Twitterから流出した内部文書により、Twitterユーザーがアダルトコンテンツを作成して販売できる機能が計画されていたことが分かったと報じられました。この計画は大がかりなプロジェクトとして検討が進められたものの、児童ポルノの横行といった問題が解決できなかったことから、イーロン・マスク氏による買収提案を機に凍結されました。

How Twitter’s child porn problem ruined its plans for an OnlyFans competitor - The Verge

https://www.theverge.com/23327809/twitter-onlyfans-child-sexual-content-problem-elon-musk

Twitter Axed Plans to Copy OnlyFans After Musk's Buyout Bid: Report

https://markets.businessinsider.com/news/stocks/twitter-onlyfans-plans-axed-after-elon-musk-agreed-takeover-report-2022-8

IT系ニュースサイトのThe Vergeは2022年8月30日に、Twitterが2022年の春ごろからアダルトコンテンツの収益化を検討していたことが分かったと報じました。The Vergeが入手したTwitterの内部文書と、現役社員や元社員への取材で得られた情報によると、計画ではアダルトコンテンツ制作者に有料サブスクリプションの販売権を与えて、その収益の一部をTwitterが回収するビジネスモデルが想定されていたとのこと。

もしTwitterでこのようなサービスが開始されていれば、Twitterの主な収入源である広告業界からの反発は必至です。しかし、ユーザー生成型のアダルトコンテンツで先行しているソーシャルメディアのOnlyFansは絶大な支持を集めており、2022年の売上はTwitterの約半分にあたる25億ドル(約3400億円)に達すると予測されていることから、Twitterが抱えている赤字の補てんには十分な収益をもたらすと見積もられていました。



またTwitterの幹部からは、既にOnlyFansのクリエイターの大半がTwitterで活動しているため、OnlyFansのようなビジネスを展開して収益化するのは容易だろうという意見も出ていたとのこと。

そこで、Twitterの経営陣はAdult Content Monetization(ACM)というプロジェクトを立ち上げ、84人の従業員を集めて「レッドチーム」と名付けられた内部組織を結成し、アダルトコンテンツ配信サービスの検討を指示しました。

ところが、レッドチームはTwitterの経営陣に厳しい調査結果を突きつけました。同チームは4月のレポートの中で、「Twitterは児童の性的搾取や合意のないヌードを大規模かつ正確に検出することができません」と報告。特に、アダルトコンテンツの制作者と消費者が合法的な年齢であるかどうかを確認する方法が、Twitterにはないことを指摘しました。

調査ではまた、もしTwitterでACMが開始されてクリエイターがアダルトコンテンツを有料配信するようになれば、より多くの違法なコンテンツがTwitterに流入し、収集がつかなくなるとの見方も示されました。

さらに、レッドチームの報告と時を同じくして、イーロン・マスク氏が言論の自由を掲げてTwitterを買収する計画が持ち上がります。

イーロン・マスクが5兆円超でTwitterの買収を提案、言論の自由のために株式を非公開化か - GIGAZINE



こうした背景もあり、レッドチームの報告を重く受け止めたTwitterの経営陣は、Twitterがより健全で安全な対策を講じることができるようになるまでプロジェクトを無期限に凍結することを決定しました。

Twitterを440億ドル(約6兆円)で買収する契約にサインしたマスク氏ですが、7月にはTwitterでbotアカウントやスパムなどの問題が横行していることなどを理由に買収計画を破棄しており、Twitterとマスク氏の対立は法廷に持ち込まれようとしています。

The Vergeの取材に応えた調査チームの元メンバーは、マスク氏の告発はTwitterにとって「腹を殴られるようなものだった」としつつも、Twitterの有害コンテンツ対策や他の問題ではなくbotアカウントだけを問題視したのは認識がずれていると指摘。「マスク氏が会社を買収するために解決しなければならない問題はスパムだけだと宣言したのは、おかしな話です」とコメントしました。