この記事をまとめると

自転車でも危険行為による妨害運転という項目があり、摘発の対象となっている

■違反を3年間に2回した14歳以上は自転車運転者講習の受講が義務付けられる

自転車は歩行者ではなく車両に分類されることを意識して安全運転に努める必要がある

自転車交通違反が社会問題となっている

 自転車にも、クルマでのあおり運転に相当するような危険行為がある。妨害運転という項目だ。交通の危険の恐れがあったり、著しい交通の危険だったりが対象とされる。2020年6月の改正道路交通法により規定された。執拗にベルを鳴らす/不必要な急ブレーキを掛ける/逆走するなどが摘発の対象になる。ほかに、信号無視や酒酔い運転、通行区分違反など、14項目が違反として規定されている。

 これら違反を、3年間に2回した14歳以上は、自転車運転者講習の受講が義務付けられる。この受講命令に従わないと、5万円以下の罰金の対象となる。

 そもそも、自転車は道路交通法で軽車両に規定されている。標識に従った利用が求められる。スマートフォンを見ながら、傘をさしながらというながら運転は禁じられ、歩行者優先、左側通行といったことがクルマやバイクと同じように求められる。

 これらは、あおり運転などを規定した15項目に具体例が示されているわけではないが、安全運転義務違反として危険な行為のひとつとなり、取り締まりの対象となるだろう。

自転車も車両に分類されていることを意識すべきだ

 しかしながら、自転車は運転免許証を必要としない乗り物なので、歩行者と同じ感覚で乗っているのではないかと思われる場面に出くわすことがある。

 歩道を走りながら歩行者にベルを鳴らすことも、当事者は相手への気配りと考えているかもしれないが、そもそも自転車のベルはクルマのホーンと同じ規定で、指定された場所や、危険の迫った場面でのみ使えるものだ。無暗に鳴らせば違反になる。クルマを運転していても、相手に気付かせるため鳴らすことはありそうだが、本筋からいえば違反とされる可能性がある。

 自転車は、軽車両なので、車道の左側を通行するのが基本だ。歩道を走ることは、やむを得ない場合に許されることなのだ。したがって、15項目のなかにある歩行者優先を実行するうえで、ベルを鳴らすのはやはり違反になる。ではどうすればいいか。

 まずは、歩行者が安心して歩ける状況になるまで待って、脇を通り抜けるべきだ。そのうえで、歩行者と会話できるのだから、「自転車で通ります」と声を掛ければいい。そして歩行者が気付き、通り抜けできる余裕ができたら追い越す。歩道を結構な速度で走り抜けることは言語道断だ。ことに歩行者が高齢の場合、歩行中にふらつく可能性もある。

 夜間に無灯火で走っている自転車もなお多い。自分は、街灯などの明かりで前が見えていると思うのだろうが、歩行者のみならずクルマの運転者も、無灯火の自転車には気づきにくく、接触の危険性が高い。クルマの運転でも、トンネルなどで無灯火のクルマがいる。自分が前を見えることと、相手が存在を認識できること、その両面が灯火の点灯にあることを知る必要がある。

 自転車の安全な利用の第一歩は、自分は歩行者ではなく車両に分類されることを意識するしかない。