザーが直接購入できる広告、より多彩な動画機能、好ましくないコンテンツの近くに広告を表示しないようにするツールなどのイノベーションを約束しました」と話しました。



Twitterが広告主に約束したイノベーションのうち、1つは「特定のキーワードを含むツイートの上下に広告を表示しないようにするツール」である可能性があります。この機能は、Twitterから広告主へのメールで言及されていた取り組みの1つとしてロイターが12月10日に報じたもので、早ければ次週にも展開されると案内されていました。ただし、報道から1週間以上が経過している記事作成時点では、そのような機能がTwitterに実装されたとする情報は見られません。

Twitterへの広告掲載をためらっている一部の広告バイヤーは、物議を醸すツイートや突然のルール作りといったマスク氏の言動が心配の種だと話しています。もちろん、マスク氏の私的なツイートと企業としてのTwitterは別物ですが、芸術家とその作品を切り離すことが難しいように、広告主はTwitterとマスク氏を区別するのに苦労しているとのこと。

デジタル広告代理店であるCode3のクレーグ・アトキンソンCEOは「広告主は予測可能性を求めていますが、マスク氏はいつ何をしでかすか分かりません。そのようでは広告主は困ってしまいます」と話しました。

一方のマスク氏は、「活動グループが広告主に圧力をかけたので、Twitterの収益が大幅に減少しました。彼らはアメリカの言論の自由を破壊しようとしています」とツイートして、広告主をためらわせているのは自分ではなく活動家であるとの見方を示しました。



Twitterを離れる広告主がいる中でもAmazon、ディズニー、ウォルマート、ペプシコ、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)など、多くのブランドがTwitterへの出稿を続けていることが、Pathmaticsの分析で分かっています。特に、エンターテインメント企業や出版社、外食業などはTwitterへの出稿に意欲的とのこと。

また、マスク氏は広告業界団体であるGlobal Alliance for Responsible Mediaとの会合で、Twitter上での有害コンテンツの広がりを第三者的な企業に評価させる取り組みを行うことを約束するなど、広告主を安心させる取り組みにも着手しています。

Twitter買収に伴う大量解雇と配置転換で新しく広告販売責任者となったクリス・リーディ氏は、あるメーカーに送った電子メールの中で「広告主が戻りつつあり、トップブランドのセンチメントとパフォーマンスに対する信頼感も高まってきています」と述べて、Twitterの復活に自信をのぞかせました。